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    Syumi__Suina

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    題名のセンスはゼロです許して
    ドラクエ3盗勇、クレイってのは盗賊くんのお名前(自作)

    #盗勇

    真夜中、2人きりの空間で「全く。ここの王は、勇者様に対して酷い扱いをするもんだ。端から期待してねぇよ、みたいな口調で言いやがって。黒胡椒取り返してきてやったのによ、なぁ、アレル?」
    「前来た時と同じだからな、もう慣れたよ。なんで僕より君の方が不満そうなんだ、クレイ」
    アレル、と呼ばれた少年は呆れた声で言いながら、青年、クレイを見た。
    夜も更けた宿屋。彼らはベッドを近づけ、抑えた声で話を続ける。
    「俺にだって人の心はあるもんでな。薄汚い盗賊を拾ってくれた恩人に失礼なこと言うんだぜ? そりゃ怒るだろ」
    自嘲気味に薄く笑い、呟くクレイを、アレルは静かに見た。
    「そんなこと言うなよ。君は薄汚くなんかないだろ? 僕の、大事な仲間だ」
    その声の裏に、怒りが滲んでいるのをクレイは敏感に感じ取った。自分が貶されるのは構わないくせに、仲間が貶されているのを見ると、たとえ自嘲であったとしても、彼は静かに怒る。
    「悪い、お前、こういうの嫌いだもんな」
    クレイの言葉に、アレルは首を傾げた。
    「顔に出てたか?」
    「前よりは隠せてるけどな。ずっと隣にいる俺に、隠せると思うなよ」
    クレイはニヤリと笑う。それに応じるように、アレルも薄く笑った。
    「そう言う君こそ、僕が自嘲嫌いだってこと、そろそろ学んだらどう?」
    「努力する、とだけ言っとくさ」
    「君はすぐそれで逃げる…」
    ため息混じりにアレルは呟いた。
    その顔に、クレイの手がそっと触れる。
    いつの間にか、クレイはアレルの隣に寝転んでいた。
    伸ばされた手に、アレルは自分の手を重ねる。
    「で? アレル、お前にとって俺は、ただの“大事な仲間”なのか?」
    意地悪く笑い、クレイはアレルを下から覗き込んだ。
    「僕にそれ言わせるの、何回目?」
    わざとらしく眉を下げ、しかしアレルは嬉しそうに笑う。
    「さあな、俺だって覚えちゃいないさ」
    「覚えてないほど前から言わされてたってことだよね。びっくりだよ、色んなことがつい最近のことみたいなのに」
    するりと手を下ろし、クレイの顔にそっと触れる。
    その手を取って、彼はアレルの手首にキスをした。
    アレルの顔が、ほんのり赤く染まる。
    「俺からしたら、あんなに初心だったお前が、そんな返しをできるようになったことが驚きだけどな」
    「バカにしてる?」
    ふいっとそっぽを向いたアレルの視線を追うように、クレイは起き上がってアレルをまっすぐ見た。
    「してねぇよ。で? 返答はまだか?」
    はぁ、とアレルはひとつため息をつく。
    「意地悪」
    「言うじゃねぇか」
    クレイは眉をひょいっと上げ、アレルの胸を軽く押した。
    とさっと軽い音がして、アレルの体が横たわる。彼に覆い被さるように、クレイは上から彼を見る。
    顔を近づけて、クレイはアレルに囁いた。
    「アレル、好きだ、愛してる」
    何かを隠すように、アレルは両手で顔を覆った。
    「…僕も、好きだよ」
    小さく、消え入りそうな声だったが、クレイはその声をはっきりと聞き取った。
    「手、退けて」
    囁き声で、クレイはアレルに言う。同時に、真横にあった燭台の火を吹き消す。
    あたりは、暗闇に包まれる。月光だけが僅かに差し込む中で、彼らは静かに、唇を重ねた。
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