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    bunbun0range

    敦隆、龍握、タダホソの人。

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    ドラロナ。疲れて帰った時。

    #ドラロナ
    drarona

    ドラロナっぽいもの 疲労感が全身を包み込む中、ロナルドは重力に逆らうように重たい足を引きずる。
     疲れた。眠い。疲れた。
     このままフカフカのベッドにダイビングして半日寝てしまいたい。
    「ゴホ、ゴホッ……!」
     最近は愛用の銃よりも拳で吸血鬼を退治することが多い気がするのに、今日はおまけに喉まで酷使して、喉がカラカラになっている。激しいボケに張り合うように大きな声でツッコミしたせいだ。
     掠れた声で数回咳をして喉の調子を整えたあと、スーッと息を吸い込んだ。
    「あー、クソッ!」
     あと数歩で事務所兼自宅に辿り着くところで、癇癪を起したようにドンと床を踏み鳴らす。
     思い出すだけで腹の中で苛立ちがグルグルと渦巻いた。余計に喉を酷使するとわかっていたのに、喉の奥底から飛び出るのはむしゃくしゃした感情だけ。
     いつもだったら、機嫌もそこまで悪くならなかった。しかし、この日は不運が重なって、普段なら我慢できるはずの眠気が、最高潮まで達してしまっている。ロナルドは良くも悪くも普通の人間だ。食事と取らなかったら腹が鳴るし、眠たくても寝られなかったらイライラもする。
     昨日も明け方まで吸血鬼との戦闘(これは戦闘と言っていい戦闘)。それが終わったら、吸血鬼対策の講習会。そして、ゆっくりできると思った矢先の今夜である。強敵との戦闘であれば、アドレナリンが分泌されて気分も高揚したのかもしれないが、現れたのはただのご近所迷惑な(ほぼ無害な)吸血鬼で、ロナルドは派手に肩透かしを食らった。
     そんなこんなで、ロナルドの瞼は限界に近い。まばたきをしてしまえば、そのまま眠ってしまいそうで、なるべく目を閉じる回数を減らしていた。普段の青空みたいな澄んだ水色は、今や濁った沼のようにくすんでいる。鬱憤と睡魔で物凄い剣幕になっていた。
     事務所のドアを開けると、真っ直ぐ自室へと進む。もちろん、疲労感でぶっ倒れそうでもメビヤツに帽子を預けることは忘れない。「ビッ」という声を聞いて、帰ってきた気がしてなんだか気が抜けた。
    「おかえり、ロナルド君」
     その気の抜けた声がロナルドを腑抜けにさせると知らず、ドラルクが笑顔を向ける。
    「た、だいま……」
     全ての不の感情が一気に浄化されていき、心に残ったのはあたたかい物だけ。
    「今日のから揚げだよ」
    「ヌー!」
     ぐう、と腹の虫が鳴く。
     さっきまでの睡魔は、どこかの吸血鬼に負けてしまったようだった。
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    bunbun0range

    DONEモチハナ? ハナモチ?(もはやモチ+ハナ)
    花森が出国する日の持田をイメージした。なんちゃって持田の独り言。
    甘い言葉もなければ、付き合ってないと思うけど相変わらずクソでか感情を持ってる2人。
    ちなみに飛行機にちゃんと花森は乗ってる。
    飛行機 吸い込まれそうなほど遠く青い空に、一本の飛行機雲が伸びる。
     東京の電線は宙に浮かんでおらず代わりに地面に張り巡らされていて、松葉杖をついた持田の視界を邪魔するものは何もない。昼間の太陽の眩しさに目を細めると、地上から飛び立った飛行機との距離が縮まった気がした。
    『今日、花森が日本を発つらしい』
     その噂を城西から聞いた時、持田はもうそろそろだと思ったくらいの軽い感覚で、さして心に引っかかる問題ではないと感じた。あちらのシーズンを考えればすぐに納得がいく。自分の足が物理的に止まっている間に、花森がこれまでと同じペースで成長し、当然の評価を受け日本から飛び出しただけの話だった。持田と花森は、頻繁に連絡を取り合うような関係ではないし、出国を知ったところで持田は花森を見送るつもりは毛頭ない。持田にとって花森は、高みを目指す自分に唯一迫ろうとする存在で、ジュニア時代から招集され、幾度も同じ試合に出場し苦楽を共にした相手でもあった。しかし、怪我で代表から離脱せざる得なくなった持田が残された花森とサッカーをする機会は、現状、花森と同じ舞台に立つか、再び代表に返り咲くしかなくなってしまっている。
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