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    palco_WT

    @tsunapal

    ぱるこさんだよー
    Pixiv https://www.pixiv.net/users/3373730/novels
    お題箱 https://odaibako.net/u/palco87

    ☆silencio seguir Grita con emoji 🎵 🍆 🍇 💘
    POIPOI 79

    palco_WT

    ☆silencio seguir

    せうこさんの誕生日に書いたゾエ犬~

    未来を語ってキスをして やっほー、と言う軽やかで華やかな聞き覚えのある声に振り返った北添は、学校からの帰路にある公園に立っているろくえいかん高校の制服に、ちょっとだけ驚いて目を見開いた。
    「待ち伏せ成功~」
    「なんでこんなところにいるの。六頴館は今日卒業式じゃなかったっけ?」
    「うん。さっき終わったところ」
     卒業証書は親に渡したから手ぶら、と言う彼だったが、その手には公園入口にあった自販機で買ったとおぼしき二本のペットボトルが握られていた。
    「だったらなんで?」
    「逢いたかったから以外の理由、いる」
    「いらない」
     にっこりと笑った犬飼はベンチを指さして、座ろ、と誘う。北添は彼に従って、三門一高技術工作部寄贈と書かれたベンチに腰かける。そう言えばクラスメイトが公園にもっと休める場所があるといいから、って部活動で作ったと言っていたことを思い出す。
     ありがとね~とベンチの腰掛け部分を撫でながら座る北添に、犬飼は分からないなりに微笑ましそうに見つめながら、隣に腰掛ける。
    「はいゾエの分」
     犬飼が両手に持っていたペットボトルの片方を差し出す。北添の好みを心得たイチゴミルクだった。
    「本当にゾエさんを待ってたんだね」
     少し温くなっていたけれど、まだ春浅いこの季節ではちょうど良かった。イチゴの香りをともなった甘い味が口の中いっぱいに広がる。
    「もし気まぐれで違う道通ったりしてたらどうするの」
    「その時はゾエの家まで押しかけるかなー」
    「メールでもLINEでも入れてくれれば待たせなかったのに」
    「おれ待たせられちゃってたの?」
    「うん、教室でやる最後のボドゲ対決だって言って、隣のクラスでオージが水上くんとなんか変なチェスしてたからトーマくんと観戦してた」
    「変なチェス? どんなの?」
    「うん、罠マスとかあってそこを通過するとボッシュートされちゃうけど味方の駒があると無事だったりとか」
    「へえ、ふたりとも得意そう」
    「水上くんは『こういうのは犬飼がうまくやれそうや』って言ってたよ?」
    「そんなことないけどな~」
     とは言うものの、その豊富なトリオンゆえにA級時代はそれに頼みがちだった二宮をフルに生かすべく立ち回っていたのは、この傍らにいる青年だということを、同じくトップで争っていた部隊の副官だった北添ほど分かっているものはいないのではないかと、こっそりと自負している。
      自慢の恋人で、ライバルで、仲間。
    「でもさ、ゾエが三年ここを通って三門一高に行ってたんだなって眺めてるのも楽しかったな。おれも三門にすれば良かったかなー」
    「スミくんはその制服似合うから、ダメ」
    「ダメ」
    「そうダメ」
     わざとらしくすましてそう忠告する恋人に、犬飼はくすくすと喉を鳴らして笑った。今日でおしまいなのに、と。
    「だから今日見せてくれてありがとうねー。結構ボロボロだけど」
    「むしられまくったからね」
     上着のボタンどころかカフスまで奪われた姿はなかなかのモテっぷりを示していて、それも当然だと北添は満足そうにうなずいた。
    「ね、スミくん、もうすぐ遠征試験だけど、カゲのことよろしくね」
     ザキさんにもののさんにも頼んでおくけど、と北添がぽつりと呟くと、犬飼はふふと笑みを含んだ。
    「ゾエもそんなこと言うんだ」
    「嫉妬した?」
    「まさか」
     と犬飼は翠色の瞳を丸くする。
    「おれはゾエのそういうところも好きなんだから」
     いい機会だからおれなりに歩み寄ってみるつもりだけど、と犬飼は視線を春空に投げうちながら告げ、
