前夜祭「一郎が怪しい。」
またリーダーがめんどくさい事を言い出したと、銃兎は遠い目をした。
ヨコハマの山の奥。
理鶯のキャンプ地に集まったMTCのメンバーは、揺れる焚き火の炎を囲み、串に刺された尾の長い生き物が焼かれる姿を見つめていた。
目の前の今宵の晩餐に胃を痛め、リーダーの愚痴に頭を痛め、銃兎の精神は悟りの域へ行く直前だった。
「休みの度に用事だって留守にすんのもう2ヶ月だぞ!?有り得ねえだろ!!なんか隠してやがる。」
「恋人を疑うのは如何なものかと…」
「アイツは嘘が下手なんだよ。俺様に対してだけな!!すぐ目が泳ぎやがる。可愛い奴めクソが」
愚痴りたいのか惚気たいのかハッキリしてほしい。願わくばどっちも遠慮したいところだが。
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