ある「元」光の戦士の6.01その5「ふぅ」
白い吐息が口から漏れる。
チョコボに乗って走っているせいもあるが、クルザスは年中寒い。
モードゥナを出て、一旦クルザス中央高地へ。その後、すぐに黒衣森北部へ。そのわずかな時間でも、雪の積もったこの土地はどうしても寒い。
そういえばこのあたりが雪国になったのは第七霊災以降ではなかったか。
ともすれば、このあたりもダラガブの影響でエーテルが凝固しているんだろうか。
モードゥナが雷、クルザスでは氷のエーテルが噴き出していると考えるとなかなか忙しい土地だ。
鼻先が冷たくなってくる。寒いのはあまり得意ではない。次からはもっと着込んでこよう……。
ぱしゃり、と水音を立てて、チョコボが川を横切った。
エオルゼア、ひんがしの国、第一世界、果ては宇宙まで共に旅したチョコボといえど、こんな凍りつきそうな川に足を突っ込ませて渡らせるのは心配になる。
凍傷にならないように、黒衣森に着いたら休ませよう。
次第にアドネール占星台が見えてくる。野垂れ死にそうな無職に初めて出会った場所だ。あのころはこんな長い付き合いになるとは思いもしなかった。
占星台を見上げていたら、ぐい、と右側に引っ張られる。チョコボが道を曲がったのだ。
フィーネはチョコボの背中をなでた。騎手がよそ見をしていても、どこに向かっているか理解して、自ら正しい道を進んでくれる。
黒衣森が見えてきた。この寒さももう少しの辛抱だ。