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    mondlicht1412

    こちらはいろいろ雑多に

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    mondlicht1412

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    呪専時代
    寮の隣室モブ先輩視点(夏五)

    #夏五
    GeGo

    【夏五】隣室 安いボロアパートほど、ではないが――そんなところに住んだ経験はないけども――寮の壁はそれなりの厚さしかなくて、ゆえに隣室の音がたびたび聞こえてくる。
     ゲームで盛り上がっている歓声とか、何かを割ってしまった音とその後の悲鳴、今流行の音楽。
     左側の部屋からは、テレビの音がよく聞こえる。テレビと言ってもリアルタイムの番組じゃなくて、たぶん録画してあったバラエティとか借りてきたのだろう映画を見てる。
     呪術師なんてものをしているから、番組をリアルタイムで見ることは少ない。俺も同じように録画はしているが、結局見られずに容量が足りなくなって消してしまうなんてこともたびたびある。それに比べれば、隣室の消化率は高いと思う。
     今日もまた、かすかに音が聞こえる。どうやら映画のようだ。俺が戻るちょっと前に、2人で隣室に入っていくところを見かけたから、たぶん今日も一緒に見ているんだろう。あの2人はよく一緒にいるので、珍しいことではない。仲がいいことはいいことだ。
     卒業した先輩たちと入れ替わるように、1年生が隣と、そのまた隣に入室した。入学前から、ヤツらは特別だった。何が特別かってそりゃもうあげたらキリがないので割愛する。そんなわけで一応先輩という立場なのに結構緊張していたのだ。
     そして半年以上経った今。2人とは未だにまともに話したことはない。特に、隣の隣に入った一等特別な坊ちゃんとは。
     それでもそれなりに上手くやってると思えるのは、間にいるもう1人の後輩の人当たりがいいからだ。さらりと毒を吐くことはよくあるけれど。
     俺も映画は好きだから、わずかな音やセリフでなんとなくわかる。少し前に公開された、派手なアクションが目玉の洋画。まだ新作だったはずだが、待ちきれずに借りてきたのかもしれない。こういうアクション系の音がよく聞こえてくるから、好きなんだろうなと思う。
     映画館では見たけども、もう一度見たくなってくる。さすがに、わずかに漏れ聞こえてくる音だけでは物足りない。次の休みに借りてこようか。人気の作品だから、残っていればいいけども。







    「あの映画、どうだった?」
     翌朝、食堂でちょうど前にいた夏油に声をかける。きょとりとした顔が俺を見下ろした。こいつ、さらにでかくなったような。面白かったとか、そういう感想を期待していたのだが、なんのこと?表情がそう尋ねてくる。あれ?
    「昨日五条が部屋に来てただろ。一緒に見てたんじゃないの?」
    「っ!」
     あれ、なんか聞いちゃいけないことでも聞いただろうか。目に見えて夏油が動揺した。珍しい。
     しかしそれも一瞬で、すぐにいつもの笑顔が浮かぶ。
    「悟、疲れていたのか早々に寝てしまったんですよ。私もつられて、テレビ付けっぱなしで寝落ちました」
    「そんな疲れてたんなら大人しく部屋で寝てればよかったのに」
    「でも久しぶりの休日前だったんで、どうしても」
     ね、悟。
     ガチャリ、お盆の上で食器が揺れる。声をかけられた後輩は、俯いたまま答えることなくさっさと先に進んでしまった。
     なぜだろうか、少し耳が赤いような。
     そういえば、以前も見ていた映画やバラエティの感想を聞いたのに応えてくれなかった。結局は俺と同じようにあまり消化できていないのだろうか。
     それにしても、疲れても眠くても一緒にいたいなんて、あの五条のお坊ちゃんも案外幼くて可愛いところがあるものだと微笑ましく思った。












    「…今度はちゃんと見ようね」
    「誰のせいだよ」
    「私だけのせいかな」
    「…ムカつく」
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    たんごのあーる

    TRAININGTwitterに上げたの、プラス数行。五月のさわやかな風が吹き抜けるこの時期は、教室のなかでも過ごしやすい。夜蛾先生が教室に来るまでのいっとき、三人が手の大きさをひとしきり比べあった後、硝子がおもむろに手をとって、
    「夏油の生命線、短くね?」
    と呟いた。
    「硝子、手相を見られるの?」
    傑がそう聞くと、硝子が傑の手をとったまま、コレが感情線、コレが結婚線、コレが生命線、と、手のひらの線をなぞる。まじまじと悟が手のひらを見てから、自分の手を硝子につき出す。
    「俺は?ねぇ、俺のは?」
    「…五条のも短いね。『最強』が聞いて呆れるよ。」
    と言って笑った。悟と傑は顔を見合わせて、手を見比べる。
    「短いと、どーなんの?」
    「長いほうが、当然長生きが出来ると言われてるけど。ま、占いだからね。」
    「じゃ、長い方がいいんだ。ふーん。」
    そういうと、おもむろに黒の油性ペンの太い方のキャップを開けると、傑の手をとって手首まで届く太く長い生命線を引いた。
    「ちょっ!悟、何してるの。」
    「傑に死なれんの困るから、生命線延ばしといた。」
    あっけらかんと言う悟は、自分自身の生命線も、手首の方まで延ばして書く。
    「ほら、これで大丈夫。おそろい。」
    満足そう 787

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    TRAINING1/22夏五ワンライ。
    お題【天井/プルタブ/映画館】
    映画を見に行った二人がいちゃいちゃするお話です。
    ライフ・イズ・コメディ! 傑と映画館に行くことになった。これって初デートだなぁ、俺たちも結構恋人らしいことをするもんだなぁ、そう俺は思って、なぜ傑がよりにもよってクレヨンしんちゃんの映画を選んだのか考えもしなかった。チケットまで事前に用意したのも怪しかったが、俺は傑と一緒に映画を観に行く、そんな事実だけに興奮してしまって、やっぱりなぜ傑って奴がクレヨンしんちゃんを選んだんだ?、恋愛映画でもないのに、とは考えなかった。でも『モーレツ! 大人帝国の逆襲』とか『アッパレ! 戦国大合戦』は俺を映画館に連れて行った五条家の呪術師も泣いていたから(俺は情緒の育っていない子どもだったので、結構長い間教育のために分かりやすい勧善懲悪のアニメ映画を見に連れて行かれていたのである)、映画の優しいジャイアンみたいに、クレヨンしんちゃんも映画は大人になると泣けるのかなって思った。それに傑と映画館に行けるんなら別に何の映画でも良かったから、もしこのチケットの映画で泣けなくたって、それはそれでいいだろうって。それで傑だけ泣いたら、ちょっと居心地が悪いかなぁ。
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