ある「元」光の戦士の6.01その8「こんなものかな」
シャンテレールをチョコボかばんにつめる。ミューヌに聞いた、バターで焼くだけで美味しく食べられるキノコだ。黒衣森の中央森林、ベントブランチに生息している。
他にも目ぼしい食材と生息場所を教えてもらい、採取を終えている。
暗くなる前にそろそろクリスタリムに帰ろうか。
黒衣森の北部森林へ向かおうとチョコボを走らせる。
「あれ」
フィーネはチョコボからおりてしゃがみこみ、足元の草を観察する。
「これ、お茶の葉に似てるな。なんだろう」
ミューヌの話では、グリダニア周辺で採取の茶葉はあまり流通していないということだったが。試しに持って帰ってみよう。
東部森林ではギルバンを手に入れた。これまたキノコであるが、こちらは鶏肉と合わせて炒めるのがおすすめらしい。
シンプルに焼いたキノコ。鶏肉と一緒に食べるキノコ。
どちらもさぞかしジューシーだろう。思い描くとお腹が空いてくる。
キノコ万歳、キノコキノコキノコノコ。
バカなことを考えていたらアルダースプリングスが見えてきた。
ここらで採取できる食材はエッグプラントにミッドランドキャベツ、ジェードビーなど。どれも美味しい食材……ではあるのだが、クリスタリウムで手に入る素材との組み合わせが思いつかず、今回は断念する。
自由に食材を手に入れられるなら、フィーネが知っているレシピでうまく料理できるだろう。
マーケットボードを使えば遠方の商品は手に入る。しかし、大量購入せざるを得ない出品物が多く高額になりがちだ。クリスタリウムの居住館に長期滞在している以上、それなりの金額の宿泊費が必要で自由に使えるお金には限りがある。それに、ひとりでは大量の食材を食べきるのが難しい。
同様に、旅費がかさむため遠出しての採取も避けたい。まあ、避ける理由には出費以外の理由もあるのだが。
そう考えていくと、やはり少ない食材の組み合わせで美味しくいただけるキノコは最強の食材ではないだろうか。
それに、グリダニアで変えた素材にはとっておきがあって……東部森林で採取したあの食材があれば……ふふふ。
フィーネの乗るチョコボがフォールゴウドを通り抜ける。想像を膨らませながら帰路につく彼女の横顔は、往路よりも晴れやかだった。