ロ誕ネタ「我が名は吸血鬼・がっかりプレゼント!」
「吸血鬼・がっかりプレゼント」
ロナルドとショットとサテツ、三人の驚いた声が見事に重なった。その大きさに畏怖を感じたのか、目の前の吸血鬼は高らかに笑う。そして、ロナルドを指さして言った。
「お前は退治人ロナルドだな! ここで会ったが百年目、お前みたいな奴はファンにプレゼントもらいまくってんだろう、くっそ羨ましい! っじゃなくて、くらえっ俺の催眠波!」
「うるせえっ」
「ベホァッ」
ロナルドの怒声と拳を同時にお見舞いされた吸血鬼・がっかりプレゼントはその場で倒れ、即お縄となった。
殴られた頬を盛大に腫らしながら吸血鬼・がっかりプレゼントは、あっと言う間に捕まったことで開き直ったのか、後ろ手に縛られたまま地面にあぐらをかき、VRCからの搬送車が到着するのを待つ三人の退治人相手に自身の能力を勝手に説明し始めた。
「誕生日とかクリスマスとかにだな、親にこれが欲しいって言っておいたのに、当日開けたら違う物だったって経験がないか? 俺はある。あるというかそんなんばっかだった。好きな漫画の全巻セットを頼んだはずなのに、百科辞典のセットだった時の俺の気持ちがわかるか? しかも一日一項目づつ読めっつーノルマ付きだぞ。誕生日とクリスマス、年に二回しかない欲しい物をお願いできる少ないチャンスを、成人過ぎるまでことごとく潰されたきた俺様が、この能力に目覚めたのはまさに必然っ」
そこでサテツは、そう言い放った吸血鬼の真正面にしゃがみ込んだ。
「あの、ひとつ訊きたいんだけど」
目線を合わせ、静かに語りかけたその姿に、ロナルドとショットははっとなる。
「この能力、いままで子供に使ったこと、ありますか?」
サテツのじっとりとした声音と視線にただならぬ気配を感じたのか、吸血鬼はごくりと息を飲み、
「……な、ない、です。実は、つ、使ったの、今日が初めて、です」
かすれた震え声でそう告白した吸血鬼は、がっくりとうなだれた。
「そう。それなら、良かった」
反対にサテツはその顔に安堵を浮かべ、ロナルド達が良く知る優しい口調に戻った。
「あなたのトラウマはわかるけど、だからといって誰彼かまわず同じ目にあわせるのはダメですよ。今後、もし子供に対してその能力を使ったら」
「……使ったら?」
その後に続くサテツの言葉はロナルドにはわかっていたが、怖いもの見たさに抗えなかったのか、件の吸血鬼はご丁寧にも聞き返した。あーあ、とロナルドは隣に立つ仲間に視線を向ければ、ショットも肩をすくめて同意を示す。
サテツは目の前にいる吸血鬼へひたりと視線を合わせ、静かに告げた。
「あなたがどこに逃げても、俺は追いかけて、絶対に捕まえます」
滅多にみせることのないサテツの真剣(と書いてマジと読む)モードを一身に浴びた吸血鬼は、こくこくと己が首を上下に振るだけだった。
そうこうしているうちにようやくVRCの車が到着し、吸血鬼・がっかりプレゼントを引き渡した後、ロナルドはショットに訊かれた。
「そういやロナルド、あいつの催眠まともに受けてなかったか」
言われて思い出した。なんかうっすい光線みたいなものを浴びたような気がしたが変な感じはしないよな、とロナルドは自分の体を見下ろす。
「いや、今んとこ異常は無えし。もしかしてハッタリだったって可能性もなくはね?」
「でもお前、今日誕生日だろ」
言われてそうだったと慌ててスマホ画面で現時刻を確かめる。
「悪ぃっ、俺もう帰るわ」
「おう、手伝ってくれてありがとな」
「ロナルド、誕生日おめでとう」
笑って手を振るふたりに、ありがとよと言い返し、ロナルドは事務所ビルへ向かって走り出す。
