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    れれれ

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    れれれ

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    2個目書いてみました☺️
    1作目よりは真面目にかけたかなと…
    お時間のある時にでも見て頂けたらうれしいです

    高杉と白猫ひんやりとした寒さに身震いして目を覚ます。
    起きたそこはゴミ袋の上で、そういえば昨日はパチンコで勝ったついでに飲み歩いていたのだったかと未だはっきりしないしない思考で思い出す。
    しかし妙なのはゴミ袋上に乗っているらしいにも関わらず目線が地面に座っているのではないかと考える程に低いことだ。
    自分の身体に何らかの異変が起きていることは明らかだったが、あいにく今日は午後から依頼がある。
    兎にも角にも一旦万事屋に帰らねばと俺は万事屋へ歩を進めた。
    ……明らかに目線が低い。通りを歩く人も過ぎていく建物も銀時の何倍も大きく、俺は覚えのあるこの視線の高さに薄々気付きながらも横にあったショーウィンドウを見やった。
    日光を反射しているガラス、そこに写って居るのは以前猫になった時と同じ、目つきの悪い白猫だった。



    銀時は大きなため息をつきながら、もう一度ガラスに写っている自分を見やる。
    流石に2度目ともなると銀時もそう驚かなくなっていた。今度は何が原因だと、昨夜の事を思い出してみる。
    パチンコの帰りに寄った飲み屋で、俺は地球に商いに来ているのだと言う老人と出会った。
    その星の珍しい商品を集め、取引をしているのだと言う。
    地球には商いに来たのだが、取引相手が捕まってしまいこうしてヤケ酒をしているのだと。
    その時点で怪しさぷんぷんだが既に酔いが回っていた銀時はそら、災難だったねぇ〜とそのまま老人の話を聞いていた。
    商品の中には一発で像も倒せる槍だとか、どこかの星の仙人が作った珠々だとか、ほぼ永久に腐らないフルーツだとか役に立つのかと疑問に思ったものも多かったが、今回取引しようとしていた物は猫に姿を変えることのできる水なのだという。
    俺は、こちとらそんなもの飲まなくても猫になって玉まで狙われたけどな、と心の中で悪態をつきながら老人が懐から出したただのペットボトルに入った水を見た。そんな貴重そうなものをその辺の自販機で売ってそうな容器に入れるのは如何なものかと思ったが、形は飲みやすさ重視で素材は貴重なもので作られているらしいとしって納得した。
    飲み屋を変えながらひとしきりその老人と呑んだ銀時は別れる際に礼にと渡された水の入ったペットボトルをその正体を忘れ、胸の気持ち悪さを無くす為だけに飲んでしまった。



    その事を思い出し、もう絶対ェ酒なんか飲まねぇ、今度こそ絶っっ対飲まねェともう何度目の正直か分からない誓いをした。
    とりあえず以前猫になった時に世話になった法一という猫を訪ねてみようかと歩き出そうとしたその時だった。
    横を嗅ぎなれた匂いが通った。嗅ぎなれた匂いと言うよりかは飽きた匂いという方が正しい。
    ずっと昔もう嗅ぐことの無いだろうと思っていた匂いをさせたその男は、少し前紅桜の一件で争ったばかりの男だった。
    いつもだったら街で見かけたとしても見なかった振りをするところだ。
    何せ次に会った時は手前を切ると宣言している、今関わってもロクな事は無い……人間の姿であれば。
    猫である今ならば銀時だということにも気付かれないだろう。
    それに、銀時が飲んでしまった水は宇宙産だ。
    効果が何時まで続くのか解除できるのかも分からなければ、一生そのままなのかもわからない。早急に正体を突き止めたいところだが、アテは辰馬ぐらいしかなく今どこに居るのかも分からない。
    俺はこれは一か八かと思い、仕事を任せることになってしまうであろう神楽と新八に心の中で謝りつつ、高杉の後ろ姿を追いかけることにした。



    高杉は一定のペースでどこかへ向かっていた。この方角だと港だろうかと考えていると、高杉が突然路地裏へと入って行くのが見えた。
    先の道を見やると新選組の隊員が見えたのでそれを避けたのだろう。
    しかし銀時も高杉を追って路地裏へ入ったその時、銀時の上に凄い勢いで刀が振り下ろされた。
    間一髪でよけたもののこの身体では当たっていたら一発でお陀仏だったと寒気がした。

    「狗っころが犬でも寄越したのかと思えば、どうやら違ったらしいな?てめェ何時まで着いてくるつもりだ。」

    高杉はとっくに銀時が着いてきていることに気付いていたらしい。
    新選組の犬か何かだと思われていたようだ。
    銀時はこちらを見つめて来る高杉の目に正体を見透かされているような気がして、何となく身構えてしまっていた。

