俺を独り占めできるかもしれないと知ったら、どんな顔で喜ぶのかな。
星宮の腕に下品な色の手錠をかけながら、切澤はそう考える。ショッキングピンクはふわふわの毛に包まれていて、目には痛くとも腕にはやさしいのだそうだ。星宮に選ばせたものだから、実際のところは分からない。単純にこの色が好みなのかもしれない。
ママ活で体を求められることは、実のところ少なくなかった。一昔前は援助交際と言っていたもので、それなりの交際を求められることが多いのだ。切澤はママの一人に言われて交際という言葉の意味を調べたことがあるが、「まじわり」と書いてあるのを確かに見た。そんなんセックスじゃん、と安直に思う。
それでも、ホテルに連れ込もうとする人間は、友人から聞くパパ活に比べれば少ないような気もする。大切にしているから。純愛だから。そんなことを言わなくても「本当の母親のように思ってるから」なんて言葉で黙るママをたくさん見た。母性とは不可解なものだ。
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