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    クシャナ@切り裂きの嫁が好き

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    死にかけのHDDサルベージしてたら純黒の時に書きかけてたヤツ見つけたpart3
    たぶん有希ベルとキルキュラにする予定だったものだと思う

    続きは覚えてない
    ベルキュラベルに見えるけどただの母娘設定だと思う
    あんまり記憶に
    〇ございません……

    #ベルモット
    vermouth
    #工藤有希子
    yukikoKudo
    #キュラソー
    curacao
    #キール
    keel

    みーんな言葉足らず「キュラソーっ!血が……」

    止まらない。
    銃で撃たれた傷。
    鉄筋が貫通した傷。
    そのどちらからも夥しい量の血が溢れ出ていた。
    止血をしても、傷口を押さえても直ぐに真っ赤に染まる。反して、元々白かった肌の色は既に蒼白を通り越していて…
    キュラソーが咳き込んで、血が吐き出された。それは傷が内臓にまで達しているという事だった。
    早くこの異物を取り除いてやらねばならない。しかし今この場で鉄骨を抜いたとして、すぐに処置できるわけも無くこれ以上の出血は失血死に直結する。
    良くも悪くも止血の役割を果たしている鉄筋を睨みつけた。
    ベルモットは叫びだしたい衝動を押さえつけながら、如何するのが最適な解なのか混乱しきって空回る脳で考える。
    今手元にある道具ではどうしようもない。
    こんなことになるなど全くの想定外であるし、監視用の道具こそあれ、救命道具など持ち歩いてはいない。
    キュラソーの浅い呼吸も、下がっていく体温も、ベルモットの思考を容赦なく邪魔をして判断力を奪っていく。

    「………ぅ…、ぐっ……」

    小さく呻いて、キュラソーが薄く眼を開く。
    良かった気がついたのね、直ぐに手当てするからと言うベルモットの手を押しのけてキュラソーは身体を起こした。バタバタと足元に血が零れ、地面に赤黒く奇怪な模様を描く。
    起きてはダメだと制止するベルモットを無視して、コンテナと自分の間にベルモットを移動させ背後に庇うように立ち、キュラソーは暗闇を睨みつける。
    コツコツと近づいてくる靴音に混じって、ジャガッと銃弾を装填する音が響いた。

    「Freeze!Hands up!(動かないで!両手を上げなさい!)」

    現れたのはFBI捜査官のジョディ・スターリング。
    黒の組織を追うものの一人だ。
    彼女は両手で銃を構え照準を合わせる。
    逃がすことの無いように、一撃で無力化できるように脳幹を狙う。

    「Shit…!(畜生…!)」

    ベルモットは思わず吐き捨てる。
    観覧車に押し潰されて爆発する直前にクレーン車から間一髪でキュラソーを引っ張り出し、ジンたちの乗ったヘリが居なくなって最大の脅威は去ったと言うのに、ここにきてまさかFBIに見つかるという最悪の状況にベルモットは苦虫を大量に噛んだような気分だ。
    どうしてどいつもこいつも私の邪魔をするのだ。
    足首に固定している小銃に手を伸ばす。

    「ジョディ、そのままベルモットから目を離すなよ」
    「シュウ!?」

    声は唐突に頭上から降ってきた。
    見上げると言うベルモットの動作と同時に、コンテナの上から飛び掛かって来る襲撃者の蹴りをキュラソーは腕で受け止める。
    ミシリと骨が軋む。
    傷と出血で警察庁や東都水族館で見せたような驚異的な身体能力は失われつつあった。それでも落下と体重を乗せた腕をへし折られそうな重い一撃に膝を折りながらも耐え、銃の射線から外れるようにベルモットを抱えて転がり距離をとる。転がったさいに、腹に刺さっていた鉄筋がより深く傷を抉って広げ、痛みにキュラソーの視界が真っ赤に染まった。
    鉄サビ臭いものが胃から逆流して食道を逆上り、口内に溢れて咳と共に口から溢れる。
    びしゃりと大量の赤が吐き出された。
    倒れこんだまま何度か咳き込む。

    「ぐ、ぅ…ごほっ……」

    震える手で己の腹に突き刺さった鉄筋をキュラソーは引き抜く。
    出血量が増えボタボタと地面の模様が広がっていく。

    「キュラソーっ!!何を!!」

    ベルモットの悲鳴は聞こえないふりをして、キュラソーは激痛と目眩に堪えながら立ち上がり、襲撃者こと赤井秀一に向かい合う。
    膝は震えていて、出血量も半端無い。
    よく立っていられるものだと赤井は感心する。

    「ほぉー、まだやる気か?」
    「ダメよソレ以上身体に負担をかけないで!動いちゃダメ!!」

    赤井は感心したように口笛を吹き、同じタイミングでベルモットが叫んだ。

    「そうそう、ソレ以上無理をすると本当に死ぬわよ?」
    「―――っ!?」

    不意に背後から腕を絡め取られて、ベルモットは驚きに言葉を詰まらせ背後に視線を向ける。

    「大人しくしてちょうだいね」

    背後から抱き着くようにベルモットの腕を押さえ込み、手にした銃を顎の下に押し当てていたのは、黒い髪を一つにまとめ、やや釣り目の青い瞳を持った女だった。
    日売テレビの人気アナウンサー、水無怜奈。またの名をキール。
    アメリカ合衆国の対外情報機関。中央情報局、略称CIA所属、本名、本堂瑛海。
    気配を殺して何処からか表れたキールにベルモットは勿論キュラソーも驚きの声を上げた。