    「それよりも十日以上一緒に過ごす一年たちがゾエにめろめろになったらどうしようっていう心配はしてるって言ったらどうする?」
    「どうしようって? ゾエさんの気持ちを疑うの?」
     北添は困ったように唇を尖らせる。だが犬飼は違うよ、といつもの少し癖のある笑いを浮かべる。「おれの素敵なゾエに」
     犬飼は改めて彼に向き直ると、胸の前に手でハートのかたちを形作る。
    「恋しちゃっても可能性はほとんどないよって。……どうしたの」
     だが北添はまだ唇を不満そうに突き出したままで、さらにちょっとだけ眉をひそめた。
    「ほとんどって酷いなー。ゾエさんがスミくん以外を好きになると思うの?」
    「だってさー、何でも絶対はないでしょ」
     ふわとまだ浅い春の、少しだけ冷たさを残した風がふたりの髪を揺らす。
    「例えば、あの日まであの鳩ちゃんがあんな大胆なことをするとは思わなかったし」
    「家出、したって聞いたけど」
     かすかな間を置いて、そ、と犬飼は頷いた。
     鳩原の「例の件」に触れると、犬飼の態度にはいつも少しだけためらいが含まれることに気づいたのはいつだったか。
     もう一年が経つのだ、と隣のクラスの、おとなしげな少女の姿を思い浮かべる。制服姿も、ボーダーの隊服姿も。高いところに上って、標的を待つ彼女の横顔はいつもどこか遠くの何かを探しているように北添にも思えた。
     彼女にまつわる事情には、自分たちが聞いている以上の、以外のこともあるのではないかとも。
     だが二宮隊や師匠の東くらいには近しい自隊の狙撃手の少年だって、北添の知っている以上のことを知らない。
     犬飼に詳しいことを聞き出そうとしてないのは、そうすればきっと困らせてしまうからではあったが、実のところそれは優しさからではなく臆病さゆえなのかもしれない、とも思ってはいた。
     少しばかりの予測も実のところなくはないけれど。
    「ね、影浦隊は遠征希望してるの?」
    「ユズルが行きたいみたいだからね。ほら、雨取ちゃんのいる玉狛第二は遠征確定したから。隊単位で選抜するなら、近界の食べ物がどんなのか興味あるし、ゾエさんは行ってもいいよ。たぶんカゲも。ヒカリちゃんも好奇心旺盛だから行きたがるんじゃないかな」
    「はは、やっぱ影浦隊はみんなお人好しで優しいね」
     犬飼が言葉とともにぽんと投げた空のペットボトルは綺麗に、少し離れたゴミ箱の中に収まった。 その横顔は淋しくて、綺麗で。
     だから。
    「もしかしたら、向こうにいるかもね、鳩原さん」
     北添の言葉にびくりと犬飼の肩が一瞬だけ波打ち、振り返る。
    「だって向こうから来れるなら行けたっておかしくない。鳩原さんは弟さんをずっと諦めてなかったから」
    「……そうだね。もしそうだったら、おれも鳩ちゃんをひっぱたく為に行きたいかな。辻ちゃんも氷見ちゃんも見えないところで泣いてたからね」
    「……そうなんだ」
    「うん、たぶん悔し泣き。何も話さないで勝手なことしたあの子にね。だからおれが叩いてあげるんだ。きっとふたりにはできないし、二宮さんはしないから。それがおれの役回り」
    (たぶん、鳩原さんはそうされたほうが楽になるんじゃないかな)
    「損だね」
    「かもね」
    「そんで優しい」
    「そう?」
    「でもゾエさんはそういうスミくんも好き」
    「もっと言ってよ、ゾエ」
     これから会えなくなる時間の分だけ、と犬飼は囁く。おれに勇気が出るように、と。
    「好きだよ、スミくん」
    「おれも好き。ね、キスして」
     答えを待たず、二宮隊の銃手はちゅっと北添の、ボディ同様ふわふわとして柔らかい唇に自らの唇を押し当てた。
     公園に人影はめずらしく見当たらない。でも通りか覗けば目についてしまうかもしれない。
     でも。
     北添は離れようとする犬飼の唇を追うように、深く重ねてやった。
     まずは初日の分のキスだね、と心も体も大きくて寛い恋人はちょっと照れくさそうに微笑んだ。
     
     
     ゾエから犬飼の呼び方はまだ出てきてないんだけど、「蔵っち」「カシオ」「オッキー」なあたりに王子やみんぐや小南からのもの+親しい当真や王子はカタカナ呼びなので、そこから王子が呼ぶ「スミくん」にしてみました。
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    palco_WT

