冬の海辺のベンチアジトから離れた海近くのベンチに座る男が1人
『はぁ…』
ゆきんこがクリスマス以来起きてこない

あの日何かしちまったか？
流石に車ごと大量にプレゼント渡すなんて気持ち悪すぎたか？
しかも指輪やネックレスに化粧水、花束。
恋人でもない男からあんなの貰ったら重すぎるか
ドン引きされた…？

『はぁーーーー……。』
手を組み身体をかがめもう一度深いため息をつく

『安城』
振り返ると白井さんの姿
『白井さん、どうしてここに？』
『仕事がひと段落したから休憩しに来た』
『ドライブしてたらお前の車見つけたからな』
『あぁ…そう』
そうして白井も隣に腰を落とす




『悩みでもあるのか安城』
『白井さん、重い男ってモテないよな』
『え？…んー…、どうだろ。束縛されたい人もいるし一概には言えなくないか？』
『そっか、そうだよなー…』



キンっ
ジッポを取り出して火をつけて煙草を吸う白井
隣に座る安城は組んだ手をまだ緩められないでいる



『安城…、雪と連絡取ってるか？』
『え？』
『寂しがってたぞ。きっちゃんに嫌われたかなっ『嫌いに！』
『嫌いになるわけないだろ』
『それより白井さん、ゆきんこ起きてるのか？』
『いや？この街には来ていないんだ。入院してる』
ガタガタガタっ
思わず立ち上がる安城

『入院？！あいつ！病気が？』と言いかけてハッと口を押さえる
『大丈夫、知ってるよ。時間が合わなくて直接は会えていないけど電話で聞いたんだ。』
『そうか…』
それを聞いてゆっくり座り直す
(きっとここに白井さんがいるんだ。ゆきんこは大丈夫だ)




『ゆきんこは大丈夫そうだったか？』
『年末にウイルス性の風邪にかかって、元々抱えてた病気も相まって重症化してな。それで大事をとって入院してたんだ。今は大分回復していてもうすぐ退院予定らしい』
『そうか…良かった』

ここで安城もホッとしたのか煙草を吸う
顔を上げて空に煙を吐き出す



『それにしても白井さんにだけ連絡するのかよ。薄情なやつだよあいつは』
『ははは、違うよ俺から連絡したんだよ』
『なかなか街で会えなくて雪からメッセージが来てたけどなかなか起きてきてないようだったからな』
『そうか…俺も連絡すればよかったのか』
『そうだぞ安城。早くしてやれ、待ってるぞ』
そう言って安城の肩を叩いた白井は立ち上がり、そのまま去っていった






『相変わらず空気の読める男だな白井さんは』
しばらく吸った煙草を消して、スマホに手をやる
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『もしもし？』