Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)を中心として、登場人物の心情と空を飛ぶ描写に力を入れて書いています。
    年齢不詳の雀たちや、2人が惹かれあっていくところも書いていきますよー!!
    BL苦手な人は退避ッ!!
    顔あり、白肌、衣装や設定など変更してあるので苦手な人は退避ッ!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 52

    咲良(さくら)

    ☆quiet follow

    本編⑩〜過去編〜
    過去のお話し、紺碧と紅藤の出会い。
    紺碧(こんぺき)→青い瞳、ボブ
    紅藤(べにふじ)→紅い瞳、光の語り部ヘア

    峡谷の裏レース→大金が動く賭けレース。

    ##本編
    ##星くず書庫

    紺碧と紅藤①「先に手を出したのはそっちだからね」
    殴られ、赤くなった頬に指先で触れて、顔をしかめつつ紺碧は相手を睨め付けた。
    峡谷「裏」レースのゴール地点。
    とうとう始まった野良との喧嘩を隣で眺めながら、紅藤は内心ため息をつく。
    きっかけはレース中に起こった些細な出来事だったが、激昂した相手が紺碧を殴ったのだ。
    しかし紅藤は知っている。
    わざと相手を怒らせて先に手を出させ、それを理由に過剰な仕返しをするやり方を。
    避けようと思えばいくらでも避けられた拳をわざと受けた。
    ほとんどダメージがないくらいに、きちんと調節して。
    紅藤が止めに入らないのは、面倒だから、それだけだ。
    他人のふりでもしていようか。
    冷めた目で野良とのやり取りを聞き流しつつ、峡谷の風呂でも行こうかと思いつく。
    紺碧が杖をくるりと片手で回転させ、両手で握りしめた瞬間、野良の顎が割れた。
    杖の輪の部分で殴ったのだ。
    振り抜くように躊躇(ちゅうちょ)のない動きだった。
    「もういいだろ、さっさと行くぞ」
    騒ぎが大きくなる前にこの場を去りたい紅藤は紺碧に声をかけ、はっとした。
    白目を剥いて昏倒している相手に、杖の先端、金属で補強してある方を向け、振り下ろそうとしている。
    その腕を、寸前で掴んで止めた紅藤は怒鳴り飛ばした。
    「やり過ぎだって何度も言わせんな!てめぇの頭はニワトリ以下か!」
    止められた紺碧は面白くなさそうに眉間に皺を寄せ、小さく舌打ちする。
    「不快なんだよ。大して速くもないくせにごちゃごちゃ文句ばっかり。こんなヤツ居なくたっていいでしょ」
    そう言う彼の目の奥に、仄暗い憎悪の炎が見え隠れしているのを、紅藤は何度も見ている。
    人当たりの良い微笑みを顔に貼り付けたこの男が周囲を騙し、いいように利用していくのを、何度も見ている。
    そして今回のように、憎悪を発散させるかのような行動に出るところも。
    歪んでいる、と思う。
    しばしお互い無言で睨み合い、紺碧の手から完全に力が抜けたので、紅藤は掴んだ手を離した。
    その瞬間にとんできた平手打ち。
    紅藤の頬から、小気味のいい音があがる。
    別段、速い動作というわけではないのに避けられなかったのは、全く攻撃してくる気配がなかったからだ。
    無意識に手を動かすほどの感覚で繰り出された平手。
    人に危害を加えることに慣れすぎた、なんの躊躇も感情の動きもないただの動作だった。
    耳を狙ったのに、と紺碧の笑いを含んだ声が聞こえて、紅藤の頭にカッと血がのぼった。
    ほとんど反射的に平手をお見舞いし...紅藤の一撃の方がはるかに重いのだが...痛そうに、それでもヘラヘラ笑っている紺碧に怒りが振り切れそうだ。
    なんでこんな奴の相手をしなくてはいけないのか。
    これも全て組織の命令だ。
    そうでなければ、一生関わりたくない相手だった。


    紅藤が所属する組織では不正組織の調査、闇に関する調査などを請け負っている。
    今回はリサイズドリンクの偽物を製造するグループを追っていたのだが、そこから抜けた人物が居ることが分かり、接触をはかった。
    それが紺碧だ。
    長身の男で、銀髪に碧眼。
    ボブの髪には、襟足に青い髪の束が所々混じっている変な毛色の奴だ。
    男女問わず虜にするような容姿の持ち主だが、その性根は腐り切っている。
    紺碧は所属していたグループでトラブルがあり抜けたようだが、この人格ではいかにも起こり得そうなことである。
    彼に接触し、紅藤の組織へ引き入れることが目的なのだが、こんな狂犬みたいな奴を入れて大丈夫だろうか。
    いまここで粛清してしまった方が世のためなのでは?
    「おい」
    なんとか殺意を押し殺し、さっさと立ち去ろうとしていた紺碧の背に声をかける。
    「なに」
    踵(きびす)を返して振り返ると、幾つもあけられた耳のピアスが揺れた。
    「お前、恨まれてるぞ。下手したら殺される」
    先ほどの野良とのトラブルを見ても分かるように、紺碧は様々なところから恨みをかっている。
    過去に因縁をつけた相手が復讐を目論(もくろ)んでいるらしいことを、紅藤は掴んでいた。
    紅藤としては紺碧が死のうが構わないのだが、組織としては死んでもらっては困るのだ。
    「は!望むところだよ。つまらなくて死にそうなんだ。キミに今殺されたっていい」
    吐き捨てるように笑って、靴音も高く、紺碧は大股でその場を立ち去っていった。

    ーー後日、雨林でぼろきれのように捨てられた紺碧を、紅藤は発見する。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍💖😍😭😍😭😭😭💖💖😍😍💕💕💘💘💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator