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    hinoki_a3_tdr

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    片思い拗らせてるのに何も伝わらないティボマキュ♀書いた
    (最後のお相手は執事ポジの千景さんイメージ)

    「お前、いったい何を考えているんだ?」
    目の前でしれっと紅茶をすする男を睨みつける。男、ティボルトは自身を気にした様子もなく、スコーンを手に取った。
    「何って、両家の、ひいてはジュリアスの安寧さ」
    にこやかに言い切ったその顔が無性に腹が立つ。それもそのはず。だって私はその安寧とやらに巻き込まれただけなのだから。
    「ジュリアスの乳姉妹の俺と、ロミオの親友であるお前が結婚すれば、和解が口だけじゃないって証明出来る。お前にとっても悪くないだろう?」
    「そ、れは……」
    ティボルトの言葉を否定することは出来なかった。この婚姻が成立すれば、少なくともロミオの後ろ盾ぐらいにはなるだろう。だが、それならば。
    「なんでよりによってお前なんだ……! ジュリアスでもいいだろうが!」
    「……キャピュレットの次期女主人にお前が? 寝言は寝てから言ってくれないか」
    「悪いが既に悪夢の中でね」
    「それはそれは。これ以上被害者が出ないようにここで食い止めておくべきだな」
    ああ、腹が立つ。ああ言えばこう言うとはこのことだ。確かにジュリアスは言い過ぎたかもしれない。それなら他の誰でもいい、こいつ以外なら!!
    「他だと証明には弱い。ジュリアスの乳兄弟である俺だからこそ意味がある」
    「ああ、そうかい」
    全く忌々しい。先程からまゆひとつ動かさず二言目にはジュリアス。私に興味がないことは明白だった。
    このご時世、女が幸福な結婚をすることは稀だ。だからといって、これはあんまりだと思う。
    「……泣きわめいたって、覆ることはないんだ。大人しく受け入れろ」
    「……お前のいい分はよくわかった。いいさ、勝手にしろ。代わりにこちらも勝手にさせてもらう」
    「何をする気だ」
    「別に? 今までどうり振る舞うだけさ。どうせ政略結婚の仮面夫婦だ。義理立てするだけ無駄だろ」
    「そんなこと許すとでも?」
    「それがこの婚姻を受け入れる条件だ」
    何もかもこいつの思う通り進むことが我慢ならない。そんな意地だけの主張だった。だが意外にも効果はあったらしい。
    「わかった、好きにしろ」
    「ああ、言われなくても」
    言葉と共に私は立ち上がる。動作だけは淑女らしく、作法に則って挨拶をした。
    このごちゃごちゃと鬱陶しいドレスを早くぬいでしましたい。キャピュレットの屋敷を去る頃にはティボルトの事など意識の片隅にもなかった。

    「あのような言い方はいかがなものかと」
    「うるさい、分かってる」
    「分ってるおられるなら……」
    「あ〜! うるさい!!」
    「……後悔しても遅いんですからね」
    「分かってる……。次こそは、ちゃんと伝えるさ」
    「だといいんですがね」
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