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    tomko_106

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    安定の現パロさねぎゆ。両思いなのは知ってたけど思いを伝えないまま独り身を貫いた二人。そんな二人が転生し、実弥は記憶があるのに対して義勇は記憶がない。ハピエン以外のなにものでもない。ネタその3(だったらいいな)

    #さねぎゆ

    生まれ変わった二人が再会したけれど、冨岡には記憶がなかった。それでも、鬼を狩っていた時代に比べれば平和な世界だ。今、想いを伝えないでどうする。――と決意した不死川は冨岡に告白する。しかし冨岡は何も覚えていない。突然よく知らない相手、それも同性からの告白だ。戸惑うことしかできない。
    「すまない」と申し訳なさそうに謝る冨岡に対し、不死川は予想していたのか、さして動揺することなく「わかった」と言う。――が、「じゃあ、テメェを惚れさせたら良いんだろォ?」と言い放った。

    それ以来不死川は毎日のように冨岡を口説いた。戸惑っていた冨岡だけども、毎日不死川と接する内に、自然と惹かれていく。けれど、不死川の告白を受け入れる事には躊躇ってしまう。何故ならば、彼が己を通して、違う「誰か」を見ている気がしてならないからだ。

    そこで、冨岡は不死川に問う。
    「何故、俺だったんだ」
    殆ど初対面の筈だ。少なくとも冨岡にとっては。訝しげな冨岡の様子に、不死川はそろそろ言ってもいいかと判断し、前世の事を冨岡に打ち明けた。冨岡は何も覚えていないけれど、妙な懐かしさを感じた。それに不死川が、こんな嘘を言うような人間じゃないことも知っている。故に、不死川の話している内容は本当なのだろうと信じた。信じられた。
    (それならば、尚更…)
    余計、自身の想いは伝えられない。彼が望んでいるのは「過去の自分」で、今ここに居る「自分」ではないのだと冨岡は思う。
    「お前が見ているのは、昔の俺なのだろう…もう、近付かないでくれ」

    好きだから悲しかった。
    冨岡は不死川の前から逃げるように走り出した。告白してくれたのも、話し掛けてくれたのも、優しかったのも、笑い掛けてくれたのも、傍に居てくれたのも、全て「今の己」を通して「昔の己」を見ていたからに過ぎなかった。胸が張り裂けそうだ。
    「おい、待てェ!」
    「!」
    鬼のような形相で追いかけてきた不死川に、冨岡は驚きながらも走る速度を上げる。
    捕まるわけにはいかない。これ以上、苦しい思いはしたくないから。
    「何でテメェはいつも、そうやって卑屈に、なるんだよ! ゴラァ!!」
    「……う、っ」
    しかし足の速さはどうしたって不死川の方が上なのだ。追い付かれ、捕まってしまう。二人して息を切らして、暫しの間、肩で息をし続けた。

    「俺を、見て、ほしい……昔の、思い人では、なくて……今の、おれを、見てもらいたくて、」
    胸がいっぱいで張り裂けそうになりながら思いを言葉にする。例え前世であろうと、己は何も知らないのだ。
    「お前は昔の俺を知っていたから、好きだと言ってくれたんだろう」
    顔を見れず、俯いたまま告げる。下を向いているせいで涙が溢れ落ちた。
    「俺は今のお前を、好きになったのに」
    昔の不死川がどんな人物だったかなんて冨岡は知らない。覚えていない。それでも好きになった。ならざるを得なかった。
    「……踊らされてるみたいだ」
    今の己に優しいのも、たくさん話し掛けてくれたのも、全て過去の自分のため。不死川が告げた「好き」という感情すら「昔の己」のものの様な気がして、どうしようもなく悔しかった。
    「何でそうなるんだよォ」
    思いもしない方向に拗れ、不死川は頭を抱えそうになる。不死川にとっては冨岡は冨岡である事に変わりはない。しかもこの卑屈具合もぶっ飛んだ思考も、何も変わっていないとすら思う。
    でも、そう思う事自体が、冨岡を苦しめているのだと知る。
    「俺の気持ちに応えられねぇって言うなら、それでもいい」
    「…、」
    「けどなァ、お前が誰かのモンになるのを指くわえて見てろっつーのも癪なんだよ」
    好きだから諦めきれない。他の誰かとの幸せを願えるほど優しくもない。ましてや両思いなら尚更。手放せる筈がない。

    「今考えろ。俺を振って一生独身でいるか、また毎日口説かれるか。どっちがいい? 選ばせてやる」
    「は?」
    「一分以内に選べェ」
    「っ、か、勝手な、」
    「あァ、そうだ。俺ァ自分勝手なんだよ」
    仕方ねぇだろ、好きなんだからと、言われ、冨岡は思わず不死川の胸元を掴む。
    「それが嫌だと、何度言えば――」
    「俺からすりゃあ、今も昔も変わってねぇんだよ。お前はお前だ」
    「ッ、それなら、俺の姿が昔と違ってたのなら、好きにはならなかったのだろう?」「この見た目以外のお前か……想像つかねぇなァ」
    不死川は冨岡の髪に触れ、毛先に口付けをする。今の時代、男はあまり髪を伸ばさない。それなのにコイツはまだ、背の中ほどまで髪を伸ばしていた。
    「ほら、」
    「でもまァ、何でも似合いそうだよなァお前」
    「……」
    駄目だ。全く話を聞いてくれない。
    ようやく冨岡は、何を言っても不死川は引いてくれないのだと悟った。
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    ごしょ

    DONE遅くなりましてすみません……。エアスケブ依頼でいただいた体調不良ぎゆと看病するいぐろさんのお話です。
    実は私自身直接的な嘔吐描写が苦手なため、そこのシーンがあっさりしてます💦その分ぎゆの弱ってる様子に全振りしました✨
    さねぎゆ前提、なんだかんだぎゆに優しい伊黒さん。
    熱中症ぎゆとお世話する伊黒さん夏休みはとっくに終わったものの、まだ残暑厳しい日が続いている。特にここ最近は秋とは思えない記録的な猛暑日で、室内にいても冷房なしでは過ごせないほどであった。
    朝の服装チェックを終えて職員室に戻ってきた義勇は、自分のデスクに辿り着く前に大きくふらつき、慌てて駆け寄った実弥に支えられた。

    「……と、危ねェ。大丈夫かァ?」
    「すまない、ありがとう。……少し目眩がしただけだ」
    「貧血かァ?しっかり食べねェと駄目だぞ。体育なんて特に体使うんだからよォ」
    「……ああ。善処する」

    炎天下でずっと立っていたのだから、気分が優れなくなるのも無理ないだろう。同伴している風紀委員の生徒たちは時間で交代させているが、義勇自身は最初から最後まで立ちっぱなしである。改めて、風紀委員顧問という仕事の過酷さを痛感すると同時に、教師が誰もやりたがらない理由が分かった気がした。
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