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    31415abemochi

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    幻覚に幻覚を重ねすぎてる年の差ogtm その3
    シチーとタマがダラダラ話してるだけ

    ##ogtm

    オグリ(概念17~18)×タマおねえちゃん(概念23~24)その3「へぇ、今度は海外のショー出るんかぁ。シチーはすごいなぁ――」
     相槌を打ちながら携帯をいじっていると、どこを間違えたのか検索履歴の一覧が視界に飛び込んできた。
    『未成年 淫行 何歳から』『淫行 懲役』『淫行 逮捕』
     晴天が広がるこじゃれたカフェのオープンテラスで間違っても見る言葉ではない。途端に血の気が引き、慌ててアプリを閉じようとするが、焦って画面をつついても画面は一向に動かない。
     なんやねんこんなときに限って!
     画面を割らんばかりに指先で叩くと、向かい側のゴールドシチーが怪訝な顔をして覗き込んでくる。
    「タマモ先輩、どうしたんですか?」
    「あ!いやなんかちょっと画面固まってもうて……」
    「大丈夫ですか?アタシ、良かったら見ますよ?別にケータイ詳しいわけじゃないですけど」
     アカンヤバい。いくらなんでもせっかく昔からの仲の後輩に己の嗜好を疑われることだけは避けたい。サッと携帯を自分の近くに抱え込んだ。ノートの落書きを見られそうになった子どもみたいに。

    「いやいやいや大丈夫やって!もうええわ、電源切ったら直るやろ!」
     無理矢理電源ボタンを長押しすると、鈍いバイブ音と共に画面は真っ暗になった。ひとまず画面を見られる心配はなくなった。ホッとして携帯をバッグにしまう。まだ料理も運ばれてきていないのにどっと疲れてしまった。

    「いいんですか?無理やり切っちゃって」
    「ええねん。安もんばっかり使うとるから固まってまうんかな」
     薄切りのレモンとよく知らない葉っぱが浮いたピッチャーからグラスに水を注ぎ、一気に飲み干す。プハ、と息を吐きたいところだが、店のキラキラした雰囲気に吞まれてさすがにできなかった。
     たまにはどうですか、と誘われてついてきた、シチーのお気に入りのオーガニックだかがどうだかのカフェだ。モデル仲間とよく来る場所らしく、周囲にはファッション雑誌から抜け出てきたかのような男女がひしめき合っている。
     タマモにつられたのか、シチーもグラスを持ち上げて一口水を飲んだ。相変わらず、息をしているだけで華やかなやっちゃ。なんだかシチー本人からまばゆい光が出ているようにすら思える。シチーがグラスを置くとおもむろに言う。

    「タマモ先輩があんなに焦るの珍しいから、アタシてっきり、恋人から連絡でも来たのかなって思ったんですけど」
    「はぁ!?」
     あ、アカン。めっちゃ反応してもうた。頭の中は冷静だが、反射的に出てしまった言葉は仕方がない。
    「あれ、図星でした?」
     シチーが口角を上げて首を傾げた。珍しく、いたずらっぽい表情をして。
    「ちゃうちゃう。……ウチにそういう縁まったくないの、アンタも知っとるやろ。それよりこっちがビックリしたわ、アンタがそういう話振ってくるとはなぁ」

     シチーとはトレセン学園でレース同期として知り合ってから、年の差はあれども良きライバル、良き友人として過ごしてきた仲である。トレセン学園を卒業してからも連絡を取り続けて、定期的に会うウマ娘も少なくなりつつあるなかで、彼女は変わらず関係を続けている。
     見た目こそ派手な彼女だが、性格はいたって真面目で、会ってもお互いの近況報告かレースの話ばかりだった。近ごろの知人たちは会えばすぐ恋愛の話題にうつりがちだから、それに馴染めないタマモにとって、変わらないシチーは非常に有難い存在であったのだけれども。

     ゴールドシチー、オマエもか。勝手に絶望的な気持ちになり、タマモは肩をすくめる。
    「まあアタシもいろいろあって」
    「そらアンタみたいに華やかやといろいろあるやろなぁ」
    「ん……、まぁ見た目がどうこうとかじゃないんですけど。一応もう立派な大人なんで。アタシがどうでも良くっても周りがまぁいろいろこう、言ってくるというか」
    「せやなぁ。わかるで」
     自分ですらいろいろあったのだから、そりゃ100年に1度の美少女ウマ娘と言われたシチーならばそれこそ周りが放っておかないだろう。それこそシチーが望むなら、好きにならない相手など存在するのかとも思う。