    「ふっ、まぁいい…何を企んでるのか知らねェが、命が惜しくねェってんならいくらでも着いて来るといいさ。」

    高杉は興味が無くなった様に刀を仕舞うとまた同じ方角へと歩きだした。





    予想した通り高杉が向かっていたのは港だった。商船に見せかけて停まっている船に高杉が乗り込むのを見て再度覚悟を決め、同じく船に乗り込んだ。

    「おかえりなさいっス!晋助様!!攘夷勢力との交渉はいいかがだったスか?」
    高杉が戻ったと同時に駆け寄ってくる女がいた。名前は確かまた子だったか?神楽が言っていた女と一致していた容姿に銀時はやはりここは高杉の船だと確信する。

    「あァ、まぁまぁってとこだ。攘夷の意思は強ェが先日拠点が襲撃されたのもあって、派手には動けねェ状態らしい。だが、何かするときゃあ協力するとよ。何処まで戦力になるかわかりァしねェが、無いよりゃマシだ。手足は多けりァ多いほどいい…」

    話しながらいつの間にか煙管に火を付けていた高杉がフー…と煙を吐くとまた子が視線を下に降ろし後ろにいた銀時に気づいたようだ。

    「そ、それは良かったっス……でもし、晋助様…その猫は一体なんなんスか…????」

    「さァな。どっかから送られてきた刺客とも思えねェがずっと着いて来やがるもんでな。焼き魚でもくれてやれ。」

    「だ、大丈夫なんスか…?……い、いや!何かお考えがあるんスよね!!野島また子、一生の不覚…!!今すぐ料理担当の隊員に頼んでくるっス!!!」

    待っててください晋助様ァ!!と叫びながら遠くなっていく背中をみてそれで大丈夫なのかと心配になった。




    「来い。」
    高杉の部屋らしき場所へ着くと高杉は座っている自分の前をとんとんと叩いた。
    そこまで来いということだろう。
    正直行くべきか迷ったが、最終的にその場所へちょこんと座った。
    話でもあるのかと思って来てみたが、口を開く気配は無い。
    何のために呼んだんだと高杉を見つめていると上から手が伸びてきた。
    恐らく撫でようとしていた高杉に何しようとしやがるッと引っ掻きをお見舞いした銀時は誇らしげにドヤ顔をしていた。
    しかし猫の習性なのか、無性に己の身体がムズムズして銀時は気づけば毛繕いを始めていた。
    ハッと気づいた時には時すでに遅く、高杉は巧みな手腕で銀時の顎を撫でていた。
    銀時は気持ち良くて無意識にゴロゴロと鳴る己にくそッと羞恥と屈辱を感じながらも快感には抗えず、さっきまでの様子が嘘のように高杉の手に身を委ねてしまった。

    「本当にアイツにそっくりだな。ふてぶてしい目つきの悪ィ顔も、誰にも懐かねェところも、結局快楽に弱ェところも。毛の触り心地まで一緒とはなァ。」

    アイツと言うのは恐らく俺だろう、というか毛の触り心地までとはなんだ、え?そうなの?
    しかしあの高杉が大人しく猫を撫でている光景なんて誰が見たことあるだろうか。
    いや、昔1度だけあった気がする…と俺は攘夷戦争の頃を思い出した。




    昔、戦況は膠着状態が続き負傷者の治療を優先するため、待機の命令がくだされたまま拠点の古寺から動けずにいた時、1匹の白猫が迷い込んできた事があった。長く変わらない戦況に疲弊していたのか、いつの間にかその猫の周りには癒しを求めて志士達が集まっていた。そんな光景を高杉と銀時の2人は遠目から眺めていた。

    「猫ってのはそんなにいいもんかね、気まぐれだしいつもふてぶてしい顔してるしよ。俺はあそこまで魅力がある様には見えねぇんだけど」

    「さァな。明日生きてるか死んでるかも分からねぇこの戦場で敵意もねぇ獣を前にして気でも緩んでるんだろ。それにお前が猫を好かねぇのは同族嫌悪だろ。てめェの自己紹介聞いてんのかと思ったぜ。」

    「はぁ〜〜?俺をあんな獣と一緒にしないで下さい〜銀さんはもっとプリティだしあんなな締りのない顔してません〜。低杉くんこそちっちゃいもの同士気が合うんじゃない?行ってくれば?」