    MAQUINARIA折本にするつもりだったけど流し込んだらはみ出て笑うしかなかった……加減……分量の加減……狭い遠征艇での窮屈な環境と、門による跳躍が影響する三半規管だかトリオン臓器に由来する何かの器官に由来するもののせいなのかは分からないが、いわゆる空間識失調《バーディゴ》っていうのはこんなものなのかもしれない。
     シャバの空気を吸って半日以上経つのに、まだ本復しない体にハッパをかけながら、休暇明けには提出しないといけない仕事に手をつけては、もう無理と倒れ、いややらないといけないと起き上がり、しかし少し経ってはちょっと休むを繰り返していた冬島の携帯端末が着信に震えたのは、そろそろ空腹を胃袋が訴えかけた夕暮れ時だった。
    「おう、何だ、勇」
    「隊長、今からそっち行くけど、なんか買ってくもんあっか? どうせ、遠征から戻ってからぶっ倒れたままだろ」
     ありがてえ、とローテーブルを前に床にひっくり返って天井を見上げたまま、冬島は携帯端末に向かって矢継ぎ早に告げる。
    「弁当なんでも、あと甘い菓子パン何個か。ドーナツでもいい。それとチョコレート味の何か」
    「何かって何だよ。ケットーチ上がるぞ。カップ麺は?」
    「ハコでストックしてあるから大丈夫」
    「その分だと缶ビールもいらねえな。煙草《モク》は?」
    「そ 3454

    水鳥の

    LUTO初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。
    「好きだよ、イコさん」
     時も場所関係なく伝えられる言葉に、生駒は不思議そうに尋ねたことがある。
    「なんや、王子、どないしたん?」
    「うーん、何でもないよ。ただ言いたいだけ」
    「それなら、ええ」
     にこにこといつもと変わらない笑顔を張り付けて、王子は生駒に言う。生駒は、本当にそうなら問題ないな、と頷いた。
     
    「で、今も続いてる、と」
     生駒から経緯を聞いていた弓場は、片眉を器用に持ち上げて嫌そうな表情をした。
    「そうや」
     生駒はいつもと変わらない表情で弓場の問いに答えた。
     日差しの気持ちよい午後、ボーダーのラウンジの一角に何故か十九歳組が集まり、何故か近況はどうなのかと言う事になり、何故か、王子と付き合っている生駒の悩み相談が開始された。
    「王子も可愛いところあるじゃないか」
     嵐山が、どこが悩みなんだ? と不思議そうに言う。
    「いや、何回も続くと生駒も鬱陶しいんじゃないのか?」
     嵐山の問いに柿崎が答える。
    「いや、そんなんないな」
     生駒は、当たり前だと言うように柿崎の言葉を否定した。
    「ないのかよ」
    1089

    palco_WT

    PROGRESO冬コミ新刊の水王の、水上の過去の捏造設定こんな感じ。
    まあそれでも入会金十万円+月一万余出してくれるんだからありがてえよな……(ワが2013年設定だとたぶんんぐが小学生で奨励会にあがったとしてギリギリこの制度になってるはず。その前はまとめて払ってダメだったら返金されるシステム)
    実際、活躍してるプロ棋士のご両親、弁護士だったり両親ともに大学教授だったり老舗の板前だったりするもんね……
    「ん、これ、天然モンやで」
     黄昏を溶かしこんだような色合いの、ふさふさした髪の毛の先を引っ張りながら告げる。
     A5サイズのその雑誌の、カラーページには長机に並べられた将棋盤を前に、誇らしげに、或いは照れくさそうに賞状を掲げた小学生らしき年頃の少年少女が何人か映っていた。第〇〇回ブルースター杯小学生名人戦、とアオリの文字も晴れやかな特集の、最後の写真には丸めた賞状らしき紙とトロフィーを抱えた三白眼気味の、ひょろりと背の高い男の子と、優勝:みずかみさとしくん(大阪府代表/唐綿小学校・五年生)との注釈があった。
    「でも黒いやん、こん時」と生駒が指摘する。
     彼の言葉通り、もっさりとボリュームたっぷりの髪の毛は今のような赤毛ではなく、この国にあってはまずまずありがちな黒い色をしていた。
    1983