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    teasぱんだ

    @nice1923joker

    紅茶とパンダが好き。
    好きなものを好きな時に好きなだけ。
    原ネ申アルカヴェ沼に落ちました。
    APH非公式二次創作アカウント。
    この世に存在する全てのものと関係ありません。
    䊔 固定ハピエン厨
    小説・イラスト初心者です。

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    teasぱんだ

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    書き下ろしにしようとしてやめてた各国旅行小説の璃月話。全年齢。
    カプはアルカヴェだけですがタルと鍾離先生が出てるシーンです。
    調べ物しながらなので時間かかるけど書き終わりたい……

    旅行話(書きかけを晒す)   《アルハイゼン》

     アルハイゼンは璃月の中心部、緋色で彩られた商店街の階段を登っていた。
     群玉閣から街中へ降りて万民堂で昼食をとり、店を出て一言目。
    「さぁ、建築を見に行こう!」
    「さて、古書を巡りに行くか」
     互いに睨み合って、君と意見が合うとは思っていなかった。と喧嘩腰のカーヴェと一悶着を起こし、アルハイゼンとカーヴェは即別行動をとっていた。
    『君の美的センスでは璃月の建造物の素晴らしさが想像もつかないのだろうね。本当に嘆かわしいよ。せっかくの旅行に最大限の芸術を学ぶことができないなんて』
     そう言い捨ててカーヴェは昼食の席を立って玉京台の方へ歩いて行った。
     元より一から十までそばにいるような関係性の二人ではない。アルハイゼンは気にもせず、万文集舎まんぶんしゅうしゃの古書を見に璃月の街中を進んだ。
     スメールでは形ある書物が珍しいというのに、璃月には紐で括られた本が数おおく存在し驚いた。
     書籍を一つ一つ確認しながらどれを買おうか悩んでいるうちに、顔をあげれば夕陽が璃月の街を照らしていた。
     あまり景色に対して心動かされる人間ではないが、赤く染まる璃月はその建築物の朱をさらに映えさせて、非日常的な光景をアルハイゼンに魅せる。
    (カーヴェが好きそうな光景だな)
     どこにいるのかは知らないが、この光景は見せた方が良かったかもしれない。自然と夕日に照らされた緋色の建物に視線が向かい、空中に架けられた橋を歩く見慣れた姿に気づく。
     金色の髪も、揺れる赤と金の後ろ姿もその全てが璃月の街に見慣れなくて、アルハイゼンの脳裏に印象的に焼き付いた。
     ふとカーヴェの前に誰かが立っていて、誘うように行き先を示して共に階段を降りていくのが見えた。無意識に身体が揺れて、アルハイゼンは手にしていた本を買おうと足早に店主に声をかけた。


    「つれないな。ぼったくられそうだったのを助けてあげたのに」
    「その件については感謝するが、それ以降も共にする理由が?」
    「あれ、もしかして警戒してる? 言った通りさ、俺もこっちに用があるんだよ」
     書籍を購入する際、危うく適正価格位以上のモラを支払うところだったが、通りがかった青年が間に入ったお陰でことなきを得た。
    「警戒するのは当然だ。見知らぬ人物との接触は、常に注意を払うべきだろう」
    「さっきも話したんだから、知らない人間じゃないだろう? まぁ、警戒されるのには慣れてるさ。俺の名前はタルタリヤ。よろしくね」
    「そうか」
    「ちょっと、名乗ったんだから名乗り返してくれよ」
     万文集舎まんぶんしゅうしゃから橋を渡り、和裕茶館わゆうちゃかんの付近へと向かう。先ほど見えた場所を頼りに足を進めて、見えたのは金色の髪と共に座る黒髪。アルハイゼンに背を向けて座っているカーヴェの向かいの男は、後ろに流した髪は長く、所作は非常に絵になる青年だった。
    「あれ、君の知り合いってもしかしてあの金髪の人? なんだ、先生と一緒にいるじゃないか」
     タルタリヤがアルハイゼンの横を通り過ぎて、黒髪の青年の隣へ立つ。声をかけると、顔を上げた青年は親しそうに会話をしていた。
     近づくアルハイゼンに気がついたのはカーヴェだ。
    「アルハイゼンじゃないか」
    「待ち人も来たか」
    「別に待ってないよ、鍾離さん。勘違いしないでほしい」
    「彼、アルハイゼンっていうのか。名前教えてくれなかったんだよ。初めまして。俺はタルタリヤ。鍾離先生と観劇の約束をしていてね」
    「僕はカーヴェ。先ほど鍾離さんに会ってね」
     カーヴェと挨拶をかわしながら、タルタリヤは座っている二人の間。空いていた椅子に座る。
    「すでに茶博士劉蘇氏の講談が終わったところだ。カーヴェの出身はスメールだと聞いた。スメールにも、璃月の講談を話す人物がいるそうだぞ」
    「へぇ? 面白いね。璃月の話はスメールでも評判が高いのかい?」
    「僕は大好きでよく聞きに行くよ」
    「…………」
     アルハイゼンは会話に入ることもなく空いた席に座る。鍾離が待っていたように口を開いた。
    「初めましてだな、鍾離という。君が、カーヴェが話していたアルハイゼン殿か」
    「あぁ。連れが世話になったようで」
    「連れって……」
     アルハイゼンの発言にカーヴェが口ごもる。鍾離はその様子にも気にせず、杯を傾けた。
    「相手をしてもらったのはこちらの方だ。彼は芸術に対して広い見識を持っている。興味を持つ分野に対しての熱量は、さすがスメールの学者というところか」
    「え、学者なんだ? 俺はまだスメールって言ったことないんだよね」
    「タルタリヤは璃月の人?」
    「まさか! 俺はスネージナヤさ。今は仕事で璃月に来てて、鍾離先生とは話が合うからよく一緒に食事をしているんだ。鍾離先生。今夜はどうする?」
    「ふむ、瑠璃亭を予約していたが、生憎堂主が急用で不参加になっていてな。公子殿と、あと二人探していたんだ。二人とも、共に食事でもどうだろう」
    「瑠璃亭?」
     首を傾げるカーヴェに対して、タルタリヤが大袈裟に両手を広げて話す。
    「あぁ、旅行に来たならあそこの料理はぜひ食べてほしいね! 本当は三ヶ月前には予約しないと食べに行けないんだ。君たちはすごくラッキーだよ。鍾離先生が誘う気になるなんて、随分と芸術に精通しているみたいだ」
    「鍾離先生の方がずっと凄いさ」
    「師と呼ばれるほど何かを教えたわけではない。カーヴェ、気を使わず鍾離と呼んでくれ」
    「タルタリヤの呼び方がしっくりきててつい」
     カーヴェの返答に、鍾離の代わりにタルタリヤが返事をする。
    「俺のこともタルタリヤでいいよ。カーヴェもアルハイゼンも、随分と強そうだ。食前に軽く運動を兼ねて手合わせなんてどうだい?」
    「いやいや、璃月には戦いに来たわけじゃないから。アルハイゼン、夜は二人と一緒でいいか?」
     アルハイゼンはじっとカーヴェを見て、ようやく口を開いた。
    「特に予定はないな」
    「決まりだね」
     タルタリヤの言葉に、アルハイゼンはまた答えなかった。


