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    幻覚に幻覚を重ねすぎてる年の差概念ogtm その2

    設定は自分でも意味不

    #ogtm

    オグリ(概念17~18)×タマおねえちゃん(概念23~24)動揺を隠して、タマモはフォークを置いた。フォークが皿にあたる音がやけに大きく響き、テレビもつけていない部屋は急に静かになってしまった。もうさお竹でもパン屋でも廃品回収でもなんでもいいので、大音量を流す車でもそばを通りかかって、この状況を打ち破って欲しい。そもそもオグリの先ほどの言葉で、二の句が継げなかった自分が憎い。何言うてんねん冗談言いなと軽く肩でもはたいてやればよかったのだ。
     しかし一旦言葉が途切れてしまうと、目の前の嫌になるぐらいまっすぐな視線を向けてくる相手にどう告げればいいのかわからない。
     今なんて言うた?アカン、もう一回言われるだけや。冗談言うなや?絶対冗談じゃないって返されて終わりやろそんなん。ごめん?いやいや話もまともに聞かずにそれは。
    「……アンタ、恋人って意味わかってへんやろ」
     頭の中でいろんな返事と彼女の反応を考えて、ようやく出てきたのはこれだった。言葉選び下手かと内心ツッコミを入れて、なんとか流されてしまいそうな空気に耐える。
     ウチは大人、ウチは大人、相手は子ども。
     ひとまず、周囲から恋人だのなんだの話が夢物語や噂話から少しずつ現実を帯び始めるようになって、オグリ自身も多少はそういうことに興味が湧き始めたのはさすがに間違いなさそうだ。彼女の年には多少遅すぎる気はするが、まあそれはいいとして。そこで何故タマモとそれが結びついてしまったのか。きっと恐らく何らかの思考のミスがあったに違いない。人間関係が限られたトレセン学園の中で、数少ない大人のトレーナーたちに熱を上げるウマ娘たちだって少なくはないのだし、仕方がないのかもしれない。ならば彼女の思考を解きほぐして、きちんと導いてやらねばならない。それは勘違いで、そういう相手は違い将来現れてくるものだから、ここで無駄なやりとりをせず、出会いを探しに行けばいいのだ。――タマモ自身には、まだ現れる気配はないけれども。
    「……わかってる」
     正座して、制服のスカートの裾を握って、俯いている表情は、どう見ても大人には見えなかった。タマモには否定されてむっとしているだけに思えた。
    「……ほな言うてみいや」
     口に出した瞬間間違えたと思った。あんなオグリ、それは勘違いやで。アンタぐらいの年やとよくあることや。そう告げるつもりだった。年長者らしく、優しく諭すつもりだったのに。何煽ってんねん。先ほどからまったく自分の想像した通りに会話が進まず、歯がゆさに頭を抱えて暴れだしたかった。落ち着けウチ、ウチは大人、ウチは大人と呪文のように心で繰り返す。

     こいびとは、とオグリが口を開いた。掴んだスカートの皺が、さらに強くなった。タマモは知らぬ間に体に力が入り、身を乗り出すような態勢になった。
    「一緒に出掛けたり、ご飯を食べたり…」
    オグリらしい回答ではあるが、さっきから動揺続きだったタマモは、少しばかり力が抜けた。
     友達でも、知人でもできることだ。もしかしたら彼女は、恋人という名前に惑わされているだけで、本当は誰か友人を求めているのかもしれない。トレセン学園での皆も友人ではあるのだろうが、前提として彼女たちはライバルだ。そういう力関係のない、対等な腹を割って話せる存在が必要なだけかもしれない。それならタマモでも構わないだろう。対等な友人となると今までの世話が身に染みすぎて大変かもしれないが、姉妹のように可愛がるのはきっとこれからもできるはずだ。
     なんやそうか、そういうことやったんか。一人で納得し、それならばと決意を勝手に固めた。
     しかしタマモは、オグリの続く言葉に目を剥いた。
    「手を繋いだり、抱き合ったり、キスしたり……」
    「あー!もうええ!!もうええ!!わかった!!」
     咄嗟に手が出て、タマモの右手がオグリの口元をふさぐ。オグリが目をぱちくりさせながら、ふさがれた口が「たま」と形を作る。手のひらに、オグリの唇の感触が伝わった。ぱっと手を離したが、右手が燃えるように熱を帯びた。唇の感触が、さっきのオグリの言葉を思い出させ。自意識過剰の己が恥ずかしかった。落ち着けと心の中の自分は必死に叫んでいるのに、あまりのことに冷静な言葉が紡げない。
    「オグリ、アンタうちとチューしたいと思ってるん?」
     何聞いとんねん。違うやろ。あとチューってなんや。ちゃんとキスって言われへんのかい。さっきから失言しかしていない。こんなに恥ずかしいこともオグリより少しばかり長い時を生きてきてそうそうないだろうと思った。気が付けばとっくに大人なのに、単に自分は年を食っただけだった。
     結婚した同級生、母になった同級生。彼女たちがすっかり大人になって自分の人生を歩んでいるのに、タマモは狭い部屋で、年下の女の子の扱いすら困り果てている。オグリと同じ年だったころ、自分はレースに夢中だった。勝ちたくて、家族に楽をさせたくて、レースの賞金と家族にかかるお金を逆算してそろばんをはじいて、必死にもがいていた。嵐が通り過ぎ、レースと金勘定しかできない己が残されてしまった。そんなアホなことあってたまるか。唇をきゅっと噛んで、まだ熱の引かない右手を握りしめる。

     気づけばオグリが膝を詰めて、握られたタマモの右手をそっと取った。顔を上げればオグリの、あまり感情の出ない涼しい顔が鼻先近くまで来ていた。動悸よりも先に息が詰まる。タマモの右手を取った指先が、ゆっくり腕から肩にのぼって、親指が頬に触れた。
    「……タマが嫌ならしない」
     相変わらず、視線は強かった。しかしそこでタマモは不思議なことながら、視線に逃れたいわけでもなく、突き飛ばすでもなく、場違いにも目の前の彼女がびっくりするぐらい整った顔立ちをしているさまを、ぼうっと眺めた。一種の現実逃避だった。こいつ底抜けに顔がいいな。そんな美形がなぜ、こんなまた。
    「別に、嫌っちゅうわけでは」
     また、思いもよらぬ言葉が口をついて出てしまった。しかしやけになった自分の頭には、顔小さいなとかまつ毛長いなとか鼻高いなとか、余計な感想ばかりが浮かび、オグリが顔を寄せてくるのを、どこか遠くから別の自分が立って眺めているような気持ちで見ていた。前髪の隙間に、オグリの唇がそっと触れた。手のひらで感じたのとは、また違う、遠慮がちで大人しい感触がした。
     タマモが現実に帰ったのはそのあとのことで、唇を離したオグリが、思い切り自分に抱き着いてきて、その力に背中がきしんだ時だった。
    「うれしい」
     オグリは言った。そんな、大レースに勝った時のような、万感の思いがこもった声で言われても。そもそも、自分は、返事すらしていないのに。あんなオグリ、それ勘違いやで。言葉はオグリの肩口に思い切り埋まってしまい、気づけば彼女の背中に両腕を回してしまった。
     思考がまともに戻って、思ったのはひとつだけだった。これ、淫行ちゃうよな。コーヒーの冷え切った匂いが部屋に充満していた。
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