【弟子バロ】なかなか抱けないけど最後には抱ける話① 検事執務室での乾杯から一年半と少し経っていた。バンジークス卿に師事してからは三年弱になる。
――法解釈の前例を作る。
そう啖呵を切ってから、今まで全速力で走り続けてきた。初めは著しく個人的な動機から始めたが、同じく法の改正を求めるマイノリティと触れ合ううちに、法とは人権とは何か、深く考えるようになった。もはや亜双義は正義のために戦っていた。政敵というやつも現れ、時にはごろつきを雇って妨害までしてきたこともある。
かかった時間は、成果からすると驚くほど短期間だった。濃く圧縮された戦いの中で、亜双義たちはとうとう例の条項における緩和的な法解釈という判例をもぎ取った。「著しい猥褻行為」の定義をもっと明確にし、金銭のやりとりや複数人での乱交があった場合にすべし、という言質をもぎ取ったのだ。
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