淡い交わり 大切な人が消えてしまう恐怖に怯えている。
何度目かわからない恐怖と安堵を感じながらノアは細い腕に包帯を巻く。その様子をミオはただただじっと見つめていた。
絶えず襲いかかるメビウスに囚われた兵士達、縄張りを荒らされたと憤るモンスター、手段を選ばないシティーの強硬派。ノア達の道を立ち塞がる者は後を立たない。その度にノアは恐怖に駆られていた。十年という寿命に縛られない奇跡を得た目の前の彼女が呆気なく倒れてしまう悪夢がどうにも頭に貼り付いて剥がれないのだ。
今夜の見張り番はノアとミオの二人だ。焚き火を囲うように座り、肩が打つかるか打つからないか微妙な距離を保っている。どちらかが言い出したわけではないが自然とそういう形に収まった。
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