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    Gg_Muimui

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    POIPOI 53

    Gg_Muimui

    PROGRESS多分、1話目が終わるくらいまで載せます
     一限はとっくに過ぎた時間に、五条は大学を一人歩いていた。春のキャンパスはどこかざわめいている。新入生は新しい生活に興奮しているし、それを受け入れる側もシラバスの変更や役職の引き継ぎ、サークルの勧誘などでなんだかんだと忙しい。とはいえ、五条の生活には大して変わりはなく、ただ毎年のルーティーンのようになった行動を今年も繰り返していた。幼稚園、小学校、中学校、高校、新しい年度を迎えるたびに、前世で喪った親友の姿がないものかと周囲に視線を向けてしまう。前世から変わらない190を超す長身に美しく完璧に整った外見の五条は歩いているだけで視線が集まるのをちらと見返して、目当ての相手でないのを確かめてすぐ外した。サングラス越しだというのを差し引いても、この世界は色褪せて見える。あのクリスマスイブの日に夏油の命を奪ってからずっとだった。生まれ変わって尚、変わらない。高校1年の時に家入と、その翌年、翌々年に後輩達にも出会えたのに、夏油の姿だけが見当たらない。黒髪で似たような体躯の男の肩を掴んでは舌打ちをするのを繰り返していたら、五条が誰かを探しているというのは学内でも有名な話になっていた。
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