「戻った、ぞっ」
勢い良く開けた事務所ドアのすぐ横で、メビヤツがビーッと鳴いて出迎えてくれた。その頭部に帽子を預け、留守番ありがとなと声をかける。
真夏の夜を駆け通して戻ったロナルドは、自分の顎にしたたる汗を手の甲で拭いながら急いでリビングに繋がるドアへと向かった。
本当なら日暮れまでに戻るつもりだった。なのにあんなおポンチ吸血鬼にせいで、予定より小一時間は遅れてしまった。怒っているかな、とドアノブに手をかけて回し、そっと扉を開ける。途端、破裂音が鳴り響いた。
「誕生日おめでとう、ロナルド君!」
「ヌヌヌヌー!」
火薬の弾ける音に反射で腰を落としたロナルドの頭上へ、色とりどりの細いテープと紙切れがひらひらと降ってきたのを唖然として見上げた。
「どうした、若造。あ、もしかしてびっくりして腰抜かしちゃったとか?」
見下ろしてきたドラルクの笑顔に向かって「ちっげーよ!」と怒鳴り返し、慌ててロナルドは立ち上がる。
「あ、あのなドラ公、遅くなったのは」
「はいはい、みなまで言うな。どうせ、どっかのポンチに遭遇したんでしょ? 賢く聡いこの私には、君の動向なんかお見通しなんだよ」
ふっふっふと鼻高々にそう言われ、以前のロナルドなら行動を見透かされていたことに腹を立てていただろう。
でも、今は。好きだと自覚して、お前が好きなんだと告げて、私も君のことが好きだよと応えてもらった今となっては。
「別に怒ってないから。大急ぎで戻ってきたのは、その汗を見ればわかるよ」
だからとっとと風呂場へ行け、とびしっと指さされたロナルドは、その言葉に素直に従うことにした。
「さて、改めまして」
ドラルクそこで一度ジョンと顔を見合わせ、ホットミルクを満たした自分のマグを掲げた。
「ロナルド君、誕生日おめでとう!」
ヌヌヌヌーッとジョンも自分の小さなグラスを上げる。
ロナルドは自分が手にした麦茶のグラスをそれぞれの容器に当て、小さく鳴らした。高く澄んだ音は耳に心地良く響く。
「飽きるまで唐揚げ食べたいって言う君のリクエスト通り、たくさん用意したぞ。思う存分、貪るがいい!」
やったーっとロナルドはジョンと一緒に諸手を上げて喜んだ。定番のショウガを効かせた醤油味に、白くて薄い衣をまとわせた塩味。このふたつは今までも良く出てきた味だが、今回はスパイスがぴりっと舌を刺激する、カレー味(後でドラルクが言うには、ガラムマサラ味だそう)エスニック風味の二種類が新たに登場して、ロナルドのテンションは上がる一方だった。
うまいうまいと順番に食べていたら、向かいに座っているドラルクが柔らかな笑みを浮かべた顔でこっちを見ているのに気付いた。
ロナルドの視線を受け、ドラルクの目元が綻んだ。ふふっと小さな吐息が薄い口唇から漏れる。
「お気に召したようで、なにより」
ごくん、と咀嚼していた唐揚げをロナルドは飲み込んだ。
「あ、うん。すげえ、うまい」
素直に伝えれば、ドラルクの笑みがふわりとその顔中にひろがった。ロナルドにはそう見えた。と同時に鼓動が大きくひとつ、胸の奥を打ったのがわかった。でもそれを押し隠すように、ロナルドは箸を動かす。
「唐揚げもいいけど、こっちも新作だから」
紅く彩られた指先が真白いスープボウルに満たされた鮮やかな緑色のスープを示す。枝豆の冷たいポタージュは、熱々で香辛料を効かせた唐揚げの後に口に入れると、その刺激を和らげてくれる。
スティックサラダにはマヨネーズに色々な調味料を入れたディップが用意されていて、あれもこれもと試さずにはいられない。