    「誰が低杉くんだ、俺ァあんな猫構ってる暇あったらてめぇから1本とってらァ。」

    そういうと高杉はふらりと寺の中へと入っていった。
    しかしその日の夜、厠へ行った帰り道、高杉が裏手の林へと入っていて行くのが見えた。こんな夜更けに何をしているのかと不思議になった銀時はバレないように一定の距離を空けながらついて行くことにした。

    夜の月明かりが木々の隙間から差し込んでいて夜だと言うのにかなり明るい。
    目の前で林の中を歩いていた高杉が止まったかと思うと、突然その場にしゃがみこんだ。
    そのままいつまで経っても動く気配が無いので、そこに高杉がここまで来た原因があるのだと察した銀時は、その正体を拝む為に高杉の正面に回りこむことにした。
    高杉の前に目を凝らしてみる。
    そこには昼間他の攘夷志士達に囲まれていた、あの白い猫に夕飯に出ていた魚を与えている高杉の姿があった。あんなに獣だの、猫の周りにいる志士を気が緩んでるだの言っていた癖に、自分はこんな夜更けにこんな所で人の目を盗みながら餌まで与えていたのかだから、銀時は可笑しくなってしばらくその様子を観察していた。
    余程その猫が好きなのか、むしゃむしゃと魚を頬張っている白猫を撫でる高杉の顔はこの戦争が始まってからは一度も見たことが無いのではないかと言うほど優しい笑みを浮かべていた。
    幼なじみのそんな姿を見てしまった銀時はなんだかいたたまれなくなってしまって、そのまま静かに自分の部屋へと戻ったのだった。




    あの時はまさかと思っていたが、高杉がこうして船に上げるのを許すほど猫好きだったとは思っていなかった。
    着いてきた自分が言うのもなんだが、結局高杉と猫を見たのはあの時だけだったし、猫の話題なんてそれきり出てくることも無かったからだ。

    「……今でも偶にお前みてェな白猫見るとアイツを思い出す。だが思い出す度に、てめぇで決めた覚悟まで揺らぎやがる。そんなもん抱えたまんま叶えられるほど俺の望んた事ァ安くねェ。」

    高杉が俺を撫でながらなにかに耐える様に呟いていると、覚悟を決めた表情で俺を持ち上げた。

    「だから………これでしめェにする」

    そう言った瞬間高杉の顔が近づいてきて、俺は驚いて目を瞑ってしまった。
    口に生暖かい感触を感じると同時にポンッと身体が元に戻るのを感じる。
    恐る恐る目を開けると身体はいつもの万事屋の格好に戻り、高杉の口が離れていったところだった。


    「そんな事だろうと思ったぜ、随分と早い再会だったな?銀時。」
    高杉はふっと笑うと先程までの辛そうな表情が嘘のように消え去り、いつもの薄ら笑いを浮かべていた。

    「?!た、たかすぎ?!い、今何しやがった…!!!」

    「助けてやった奴に随分な態度じゃねェか、銀時ィ。てめェがアホみたいな薬飲みやがったみてェだから戻してやったんだろうが」

    顔を真っ赤にしてが口元を抑えながら叫ぶ銀時に煙管を吹かしながら言った。
    高杉は俺が飲んだ水の正体を知っていたらしい。
    恐らく解除方法も知っていたのだろう。

    「殺気立ってるとこわりィが、戻ったんならさっさと帰んな。早くしねェとてめェの為に焼き魚持った俺の部下が戻ってくるぞ。」

    「………どうして逃がす?それに俺ァ言っただろ、次会った時はてめェを切るってよ。」

    全部分からなかった。高杉が何故あんな顔をしていたかも高杉の言葉の意味も。
    分からねぇ、振りをした。
    それを知ったら俺の覚悟も揺らいでしまうと直感したからだ。


    「銀時、確かに俺達はあの時袂を分かった、その決着は必ずつけなきゃならねェ。だが、それは今じゃねェ。俺達には俺達の相応しい時と場所ってのがあるはずだ。それとも今ここで首切られてェのか?」

    「ッ!クソッ!高杉!!!もう一度言うぞ、次会った時はてめェを切る!首洗って待っていやがれ!」

    ニッと笑ってみせると俺は窓から飛び降りた。






    ずっと前から銀時の事が好きな高杉が、己の曲げられない事を前に、銀時とキスする事によって恋心を完全にしまう話
    高杉は銀時の事が好きだったとしても信念は曲げないだろうなと思って書いてみました。
    2人ともこの先曲げられない戦いをする事が分かっているので、片方は心に仕舞って片方は気づいてない振りしてる。
    余談ですが高杉は猫が好きな訳ではなくて銀時みたいで可愛いという理由で白猫がすきです

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