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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

    リアクション𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮😘生きる糧です。

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    りま!

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    全て捏造な叢戴。

    叢雲が戴天に一目惚れする話。
    戴天の家庭事情などなど全て捏造です。

    Dazzling 春も終わりを迎えようとしている昼下がり、植えている花の成長具合を確認しようと叢雲は庭を歩いていた。広い庭の端から順番に、花の調子を確認していると、ふと足元に見慣れないものがあることに気がついた。
     それは人の足で、明らかに大人のものではなかった。誰かが倒れている!と咄嗟に背の高い花たちを手折らないよう避けると、そこには自分と同じくらいの背丈の従兄弟、戴天が倒れていた。
    「戴天……?」
     駆け寄って様子を見ると、戴天からはすぅ、すぅと規則正しい呼吸音が聞こえる。表情も苦しげではなく、どうやら暖かな気温に負けて寝てしまっているようだった。
     屋敷で度々見かけることはあるものの、話したことはない従兄弟の顔をまじまじと眺める。見かけただけの印象では、両親の後ろを大人しく付いて周り、まるで動く人形のようだと思った。その目はまるで死んだ魚のようで、にこりとも笑わない冷たい人なのだろう、と失礼だとは思いつつも、そんなイメージを持っていた。
     しかし今目の前で穏やかな寝息を立てている戴天は寝ている間に体温が上がったのだろう、わずかに頬が赤く、冷ややかだと思っている目も閉じられ、結んで開かれるところを見たことがない口も僅かに開いている。起きている時よりも寝ている時の方が生きているような気がするなんておかしな話だ。
     日差しによってキラキラと輝く金髪が綺麗だと思った。閉じられた目元を彩るまつ毛が長くてドキリとする。
     感じたことのない衝動に戸惑いながらも、逆らうことなく顔を近づけると、花とは違う良い香りが漂う。唇が頬に触れそうになった時、戴天が僅かに身じろぎ、勢いよく身を離した。
    (俺は今、なにを……)
     所謂一目惚れなのだと、この時の叢雲は知らなかった。

    「ん、……ぅ……、ここは……」
     戴天がゆっくりと目を開く。パチパチと何度か瞬きをして、辺りを見回す。そして叢雲を視界に捉えた時、ハッとしたように目を見開いた。
    「起きたか?……よく眠って、」
    「申し訳ございません!」
    「?」
     叢雲の言葉を遮り、戴天が謝罪の言葉を口にする。先ほどまで庭にそのまま寝転がっていて、うまく動かないだろう体を必死に動かして正座をし、そのまま頭を下げる。肩より長い髪がサラリと顔の横に垂れ落ちる。それが土に付くことも構わずに額まで地面に付いているのではと思うくらいに頭を下げている。
     叢雲はそのまま動かない戴天に驚き、何も言えなかったが、慌てて戴天の肩を掴む。
    「ど、どうしたんだ。頭を上げてくれ」
     尚もまだ頭を上げようとしない戴天の肩に力を込めて、ようやく戴天の頭が上げられた。
    「叢雲、様……」
     初めて面と向かって呼ばれた自分の名に胸が高鳴る。しかし戴天の表情を見ると、それよりも不安が勝る。垂れた眉はそのまま、眉根は寄せられ、瞳には薄く涙の膜が張っているように見える。唇は固く結ばれ、まるで人生において取り返しのつかないことをしてしまったかのような絶望感を醸し出している。
    「どうしたんだ、急に……」
    「両親から、本家の皆様にご迷惑をお掛けしないよう言われていました。ですが庭で惰眠を貪った挙句、叢雲様に起こしていただくなど……。誠に申し訳ございません」
    「いやそんな、そこまで思い詰めなくとも」
    「いいえ。私にとってはあってはならないこと」
    「難しく考えすぎじゃないか?……そうだ。ようやく話せたんだ。少し付き合って貰えないか?」
    「?」
     正座をしたままの戴天の隣に座り、目の前の花について話し始めた。戴天が花に興味があるかは分からないが、あまりにも悲壮感を漂わせている姿を見たくなかった。
     思いのほか興味があるのか、知らないことを知るのが好きなのか、時折こくりと頷いている。そっと戴天の膝を叩き、正座を崩すように促す。しばし迷ったのち、おずおずと足を崩してくれてほっとした。
    「叢雲様はお花に詳しいのですね。華道が得意だと聞いたことがあります」
    「花を育てるのも華道も好きだな。戴天は何が得意なんだ?」
    「私、ですか?私は……」
     花を見つめていた目が伏せられる。しばらくの沈黙のうち、困ったような顔で戴天が叢雲を見る。
    「申し訳ございません。あまり自分の得意なことが分からなくて」
    「そうなのか。それは裏を返せば何でも卒なくこなせるということだ」
    「そんなことないですよ。いつも父上と母上に叱られてばかりです」
     せっかく見せていた明るい表情が少し色を無くした気がして、慌てて話題を逸らそうとした時、
    「叢雲様!ご当主様がお呼びです!」
     屋敷の方から使用人が呼ぶ声がして、ふたりでそちらを見る。
    「お呼びですね。叢雲様、今日は色々とありがとうございました」
    「こちらこそ付き合わせてすまない。それと……もし良ければ叢雲、と呼んでくれないか?」
    「それは……できません」
    「いいから、一度呼んでみてくれないか?」
    「……叢雲、さん」
    「うん。今はそれでいい。また次会う機会があれば俺の部屋で話そう」
    「はい。ありがとうございます」
     ニコリと笑った戴天の笑顔を脳に刻む。周りの綺麗な花にも負けない笑顔をこれからもっと近くで見ていたいと純粋にそう思った。
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    りま!

