〜something here〜ジョンにはすきって言える。でも、ドラルクには言えない。
何でだ……日頃の感謝とか、無いわけじゃないのに。すき。たった二文字だ。
メビヤツには?言える。
キンデメには?言える。
自分より大きいやつ…そうだな、サテツには?言える。
自分より歳上…マスター?ヴァモネさん?もちろん言える。
たいしてそう思って無いやつ?ブブオとか?まあ、言えるさ。
吸血鬼共は?ゼンラニウムに言うのははばかられる。それでも、必要なら、言えると思う。
野球拳とかマイクロビキニ?酔ってたら言えるかも。
女性なら?ヒナイチに?言えると思う。
マリアにターちゃん?言えるさ。
半田は?カメ谷は?言える。
兄貴やヒマリに言うのは少し照れるけれど、もちろん、心から、言える。
何で、ドラルクだけ、言えないんだろう。
酔い任せにしてみても、目を見ないように逸らして試しても、逆に目を合わせてみても、起き抜けのボヤボヤしてる時でも、寝る間際の夢現でも、ゲームに夢中で空返事しか返ってこない時だったとしても。
どうしても、言えない。
すき。
ドラルク、お前が好き。
言えないだけで、確かにその思いはあって、しかもどんどん増えていってしまう。
どうしよう。
何でお前にだけ、言えないんだろう?
なあ、何で?
こうして、夢の中だったら、言えるかな?
なぁ、お前が、好きだよ。
「言ったら、何かが、始まってしまうからね。それが怖いのかもね」
「始まる?何が始まるんだ?」
「何かだよ。私とキミの何かが、始まる。他の人じゃあ何も始まらないから、だから言えるんだよね。でも私とキミの好きだけ、少し、違うのさ」
「何が違うんだよ……何だよ。教えてくれてもいいだろ」
「ふふ、キミが気付くところが見たいのさ。私は気長な吸血鬼だからね。まだ、まだ、待てるよ。ゆっくりおいで」
待ってるよ。