こっちはこんな味だった次はどれにする、とジョンと一緒に楽しむ誕生日のご馳走は、最高に心が躍った。俺の好きなやつが俺の誕生日に俺の為に俺の好きなものを作ってくれた。そんなこと初めてだ。嬉しいとか楽しいとかそんな言葉じゃ足りないくらい、くすぐったいほどの衝動が身体中を駆けめぐっていく。
「それにしても君たちがこんなに食べるとは……ホントですごいな。えーと、ケーキも用意してあるんだけど、入る?」
「食べるに決まってんだろっ」
「ヌヌヌー!」
誕生日にケーキがなくてどーすんだっ、と続けたロナルドの雄叫びとジョンの鳴き声を受け、ドラルクは高らかに笑った。
「よく言った、この飽食者どもめ! 心して食すがいい!」
どんなケーキが登場するかとわくわくとして待ちかまえたロナルドは「あ、その前に」とのドラルクの言葉に、ふへと間抜けた声を漏らした。
「ジョンがね、君にプレゼントがあるって」
「ヌヌヌーッ」
「え、マジで? ありがとジョン!」
ジョンから手渡された赤いリボンが十字にかけられた白い封筒を開封すると、そこには五枚綴りのチケットがあった。
「えーと何々、好きな時に三分間腹毛をモフれる券? 一年間有効……って、ジョン! すっげえ嬉しい、ありがとう!」
そこでロナルドは、先ほど遭遇した吸血鬼・がっかりプレゼントのことをふいに思い出した。
欲しいものがもらえなくなるとかいう能力だったが、それを使うのは初めてだと白状していた。ということは、もしかして効いていなかったのかもしれない。
ロナルドはジョンの腹毛モフり券を封筒に戻し入れ、ケーキの準備を始めたドラルクを目で追いながら考える。
こんな嬉しい誕生日は初めだし、俺が欲しいものって、今は特にないしな。
「さあ、ロナルド君。願い事を思い浮かべながら、ロウソクを吹き消すんだぞ」
大きなケーキの上に灯された一本のロウソクの火。ロナルドは大きく息を吸い込み、一気に吹き消した。
「さすがゴリラの肺活量だな。デコレーションがはがれるかと思った」
そうからかうドラルクにロナルドはうるせえと言い返す。そんなやり取りさえ、こそばゆいような嬉しさがある。
ケーキを食べて、丸いお腹をさらにまん丸くさせたジョンがころりとテーブルに転がった。ロナルドも自分の食欲が満たされたことを感じて、深く息をつく。そこでようやく今何時だろう、と時計を確かめれば深夜をはるかに過ぎ、ほぼ夜明けに近い時刻だった。
夏の盛りの夜は短い。それをわかっていたから早めに戻るつもりだったのに、とまたもやあのお騒がせ吸血鬼のことを思い出す。
でもまあ、あいつが通りすがりの子供に能力を使わなかったのは幸いだったな、とサテツの珍しいマジモードを思い返して小さく笑った。
子供の頃に欲しかったプレゼントか、と自分の記憶を辿る。
兄であるヒヨシは、ロナルドとヒマリの誕生日には必ず休みを取ってくれた。朝起きた時、真っ先にヒヨシがおめでとうと祝ってくれたことを思い出す。欲しいものはあるかと訊かれても、兄ちゃんがいてくれればいいと、毎年繰り返していた気がした。
ただの思い出だ、とロナルドは自分の回想を振り払う。
そして、目の前にいるドラルクとジョンへ目を向ける。
本当に欲しいものって、案外自分では気付かないものなのかな、とロナルドは思った。
「ロナルド君、クリームついてる」
伸ばされたドラルクの指先が頬に触れる。それだけでロナルドの心臓が高鳴る。
欲しいもの。
俺が本当に欲しいもの。プレゼント。
好きだと思っている相手が、自分の為に作ってくれた美味しい料理とケーキを食べて、おめでとうと言祝がれること。
これ以上に嬉しいことがあるのかな、とドラルクの指が肌の上を擦るその感覚を受けながらロナルドは思う。