    「き、キール!?ベルを離し―――」

    ベルモットを抑えたキールにキュラソーは気を取られ背後に振り向いてベルモットへ手を伸ばした。
    無防備にキュラソーが振り向いた隙をついて、一気に距離を詰めた赤井の強烈な蹴りがキュラソーの鳩尾に叩き込まれる。
    赤井の容赦無い蹴りはキュラソーの肋骨を圧し折り、蹴り飛ばされた勢いでキュラソーの痩躯はコンテナに叩きつけられて地面を転がる。

    「……っ、…、べ…べる……逃、げ……」

    血反吐を吐いて起き上がろうと顔を上げるが、ぐったりと力を失う。

    「キュラソー!!!?」

    ベルモットは堪らず、涙混じりの悲鳴を上げた。
    意識を刈り取られて倒れたキュラソーを赤井が抱えて眉を潜めた。
    相当な量の血を失っているせいか、想像していたよりも軽すぎる。
    これはマズったな、と赤井は呟いた。

    「離して!離しなさい!殺すわよ!!」
    「それは聞けないお願いだし、無理じゃないかしらね」

    半狂乱になって暴れるベルモットを軽く押さえ込み笑い飛ばしながら、キールこと本堂瑛海は更に銃口をベルモットに押し付けた。

    「暴れないでよ。うっかり引き金を引いてしまったらどうするの?」
    「撃つなら撃てば良いじゃない!貴女達なんかに捕まるよりよっぽど良いわ!早く殺しなさいよ!!」
    「水無君、じゃれ合いはそれくらいにしてくれ。予定変更だ。思ったより状態が良くない」

    言いあいをしていたベルモットとキールの隣で、キュラソーを抱えた赤井が割り込んで言う。

    「水無君、君はそのままその女を連れて行ってくれ。ジョディ、キャメルが待機している。水無君と共にベルモットの監視を。俺は後から合流する」

    簡潔に支持を言うだけ言ってキュラソーを連れていこうとする赤井に、ベルモットがキールを振り切って赤井に掴みかかり、キュラソーを赤井から引き離そうとする。
    しかし、間に割って入ったジョディにそれを阻まれ、ベルモットはジョディを睨む。

    「その子を何処に連れて行くつもり!?キュラソーを離して!!」
    「この女を死なせたくないのなら大人しく我々に預けろ。水無君、ジョディ頼んだぞ」

    低くそれだけを言って赤井は言うべきは言ったとばかりにその身を翻した。

    「全く、相変わらず言葉の足りない男ね……」
    「……やっぱり貴女、ノックだったのね…」

    そう呟いたベルモットの声は、いつもの人を煙に巻くような色を失い、至極小さく力の無いものだった。



    ++++



    白い壁。
    白い天上。
    白いシーツ。
    寝台に寝かされる真っ白な彼女。
    キュラソーが収容されている真っ白な病室に、ベルモットは赤井に連れられて足を踏み入れた。
    埠頭でベルモットがキュラソーと引き離されて一週間と少し。
    FBIの監視のもと軟禁されていた部屋に突然やってきた赤井に「漸く面会の許可が下りた。ついて来い」と言われて連れて来られたとある病院の病室。
    大量の点滴とあらゆる生命維持装置を付けられて、白い彼女は力無くベッドに横たわっている。
    顔色が悪いのは一度に大量の血を失ったからだろうか。

    「キュラソー…」
    「あれからずっと昏睡状態だ。このままこの状態が続くと長引くかもしれないらしい」

    赤井が隣に立ちキュラソーを見下ろしながら言う。

    「ここに運ぶまでの間も、ここに運んでからも、何度も呼吸が止まっていたからな……多少の覚悟はしていてくれ」

    手を伸ばし、頭部に巻かれた包帯の上から触れる程度に撫でる。
    その手つきは普段ライフルを握っているとは思えないほどに優しいものだ。

    「……」

    ベルモットは寝台の横に備え付けられたパイプ椅子に腰を降ろして、キュラソーの体温の低い手を両手でそっと握った。けれど、いつもなら優しく握り返してくれるはずのそれは全くの無反応で……静かに上下する胸元をぼんやりと見つめた。
    あの状況で今まだ生きていると言うことに感謝するべきなのだろう。本来ならば組織に背き、FBIに見付かった時点で命はない。

    「…………キュラソーを助けて私に何をさせたいの?悪いけど語れることは少ないわよ」
    「何、ボウヤにこの女を助けてくれとお願いされただけだ。お前は、そうだな。FBIとしてはついでだ。俺としては恩人からの頼みでもあるが」

    赤井がいつもの抑揚の乏しい口調で言うと、ベルモットはそれを鼻で嗤う。

    「天下のFBI様が小学生の言いなりとは…全員辞職してシッターにでもなった方が良いんじゃない?」

    それはそれで魅力的な提案ではあるんだがな、と男は凶悪犯にも見えるその眼つきの悪い顔を情けなく崩した。
    ふと廊下が騒がしい気がして、ベルモットは胡乱げに唯一の出入り口である扉を見る。
    同じように赤井もそちらに視線を向けた。こちらは少し苦笑しているように見える。

    「………何?」
    「いや、覚悟しておいた方が良いんじゃないかと思ってな」

    こんな場所で尋問でも始める気?とベルモットが口を開きかけた時だった。

    「シャロン!!!」

    病室の扉が勢いよく開けられ一人の女性が飛び込んできた。
    走ってきたのか息は上がり、その可愛らしい顔は少し紅潮していて髪も少し乱れている。
    女性の顔を見た瞬間、ベルモットはパイプ椅子を蹴倒して後ずさった。

    「ゆ、有希子……」







    この後、有希子にビンタされて怒られて仲直りするベル姐さんと怪我してたとは言え負けた事が悔しくて打倒赤井秀一に燃えるキュラソーと呆れる保護者キールってメモしてあった。

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