輪廻転生とは、命あるものが何度も転生を繰り返すこと。様々な生き物へと魂は移り変わり、一生の間だけ記憶の保存が許され、転生後は忘れてしまう。
神と呼ばれる存在は、生命をどれほど保管しているのだろう。増えすぎた生物のサイクルは、ときに絶滅という最期を迎え、そしてまた小さな新しい生物がその後の世界を生きていく。
そして俺もそのサイクルの一部だ
違和感のある記憶。
体が作られる母の中よりもっと前の記憶。
栄える国、豊富な作物、発展した文明…今は見ない未知の技術に恵まれた場所。俺はそこに住んでいた、愛する妻もいた…そして双子の子供が二人…幸せな家庭を築いている"夫"の記憶
今の俺は独身で、結婚していないし子供は当然いないはずだが、これは紛れもない自身の過去、日々の会話や暮らしがまるで日記を読むように事細かに残されている記憶だった
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