ハロウィンの話2023 一通りお菓子も配って、自室に戻った直後。
「茅ヶ崎、声出さないでね。あとスマホも画面切って、音出さないで」
急に消灯され、ソシャゲも強制終了された。
「え、え、何です?イタズラ?もがっ」
「し、うるさい」
珍しく甘い匂いがする手で口を塞がれる。
「千景さーん?」
ノックしながらガチャリと開けられた扉。廊下からの光だけの部屋で、俺たちは毛布をかぶって部屋の隅にいる。この声は、万里かな。
「相変わらずきたねー部屋…」
うるさいな。毛布の隙間から、入り口に立つ影を確認する。やっぱり万里だ。
んー、と唸りながら万里がスマホを操作した瞬間、俺のスマホが光る。あっぶな。音消しといてよかった。いや、俺は何も関係ないんだけど、多分先輩は万里から逃げてる。
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