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    hariyama_jigoku

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    hariyama_jigoku

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    鍾タル小説。途中。先生に片想いしてるモブ視点。先生全然出てこないです。

    ##原神

    凄惨なエトランゼ2 先程までこちらに向けられていた敵意が、一気に目の前に現れた男への怯えに変わる。一歩、一歩と男の足取りはゆったりとしたものだったが、相手を射すくめるような何かがあった。
    「なんでって……さあ、どうしてだろうね」
     ―――執行官。悪名高いファデュイを統率する、幾人かの精鋭。璃月に滞在しているとは聞いていたものの、まさかこんなタイミングに出くわすなんて。周りの空気の温度が、一気に下がったような錯覚を起こす。噂ではあるが、岩王帝君を真に暗殺したのはまさにあの執行官なのではないかと言われていたのだ。
    「と、とにかく逃げるぞッ!!」
     張り詰めた空気を裂くように、男の内の一人が叫ぶ。それに呼応してかもう一人も走り出そうとするが、その間隙をついて影が走った。
    「させない、よっと」
     執行官の体が、ぶれる。緩慢に詰めていたはずの歩が、跳躍によって一気に埋まった。驚愕に歪む男たちの前に立ちはだかり、にっと嘲笑にすら思える笑みを浮かべる。そのまま体を回転させ、振り被られた蹴りが相手の腹に突き刺さった。苦悶の声を上げて、一人がその場に崩れ落ちる。
    「武器を使うまでもないな」
    「ぁ、あ、ああああああああああああああああッッッ!!!」
     心底つまらなさそうに嘆息した執行官に、自棄になったのかもう一人の男が勢いよく駆け出した。金属光沢の光が月明かりに反射し、男はそれを執行官に向けて振り下ろそうとする。瞬間、風を切るような音が通り抜けた。そして、ぱしゃん、とこの場に似つかわしくない水音が続く。
    「ぁ、がっ」
     男ががくりと膝を折り、そこから何かが転がり落ちた。持っていた武器を落とされたのかと、つられるように目で追う。それがいけなかった。ごろり、と暗がりの中から"それ"が月明かりに晒される。
    「―――ひっ」
     目をつけられぬよう息を殺していたが、あまりの光景に息が漏れた。転がったのは、人間の手だ。手首の半ばから絶たれ、決して少なくはない血が男からのたくったように這っている。手中には護身用だったのだろう小刀があったが、力なく指からこぼれ落ちた。
    「君はこの二人の仲間、じゃないよね?」
     心臓が、跳ねる。影から這い出た執行官の手から、ぱたぱたと水が滴った。見慣れぬ意匠の神の目が、明々と青に輝いている。喉に何か張り付いたように声が出せず、大きく首を横に振った。
    「そりゃよかった。このこと、見なかったことにできるなら見逃してあげよう」
     あまりに甘い対応に、警戒心が先立つ。
    「君も運が悪かったね、でもあいつらに売り飛ばされるよりはましだったろ」
     そう言って執行官の男は、先の行為にらしからぬ柔和な笑みを浮かべた。暗がりで仔細まではよく分からなかったが、月明かりに照らされた顔には見覚えがある。
    「あなたは、往生堂にいた……」
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    hariyama_jigoku

    DONE鋭百小説(鋭百々)。付き合ってていちゃついてる二人。互いの無意識の話。
    侵食 ちゅ、ちゅ、とリップ音が鼓膜を舐めるように繰り返される。くらくらと、その度に指先から全身に火が点っていくようだった。無意識に腰が引けるが、腰に回された腕が程よくそれを妨げている。
     眉見の肩に手を置くと、それを合図と思ったのか殊更ゆっくり唇が合わせられた後に緩慢に離された。吐息が濡れた皮膚に当たって、妙に気恥ずかしい。口と口をくっつけていただけなのに、なんて女の子みたいなことは言わないが、一体それだけのことにどれだけ没頭していただろう。腕がするりと離れ、柔らかなベッドに手を置いて体重をかける。
     勉強会という名目だった。元より学生の多い事務所では、勉強会がよく開かれている。C.FIRSTは専ら教え役だったが、S.E.Mなど加われば話は別だ。いつしか習慣と化したそれは、ユニットの中でも緩慢に続いている。事務所に行くだけの時間がない時。例えば定期テスト中―――下手に行けばつい勉強が手に付かなくなってしまう―――とかは、互いに課題を持ち寄って百々人は秀の、眉見は百々人の問題を見る。最初は二人が眉見に遠慮したものの、受験の準備になるからと押し切られる形になった。今日もそうなる予定だったが、秀が生徒会の仕事で欠席することを知ったのがつい一時間ほど前である。今日はやめておくかと聞こうとした百々人に、眉見が自分の家に来ないかと持ち掛けて今に至る。いつもは何かと都合の良い百々人の家だったのだが、一人で来るのは―――それこそ二人が付き合い始めてから来るのは初めてだった。
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