マフィアパロ的な つい言ってしまった、というには、あまりにも最低な言葉だった。相手の顔が歪み、慌てて口を抑えるが、もう遅い。
「ッ、ごめ」
「いや、いいです」
もう、いい。と、全てを否定するような冷たい声。普段のおちゃらけた雰囲気は、今の彼からは微塵も感じられなかった。
居心地が悪いとでも言うように目を逸らされ、続けて、ちょっと散歩してきます、の言葉。関わるなと言わんばかりの背中に声をかけることは、俺には出来なかった。
「...なんであんなこと言っちゃったかなぁ...」
彼自身の在り方を否定する、俺が彼に放った言葉はそんなものだった。誰だってそんなこと言われれば傷つくし、悲しい。赤子でもわかる当たり前のことだ。それを俺はやってしまった。
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