後日、付箋の意味をめちゃめちゃ彼に聞かされた珍しいな。零さんが私の家に忘れ物なんて。
リビングにある二人掛けに丁度良いサイズのソファーの隅で発見した物を手に取った梓は、まじまじとそれを見つめた。
それとも持ち運ぶのに不便だから捨てておいてという意味で置いていったのだろうか。
梓の恋人である降谷零の忘れ物、それは雑誌で、表紙には幸せそうに微笑む男女の姿があった。
女性のモデルは、昨年からブライダル事業に参戦することを表明したフサエブランド新作の華やかなウエディングドレスを纏っており男性も抜群のスタイルを活かした王道の白いタキシード姿で女性の腰を抱いている。
それにしてもこの忘れ物、結婚情報誌ってもしかしたら零さんの仕事で必要になったのかしら。
恋人は特殊な警察官だ。その可能性は大いにあると判断した梓は、雑誌を捨てず万が一また彼に必要な時がきたら渡そうと大事に仕舞っておくことにした。
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