ロナルドを見ていたはずの紅い瞳が壁へすいっと流れ、もうこんな時間かとの呟きと共に、細い指が頬から離れていった。
「少し片付けておかないとな」
立ち上がったドラルクは椅子にかけてあったエプロンを手にし、ロナルドへ背を向ける。
「あっ」
思わず伸ばした指先が、ドラルクの袖口を摘んでいた。
ロナルドは白いシャツの袖を摘んでいる自分の手と、不思議そうな顔をしているドラルクの顔を交互に見た。
「……ロナルド君?」
かあっと顔が一気に熱くなる。だが、手ははなさなかった。はなせなかった。
「あ、あのさ、ドラ公」
次の言葉が出てこない。あぁとかうぅとか呻き声だけしか出てこない。何を言いたいのか、自分でもわからない。
ドラルクは摘まれている自分の袖口へと視線を落とし、くすりと笑った。
「二度目だね」
掴まれていない方の手で、ロナルドの震える指先を包み込み、
「さて、今度は何を言いたいのかな」
面白いことになってきたぞとばかりに、紅い双眸がきらりと光った。
そうだ、二度目だ。ロナルドはその燦めきを眼にして思った。
顔どころか全身が熱くなってきて、心臓がばくばくとなって、でも目の前にいるドラルクの顔だけははっきりと見えている。冷たい指先がロナルドの手の甲を撫でているのだけはわかる。
つい最近も同じことがあった。
だからこれは確かに、二度目だ。
――夏の昼間って、こんなに長かったっけ。
ロナルドは肩越しに見上げた窓から覗く夏空は鮮やかに青く、浮かぶ雲は白く輝いている。
エアコンの稼働音だけが低く響く事務所内には、ロナルドしかいない。真夏の午後、もうすぐ夕方と呼ばれる頃、そろそろ太陽が地平線に沈んでもいい時刻だ。それなのに陽射しは衰える兆しがない。
退治人としての仕事は日暮れてからが本番だ。それまでに少しでも原稿を進めておこうと、昼過ぎに起き出して事務所でひとりPCに向き合っていたがどうにも進まない。何となく入力した文字をしばらく眺めては、削除キーを連打して消すを何度も繰り返していた。
なんだか静か過ぎて落ち着かない。メビヤツは机にロナルドが座ったのを認識すると、執筆の邪魔にならないよう自ら待機モードに入った。その機能はロナルドに何かあった場合か、声を掛けるまで解除されない。
扉一枚隔てた向こうにいるはずのキンデメは夏の陽射しがキツいぞブブブと、日中は遮光性の高い布で水槽を覆うよう申し立ててきた。まあそれくらいなら、と要請通りにしてやったら、良く眠れるぞほめてつかわすグブブと言われたので、エサをワンランク下げてやった。三日間だけ。
ジョンは昼も夜も気にすることなく起き出してきたりするが、それは自分の寝床に入っていた時だけで、ドラルクの棺桶で一緒に眠った時は主人が起き出すまで出てくることはなかった。
つまんねぇの、と小さく呟いて、ロナルドは額の上に巻いていたバンドをむしり取った。執筆に集中できないままもう数時間は経っている。それなのにまだ外は明るい。夏至はとっくに過ぎたというのに、昼間の長さは未だ顕在だ。
腹減ったな、と原稿は諦めて立ち上がった。確かドラルクが用意しておいた軽食があるはずだ。
居住区へのドアを開けると、妙にガランとした空間が広がっていた。あちこちに家具が置いてあるはずなのに、何だか広く感じる。それに静かだ。ロナルドの裸足の足裏が床の上を踏んでいく、ペタペタという音だけが耳に届く。
「えーっと、どれだっけ」
冷蔵庫を開け、そのひんやりとした空気を顔に受けながら、ロナルドはタッパーや食材が整然と並んだ庫内を見渡した。