    DOODLE叢+戴と宗+戴の一幕。
    ※恋愛要素は無いです!
    前半は穏やか、後半はギスギス。
    温度差で風邪を引いても大丈夫な方はどうぞ(?)
    進む先 カオスワールドの中、醜い雄叫びをあげてガオナクスが立ちはだかる。はぁはぁと荒い息を吐きながら、叢雲と戴天は身構えた。
     カオスワールドの主の意思が強いのか、いつも以上にガオナとガオナクスによる妨害が多かった。目立った怪我は無いものの、連続して起こる戦闘に2人の息は上がっていた。
    「……ふぅ、まだ行けるか?戴天」
    「無論。叢雲さんこそ大丈夫ですか?」
    「もちろんだ。……来るぞ!」
     ガオナクスが繰り出す攻撃を叢雲が防ぎ、戴天が光線で焼き尽くす。お互いが次にどんな動きをするのか、目を見るだけで分かった。
     後方にいた戴天の後ろに新たなガオナが出現するのを叢雲が目の端に捉えた瞬間に叫ぶ。
    「戴天ッ!」
     鋭い声が戴天の鼓膜を揺らすとほぼ同時に、叢雲の剣が戴天の背後にいるガオナに突き刺さった。戴天は考えるよりも先に叢雲の動きを予想し、半歩身を引いていた。音もなく消えていくガオナに安心する暇もなく、剣を突き出した腕を戴天が軽く引く。引かれた動きに抗うことなく身を翻すと、戴天がふわりと浮遊して前方のガオナを破壊した。
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    りま!

    DOODLE※①②③を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    雨→戴→宗と目線が変わります。
    終わらせようと思ったけど続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ④〜一歩前進編〜 玄関の扉が開く音に雨竜がリビングへ降りると、予想通り戴天が帰宅したようだった。
    「おかえりなさい、兄さん」
     戴天には休日というものが存在しないのではないか、というくらい働き詰めだ。今日も雨竜は休日だったものの、戴天は社内調整後の決裁のために出社をしていた。
     この決裁が終われば、ほんの少し戴天のスケジュールに余裕が出る。それを見越して明日は戴天の休日を作った。戴天は休日を渋ったが、このままでは何連勤になってしまうか分からないので、何も予定は入れませんと宣言したところでやっと了承してくれた。
    「ただいま、雨竜くん」
     靴を脱いでリビングへとやってきた戴天が雨竜に一声かけると、そわそわとした様子でそのまま部屋のある2階へと上がって行った。
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    りま!

    DOODLE※①②を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    駆け引き編は宗雲目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ③〜駆け引き編〜「ありがとうございました。……では、また」
     そう言いながら車に乗り込む戴天がこちらを見た。その表情がどんなものだったか、戴天は分かっているのだろうか。
    (では、また……か)
     戴天にとってはただの挨拶だとしても、彼の口から出た言葉であればそれを理由に何とでも言える。宗雲はつい緩んでしまいそうになる口元を手で押さえた。

     リビングのソファーに座りラウンジの雑務を片付けていると、スマホのメッセージアプリの通知音が響く。アプリを開くと、雨竜から今日のお礼が届いていた。雨竜が居なくなったあとの様子が気になったのか、直接的な言葉こそないものの、気になる様子が伝わってきて苦笑いする。
     同じ家にいる戴天には聞かずにこちらに聞いてくる気持ちはなんとなく分かる。ひとまず、こちらは嬉しかったと伝えられたこと、ただそれを戴天がどう思っているかは分からないことを伝え、最後に家に帰った戴天の様子を聞いておいた。
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    りま!

    DOODLE※お出掛け編を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    2人きり編は戴天目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ②〜2人きり編〜 雨竜が去り、カフェの店内に宗雲と戴天だけが残されている。雨竜のことを呆然と見送るしかできなかった戴天は、中途半端に浮いたままだった腰を再びソファーへと降ろした。
    「何か私に用事でもありましたか?それとも雨竜くんの前ではできないようなお話でもあるのでしょうか」
     戴天にとっては、宗雲と話さなければいけない用事も無ければ、何もないのにお喋りを楽しむような関係でも無かったから、今の状況がまるで飲み込めない。
    「いや、特にそんな話は無い」
     宗雲からの返答に戴天は訝しげな目線を向ける。
    「私もあなたに用はないのですが……」
     そう言う戴天に視線も向けずに宗雲は落ち着かない様子で手元のアイスコーヒーの氷をストローでかき混ぜている。カラカラと氷同士のぶつかる音が静かな店内に響く。グラスの表面についた水滴をコースターが音もなく吸いとっていった。
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    りま!

    DOODLE雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    お出掛け編は雨竜目線。続きます。
    ※8/9ちょっと内容修正して再アップしました

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き
    兄達よ和解せよ①〜お出掛け編〜「兄さん、日曜日の予定なんですが……」
     スケジュールの擦り合わせが完了し、今日も暑そうですね、なんて雑談をしている折に雨竜が切り出した。目の前に座っている戴天は朝食を食べる手を止めてこちらを見る。今週の日曜日は戴天と雨竜、揃っての休日だ。雨竜が珍しく習い事が夕方からだということで前々から出掛けようという話をしていた。
    「どうしました?」
     なかなか続きを話し出さない雨竜を見つめ、戴天が静かに問いかける。
    「あの、その日なんですが……宗雲さんと出掛けたいんです」
     突如出てきた宗雲の名前に、戴天は危うくカトラリーを落としそうになったのか、ぎゅっと手に力が入ったのが見えた。
    「3人で行きたいところがありまして。朝はそこまで早くはならないので、いつも通り内線で……兄さん?」
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