     それはアイツもそうか、とタマモの脳裏に言葉がよぎった瞬間、つい先日自分の身に降りかかったことが鮮やかに蘇った。タマモの検索履歴をあんなことにした超本人、オグリのことだった。
     恋人になりたいと言われて抱きしめられて、オグリの唇がタマモの額に触れて、その後は何もなかった。しばらくオグリがタマモの肩口に顔を埋めた後、二人は案外すんなり離れた。
     食べのこしたタマモのバウムクーヘンをオグリが食べ、ぬるいコーヒーを飲み干してから、彼女はトレセン学園へ帰っていった。その後何度かメッセージのやり取りをしたが、オグリのメッセージから先日の告白について匂わせるようなことは微塵も読み取れなかった。拍子抜け半分、安堵する気持ちが半分だった。

     あの一件の後、オグリはレースが立て続けにあり、アパートには来ていない。下手に大人ぶってしまったから、次に会う時どう振舞えばいいのかさっぱりわからなかった。おそらく彼女は、もう恋人になったつもりでいるだろう。でも、自分は彼女に返事をしたわけではない。ただ、触れられるのが嫌ではないと告げただけだ。
     言葉面だけなら自分がとんだ尻の座らない浮気者のように思えてくる。たかが告白されただけ、たかが抱きしめられただけ。そう思っても、恋なんててんで縁のない生活を送ってきたタマモからすれば明かりのない洞窟を手探りで進むような気持ちだった。
     そもそも、自分が彼女をどう思っているのかすら、今のタマモにはよくわからない。故郷にいる妹のような存在だと、ずっと思ってきた。だから再会した後も世話を焼いてきたのだし、彼女がトレセン学園に移籍した後のレースで連勝街道を突き進む時はまるで自分のことのように嬉しかったものだ。なら、どうしてあの告白を最初から突っぱねることができなかっただろう。
     流されているだけなのか、ほだされているだけなのか。
     けれど、あの真っすぐな目を思い出すと、心の奥が、じくじくと傷むような感覚を覚えるのだった。恋も知らないまま、タマモは大人になってしまった。オグリとは違って。

     すっかりオグリのことばかり考えてしまった。せっかくシチーが誘ってくれたというのに。運ばれてきたランチセットは値段のわりに量が小食のタマモですらつつましいと思えるほどだ。モデルと言う生き物は皆高い金を出してわざわざお腹を減らしながら生きているのだろうか。シチーはわりと、しっかり食べる方だと知ってはいるものの。

    「あ、そういや先輩」
    「ん?なんや?」
    「興味ありません?合コン」
    「急か!アンタ、いろいろあるんですよって言うててこれかい!」
    「まぁ、いろいろあるって言うのの一つがコレってのもあるんですけど」
    「藪から棒にもほどがあるっちゅうねん、なんやいきなり」
    「どうしても断り切れなかったのが一個あったんですけど、アタシその日撮影はいっちゃって」
    「ええ口実やん。それで断れるやろ」
    「いや、それで断ったら誰か一人紹介してくれって言われちゃって。あ、別にそれが目当てで今日誘ったんじゃないですよ。ただ、よくタマモ先輩今日みたいに『縁がない』って言ってるんで、だったら行ってみてもらえないかなって」
     断りたい理由は山のようにあった。合コンに行ったことがない、とまでは言わないが数少ない合コン経験では間違いなく盛り上げ役で終わってその後何もなかったし、酒の入った相手にいきなりチビ呼ばわりされて本気で怒って周りがしらけ切ったこともある。しかも今回はシチーの代役。残念がられるに決まっている。それから、それから。

     なんとかして断る口実を探して思考を巡らせていると、パッとオグリの姿が浮かぶ。吹きさらしのアパートの玄関で、じっとタマモの帰りを待っている、少女の姿が。
     ――なんで、なんで今。オマエがでてくんねん。
     シチーの目の前で頭を抱えそうになるが、これで断ったらやっぱり恋人が云々と言われてしまいそうだ。ともすれば返答は一つしかない。

    「……行けたらいくわ」
    「……それって9割は行かないって意味ですよね」

     なんやねん、もう。会話を無理やり終わらせてオーガニック野菜がどうのこうののサラダを口に突っ込んだが、とにかく草の味しかしなかった。
     ターフの草、食ったらこんな味かな。何故だか思い切り、走りたい気持ちになった。
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