数日前、ドラルクが棺桶で寝ている間の空腹に耐えきれず、冷蔵庫内にあったタッパーを適当に漁って食べていたら、起き出したドラルクに見つかって怒られた。ただ怒鳴り散らすのなら、へいへいと右から左に流してしまうのだが、この時はそれはもう静かに、そして深く、沸々とした怒りを抑えようとしながらも、ロナルドの行為がどういったものなのか理路整然とドラルクは言い立てた。これから暑くなるから目に入った物を空腹に任せて口にした結果どうなるのか君はわかっているのか、この気温の中で一度開けて手を付けた食品をその後また戻しておいた場合における衛生が云々かんぬん、等々。
その際、謝罪を求められなかった。真っ先に「あやまれ」と言われるかと思ってたのだが、一切言及されなかった。ドラルクの滔々とした説教を、顔を俯かせて黙って聞いていたロナルドは、ネットで良く見かける「私は冷蔵庫の料理を勝手に食べました」という札を首から下げているペットの写真に自分の姿がすげ替えられているさまが脳裏に浮かんだ。もしかしなくても、こいつににとってあれと同じ扱いなのか、俺は。
そこまで考えたら、何だかとても辛い気持ちになった。いつものように何やってんだこのゴリラめムキーッと怒ってくれた方がよっぽどマシだと思った。
「……悪かった」
今度から気をつける、と渋々と声に出すと、立て板に水のようだったドラルクの説教が唐突に止まった。そして小さく首を傾げられた。
「……さっき食べた常備菜にセロリ入ってたかな?」
「ゥギャーッ!」
セの字に反応したロナルドの繰り出した正拳突きがドラルクに命中し、見事に砂と化して床に崩れ落ちる。
「冷蔵庫を漁る前に何処かで拾い食いでもしたのかね、ロナルド君」
「してねーし! 拾い食いって犬じゃねーし!」
再生を終えたドラルクはそこでふう、と小さく息を吐き出した。
「まあ分かってくれればいいさ。とにかく、冷蔵庫の中のものは勝手に食べないこと。下拵え段階の食材もあるから、下手したらお腹壊すぞ」
その忠告にロナルドはうっとなった。確かにそれは怖い。
「わ、わかった……」
「えっとロナルド君、マジで本当にどうかした? もしかして熱でもあるの?」
「うっせぇっ、ひとが真面目に返事したってのに、何だその言いぐさは!」
ドラルクは片眉をひょいと上げると顎先へひと差し指を当てた。そしてわずかな間の後に、ふむとひと言発した。
「私もわかった。今後は食べていいのには、メモを貼っておくことにしよう」
メモが付いてるやつは、と庫内を見渡していたロナルドは、積み重なったタッパーの手前に置かれているラップの掛かった皿を見つけて手に取った。表面に「レンジで一分三十秒」とドラルクの字で書かれている付箋紙が貼られている。それをむしり取ってレンジに入れ、表示通りに設定してスタートボタンを押す。
他に何かないかな、と再び覗き込むと、ラップの掛かった真白いスープボウルがあった。手に取ってみれば付箋が貼られていた。中には赤いスープが満たされている。
ラップの表面には付箋が乗せられていたので、食べて大丈夫な料理だとわかる。確かにこの方法は便利だ。悔しいけどロナルドは素直にそう思った。
あ、これ俺の好きなやつじゃん、と器の中を見て嬉しくなった。春から夏になると良く出てくる、トマト味でベーコンの旨味がして具沢山のスープだ。
なんだよ、ちゃんと俺の好み把握しやがって、とその場で小さく足踏みする。
電子レンジが最初の皿の温めが終わったぞ、と知らせてきたので取り出し、次にこのスープをセットする。付箋には「eat me」とだけ書いてあり、よくわからなかったからお任せモードのボタンを選択した。
【まだまだ続きます】