     散々酔って、カーヴェはアルハイゼンの肩に担がれて璃月の宿に戻ってきていた。
     数刻前を思い出す。
    「好きなだけ飲んでいるようだが、君の懐がそれほど温かいと思っていなかった。もちろん、払えるんだろうな。カーヴェ」
    「えっ?」
    「メニューも見ていないのか? 値段が書かれていないだろう。支払額は想像に容易いと思うが」
    「あ、アルハイゼン……その」
     カーヴェの声に被るように、少し離れた場所に立っていたタルタリヤと鍾離の声が聞こえてくる。
    「あ、会計? 鍾離先生。今日こそモラは持ってるのかい?」
    「む……ふむ」
    「ハハッ相変わらずだね。仕方ないな、俺が払うよ」
     その言葉に、カーヴェが隣で「タルタリヤ大人っぽいな」と言葉を落とす。
    「…………」
     アルハイゼンが無言でカーヴェと二人分を支払ったのはいうまでもない。
     互いに話せば喧嘩腰になるのは共に暮らしてからも十分に理解している。常に言い合いをしたいと思っているわけではないのに、カーヴェを前にすると上手くいかないことばかりだ。
    (しかし、何をしでかすか分からないから見ておかないと)
     オルモス港でカーヴェを連れ戻して以来、アルハイゼンはカーヴェの動向をさらに注意深く見るようになっていた。後一歩遅ければ、彼は船に乗りスメールを出航していただろう。
     カーヴェの性格を考えると、その後アルハイゼンへ連絡が来たかと問われれば、自信を持ってイエスとは言えない。
    (カーヴェがどこまで理解しているか次第だな)
     時間をかけて、ゆっくりと溶かしていけばいい。離すつもりはないのだからアルハイゼンがカーヴェに対して持っている感情を、カーヴェが理解するまで少しずつ浸透させていければいい。
    (一度手にしたのだから、逃すつもりもない)
     性急に事を進めて怖がらせ、信頼を失う方がアルハイゼンにとっては避けたいことだった。
     すっかり寝てしまったカーヴェをベッドに寝ころばせて、その顔にかかった金色を撫でて横に流す。あらわになった白い額にアルハイゼンは触れるだけのキスを落とした。



    「なぜ興味を持ったんだ?」
    「ハハッ、アルハイゼンに声をかけたこと?」
    「瑠璃亭で話していたな、適正価格以上の値段で売買が行われそうだったところを、間に入ったと。璃月でそのようなことがあれば七星が黙っていないだろう。……公子殿の手筈と見えるが」
    「もちろん。だって面白いだろ? この璃月で、鍾離先生に敵意をむき出しにするなんてさ。一瞬のことだったけど、北国銀行から思わず万文集舎まんぶんしゅうしゃまで飛んで行ってしまったよ」
    「通りで待ち合わせ時刻に遅れた訳か」
    「でも別に、璃月や北国銀行に何かするってわけじゃなかったから無駄足だったかな。二人とも強そうだったけど、手合わせしてくれなかったし。鍾離先生は? 戦ってくれる気になった?」
    「ふむ。今日は酒が入っているからな」
    「またそう言う。俺はいつでも大歓迎だよ。鍾離先生だって、どうしてカーヴェと出会ったの?」
    「カーヴェ殿の……赤い外套が一瞬見えたのを、公子殿と見間違えてな。声をかけてしまったんだ」
    「へぇ? そうか、待ち合わせ場所は決めてなかったからね」
    「あぁ」
    「じゃあ、二件目は三杯酔でどうかな」
    「いいだろう」

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