「つづるー!!!!」
荒々しい音と共に自身の名前を叫ばれた瞬間、俺はキッチンに隠れるべくしゃがみ込んだ。隣に立っていた伏見さんが目をまん丸にしてこちらを見つめている。
「……読んでるぞ?」
「俺はここにいないんで」
むちゃくちゃを言っているのは分かっている。しかし感じるのだ、面倒事の気配を。
前にもあんな感じで名前を呼ばれた記憶があるのだが、とりあえずめんどくさかったということしか覚えていない。恐らく中身がアホほどしょーもなかったのだろう。
「なんで俺はここにいないっす」
「それが通用すると思ってるの!?」
「うわきた」
「酷くない!?」
いつの間にやらキッチンまで乗り込んできた至さんにドン引きするが、見つかってしまったなら仕方ない。
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