スモアディの現パロ映画館デート二人が映画館の前で待ち合わせたのは、夕暮れ時だった。アディオは軽く声をかけただけだったが、スモーカーが食い気味に「行く」と返事をしたのが少し意外だった。普段、誘っても内容が趣味ではないらしく、断られることが多かったが、今日はたまたま観たい映画が被っていたらしい。
イオンモールの中にあるシネマに到着し、アディオがスマートフォンで予約していた席のチケットを受け取り、ポップコーンとジュースを買った。アディオが選んだのは塩味のポップコーンだった。「バターよりもこっちが好みだろ?」とアディオが言うと、スモーカーは無言で頷き、その手からポップコーンを一つ摘んで口に運んだ。
「ここだな」と、指定された席に二人が腰を下ろす。映画の始まる前のCMタイムが流れ始め、暗い中で光るスクリーンに目をやるアディオがふとつぶやいた。
「この映画も気になってるんだよなァ…」
スクリーンには、近日公開予定の映画の予告が流れていた。
「おれはあんまりだな」と、スモーカーが隣から応じる。
アディオは笑って、ポップコーンをさらに一つ口に放り込む。
「ははは、これ、予告だけで泣きそうになるぜ」と冗談めかして言うが、その声にはほんの少し涙が滲んでいるようだった。
スモーカーはアディオの顔を横目で見て、微かに眉をひそめた。
「あァ…感動的ではあるが、予告でか…?」と、冷静に返す。
すると、その瞬間、ビーーと始まりのブザーが響き渡り、二人は息を飲んで姿勢を正した。スクリーンがゆっくりと明るくなり、映画が始まる。アディオは目を輝かせ、スクリーンに釘付けになった。スモーカーも、その様子を横目でちらりと見て、心の中で「一緒に来てよかったな」と微笑んだ。
映画は、アディオが大好きなアクションとスモーカーが好む刑事モノが見事に融合した作品だった。二人とも、最後まで飽きることなく、映画の世界に引き込まれていた。アディオの目は時折キラキラと輝き、スモーカーもまた、夢中になってスクリーンを見つめていた。
映画が終わり、二人は立ち上がって映画館を後にした。映画の感想を語り合いながら、二人はモール内を歩いていた。余韻を楽しむように、アディオは「面白かったなァ」と何度も繰り返し、スモーカーも「ああ」と頷いていた。
「一緒に来てくれてありがとな、スモーカー」と、アディオが素直に感謝の言葉を口にする。
「いや、おれの方こそ感謝している。誘ってくれてありがとうな」とスモーカーは少し照れ臭そうに言い返し、軽く肩を叩いた。
そして二人は、再び会うことを約束しつつ、それぞれの帰路に就いた。どちらも心の中に、共に過ごした時間を大切に抱きしめながら。