機嫌の悪い⚙と機嫌を取ろうとする🎀マホロアの機嫌が悪い…気がする。
側にいるのに、ボクを見てくれない、ボクを触ってくれない。
Wiiのラスボス戦を終えたと思ったら、荒々しくローアの扉を開閉して帰ってきた。
ボクは…ヶ月前からローアに住まわされている。
呪いで魔力が封じられたのだ。
それと同時にローアの外に出ることを禁じられた。
ローアの外に出ようとしたり、マホロアの嫌がることを故意にでもしてしまうと、途端にマホロアの機嫌は悪くなる。
機嫌の悪くなったマホロアを宥めるのは骨が折れる…その日の夜はろくに眠れないし、翌日全身が痛い。
何度もソレを経験し何度も与えられる苦しみを味わった。
だからマホロアの機嫌を損ねないように、必死になって媚びを売ってマホロアの悦ぶことをしてきたのに。
今日のマホロアは機嫌が悪い。
トパーズの瞳を細めて虚空を睨む。
凛々しい眉が皺を寄せる。
普段は朗らかに弧を描く口元は、何かを噛み締めるようにキュッと一文字に固く結ばれている。
ボクはマホロアの機嫌を損ねることをした覚えが無い。
どうしたらマホロアは機嫌を直してくれるのだろう?
「…マ、マホロア」
ムスッとした表情でソファに体を沈めるマホロアの足元へ這い寄り、声をかける。
案の定マホロアは不愉快そうな表情でボクを一瞥する。
突き刺さるキツい視線を全身で浴びながら恐る恐るマホロアのズボンのベルトに手をかけた。
魔力が足りず上手く義手を動かすことができず、ベルトを外すのに時間がかかる。
カチャカチャと金属の当たる音がしばらく続き、やっとのことでベルトを外し終え、ボクはそのまま目を閉じて、
「…ネェ」
「…な、何?」
「何してるノ?」
怒ったような呆れたような焦ったようなマホロアの声が上から降ってきて、片手でボクの頭を掴み、動きを静止させた。
どうしてまだ怒っているの…?
いつもなら、こうしたら喜んでくれるじゃないか…。
「…ボ、ボクはマホロアに喜んでもらおうって思っ…」
「ハァ?バッカじゃないノ?!こんなモノッ要らないヨ!」
どうして…どうして怒るの?
マホロア、いつもボクの体に痛いことをして、ボクが嫌だって言うと怒るから、気持ちいいって嘘吐いて、ボクが変な風になっちゃうとすごく喜んで笑ってくれて、ボクのこと大好き大好きって抱きしめてくれるのに。
何で、どうして、怒られるのが嫌だから、マホロアに怒られないようにボクからやってみたのサ、どうして怒るの酷いよ。
痛い、髪の毛引っ張らないで、ボクはマホロアに嬉しくなって欲しいだけなのサ。
「…ゔ、ゔゔぅっ…」
「ボクはそんなモノ欲しくナイッどうして分かってくれないノ?!そんなコトしてもらっても何にも嬉しくナイ!!」
そのまま視界が反転して、ソファに仰向けに叩き付けられる。
衝撃で視界がチカチカ点滅している隙に、乱暴にサスペンダーとブラウスのボタンを外されて、ボクの体に数え切れないくらい噛み跡を残して、意識が飛ぶくらい激しく体を揺さぶって…そのまま暗闇の中に閉じ込められた。
「キミはボクのモノなんだッキミの体も心もボクのモノなんだッ」
ぐったりと気を失っている”マルク”にボタボタと大粒の涙を降らす。
痛みや恐怖から逃れる為に与えられた偽りの行動ほど残酷なものはない。