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    zero_fai03

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    いつか完成させて形にするかもしれないけれど、予定がないので一旦供養。
    一応アル🌱/カヴェ🏛️です。

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    無題「おはよう、カーヴェ。」





    目を刺すような光を感じ、カーヴェは目を覚ました。どうやら昼が近いらしい。カーヴェが寝ているベッドは、朝には日が射し込まないのだ。

    「ーーーうぅ……」

    呻きながら身体をお越し状況把握に努める。

    (頭も身体も痛い…動きたくない…しかし腹が減った)

    恐らくは二日酔いと、昨日無駄に動き回ったせいだろうと当たりをつけ、力の入りづらい膝を叱咤し、起き上がる。

    正確な時間はわからないが、この時間だと同居人は居ないだろうから、用意する食事は一人分だな、などと考えながら居間へと続く扉を開けると。

    「…ふむ。」

    ダイニングテーブルの上に置かれた、一人分のサンドイッチ。十中八九、同居人がカーヴェの為に用意してくれた物だろう。その証拠に、このところ少々不摂生気味なカーヴェの食事傾向を踏まえて、ボリュームも野菜もたっぷりな仕様だ。

    「うま…」

    味もカーヴェ好みの少し濃い目、確か同居人は薄味を好んでいたはず。つまり、カーヴェ好みの物を、わざわざカーヴェの為だけに、朝から作ったということである。

    (何考えてるんだ、あいつ)

    カーヴェは思わず、全くもって思考回路が謎な同居人ーーアルハイゼンの顔を思い浮かべた。



    カーヴェがこの家に転がり込んだ頃は、お互いに距離感を確かめながら過ごしていたこともあってか、このようにアルハイゼンがカーヴェのことを気遣うようなことはなったが、いつ頃からか、特にカーヴェが深酒をした翌日などにこのように、朝食を用意してくれることが増えたように思う。理由がわからないので不気味ではあるのだが、ありがたいことは間違いないのでそのままにしている。下手に指摘して、用意して貰えなくなったら困るのはカーヴェなのだから。

    (それにしても、昨日はハードだったな…。インスピレーションの為にオルモス港まで足を延ばしただけだったのに、あんなことに巻き込まれるなんて…。僕が作家なら、昨日のことだけで一冊本がかけるんじゃないか?)

    そう、昨日カーヴェは、ちょっとした事件に巻き込まれたのだ。とはいえ事件といっても、カーヴェ自身が被った不利益は、インプットの為の散策ができなくなったことのみではあるのだが。

    (そういえばセノに、聴取の為にガンダルヴァー村へ行くように言われていたっけ。…何故ガンダルヴァー村なのかは、聞くだけ野暮だよな。)

    思わずにやりとしてしまいつつ、冷めたコーヒーを飲み終えたカーヴェは、身支度を整えた後、ガンダルヴァー村へ出発した。



    ―ーー



    「あ、カーヴェさん!」

    ガンダルヴァー村へもう少しというところでカーヴェに声をかけてきたのは、コレイだった。

    「やあコレイ、森の見回りか?」

    「うん、今ちょうど終わったところなんだ!あ…えっと、あたし、カーヴェさんにお礼を言いたくて。」

    「お礼?」

    元気よく走り寄ってきたと思ったら、急にもじもじとしだしたコレイに、カーヴェは少し不思議そうな顔を向けた。

    「あの、あたしの勉強机、カーヴェさんがデザインしてくれたって聞いて。なんていうか、使いたいものが思い立ったときにすぐに使えるっていうか、全部があたしの使いやすい場所にあるっていうか…と、とにかく、すごく使いやすいんだ!だから、お礼を言いたくて!」

    「ああ、そのことか。元はティナリに頼まれただけだし、デザインだけで実際に作ったわけじゃないけど、気に入って貰えたなら何よりだよ。」

    「ううん、作ってくれた職人さんが、『このデザインを考えたやつは、嬢ちゃんのことを第一に考えたんだろうな。一般規格とは違ってお嬢ちゃんの身体の大きさに合わせた調整がされているし、棚の位置や小物入れも細かく調整されてる。嬢ちゃんにとって、これ以上使いやすい机は無いだろうってレベルだ、感謝しておけよ。』って言ってた。だから、その、ありがとう!ございます…!」

    「…なんか、物凄く見抜かれてて少し気恥ずかしいな…。でもコレイが使いやすいと感じてくれてるなら、良かったよ。」

    カーヴェとコレイは互いに少し顔を赤らめ気恥ずかしそうにしながら、笑いあった。



    「コレイ、何してるの?誰かいるの?」

    と、そこへ村の方から知った声が聞こえてくる。

    「あ、師匠!今カーヴェさんとお話ししてて!机のお礼を言っていたんだ!」

    パッと振り向いて駆けていくコレイの向こう側に、ピンと立った耳を見つける。ティナリだ。

    「カーヴェ?やっと来たの?おっそいよ!」

    腰に手を当てて怒ったポーズを取りつつ、実際の口調は飽きれ半分諦め半分、といったところだろう。

    「時間の指定は受けてなかったし、これでも起きてからすぐに来たんだけどな。」

    「もう、減らず口を叩かないで。コレイ、悪いんだけど、走ってセノにカーヴェが来たことを伝えてくれるかい?あいつがカードの新しい対戦相手を見つける前に!」

    「わ、わかった!」

    急ぎ走り去っていくコレイを見送りつつ、カーヴェは思わずティナリに尋ねた。

    「ここでもあのカードゲーム、流行ってるのか?」

    「…セノのせいだよ。どんどん布教してるみたい。」

    「なるほど…。」
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