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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

    リアクション𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮😘生きる糧です。

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    りま!

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    ※①②を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    駆け引き編は宗雲目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!

    #宗戴

    兄達よ和解せよ③〜駆け引き編〜「ありがとうございました。……では、また」
     そう言いながら車に乗り込む戴天がこちらを見た。その表情がどんなものだったか、戴天は分かっているのだろうか。
    (では、また……か)
     戴天にとってはただの挨拶だとしても、彼の口から出た言葉であればそれを理由に何とでも言える。宗雲はつい緩んでしまいそうになる口元を手で押さえた。

     リビングのソファーに座りラウンジの雑務を片付けていると、スマホのメッセージアプリの通知音が響く。アプリを開くと、雨竜から今日のお礼が届いていた。雨竜が居なくなったあとの様子が気になったのか、直接的な言葉こそないものの、気になる様子が伝わってきて苦笑いする。
     同じ家にいる戴天には聞かずにこちらに聞いてくる気持ちはなんとなく分かる。ひとまず、こちらは嬉しかったと伝えられたこと、ただそれを戴天がどう思っているかは分からないことを伝え、最後に家に帰った戴天の様子を聞いておいた。
     しばらく既読が付かないのを見るに、雨竜も雨竜で忙しいのかもしれない。気にせずに汗を流すために風呂場へと向かう。
     風呂から出てスマホを確認すると、雨竜からの返事が届いていた。戴天は雨竜が帰宅したときは余り元気がなく心配したが、話しているうちに笑顔になって楽しく過ごせたと言ってくれたらしい。楽しかったが本音かどうかはさておき、会いたくないと言われる最悪な状況は避けられたようだ。雨竜への返信を終え、宗雲はソファーに深く腰掛ける。
     相変わらず雨竜は戴天の元で元気に過ごしているようだ。会うたびに成長を感じられて、その資格がないとしてもこれからも遠くから見守りたいと思う。そして戴天も。彼に関しては深く考えれば考えるほどあらゆる感情が湧き出てくる。過去には従兄弟、ライバル、相棒、友人、色々な関係をもって2人を現わせたように思う。しかし今はどれも違う。では何か?と問われると非常に難しい。無関係、そう答えるのが1番正しいのかも知れないとそう思っていた。
     先日ひょんなことから戴天と勝負をした。実力が均衡している相手との勝つか負けるかの勝負。そしてライダーステーションで久しぶりに2人きりで拳を交えて感じたのは、対等であるのはやはり彼しかいない、という高揚だった。クラスの仲間とも弟とも異なる感情。アカデミー時代に幾度となく立ち向かってきた戴天の、そういうところが好ましいと思っていたことを久しぶりに思い出した。
     そして同時に思い出したのは、お互いに望まない形での離別。今でもあの時の選択が間違いだとは思っていない。雨竜と戴天を危険な目に合わせるくらいなら自ら家を捨てる。何度繰り返してもきっと同じ選択をするだろう。例えそれが戴天に重責を背負わせることになっても。戴天ならこなしてみせるだろうという甘えと信頼があった。そんな別れ方をしたから、戴天から冷たい態度を取られることもあからさまな敵意も当然のことだと思っていたし、こちらからもそれなりに攻撃的な言葉を浴びせたこともある。今では高塔を探るために監視までしている。
     これまでならそれで良いと思っていたが、心境が変化したのは、雨竜の発案で3人で食事に行ってからだ。
     雨竜から3人で食事に行きたいと言われた時は驚いたが、宗雲にとっては断る理由も無かった。半ば強制的に戴天も来ざるを得ない状況にしたことは悪いとは思うが、そうでもしないと雨竜の願いは実現しなかっただろう。
     その食事で思ったよりも円満に時間を過ごせたことで、宗雲が感じていた戴天に対する壁が思った以上に脆いことを知った。
     そして先日、別れ際に見せた戴天の表情を見たときに、壁が音を立てて崩れていった。透明だが分厚いと思っていた壁が、少し体重をかけるだけでひび割れて行った気がしたのだ。その時に見た戴天の迷いを孕んだ縋るような目を思い出し、それは俺に向けて良い表情なのか?と問いそうになった口を咄嗟に飲み込んで正解だった。
     打算も裏もないただ真っ直ぐな言葉に、戴天はあからさまに狼狽えていた。つまり戴天は、こちらが真摯に問いかければ必ず応えてくれる。高塔という家と戴天個人の感情の間にある隙を掴み取れば……。
     そんなことを考えていると無意識にスマホに手が伸びていた。今を逃せば手をすり抜けて行きそうな焦りは、あと少しで真実を掴み取るときの高揚感と似ていた。
     1年のうち、戴天に電話を掛けることは片手どころか1回あるかないかだ。登録している連絡先の中から戴天を見つけ出し、電話を掛けた。あとのことは戴天と己の話術に掛かっている。
     コール音が2度、3度と流れたときプツ、と通話が繋がる音がした。
    「珍しいですね。あなたから電話なんて」
    「こんな時間にすまない。寝ていたか?」
    「いえ、まだですが……何か?」
     日付も変わってしまうような時間でも戴天は電話に出た。ほんの少しスマホを握る手に力が入ったのを自覚して、努めて冷静に切り出す。
    「お前のスケジュールを押さえようと思ってな」
    「は?」
    「今度食事に行かないか?」
    「……誘う相手を間違えていませんか?」
    「間違えていない」
    「はぁ……?」
     戴天は突然の誘いに戸惑いを隠せないようだ。こちらの考えていることを知らない戴天にしてみれば、きっと今日の宗雲の言動は終始おかしなものだっただろう。
    「俺と会うことはお前にとってもマイナスではないと思うが?」
    「どういうことですか」
    「会えば分かる」
    「……ずるいですよ」
    「そういうことだ。日程は」
    「なんて勝手な。……空いている日は改めて連絡します」
    「分かった。じゃあ、おやすみ」
    「……おやすみなさい」
     電話を切り、細く長く息を吐く。戴天が電話に出なければ、あるいは誘いを断られれば大人しく引き下がるつもりだった。でも戴天は電話に出て、誘いに応じた。多少強引に取り付けた予定ではあるが、ここまできて断るということは戴天はしないだろうという確信がある。
     あとは戴天からの連絡を待つだけだ。スマホを伏せて、宗雲は目を閉じた。

     次の日、出勤のための準備を終えたところにスマホにメッセージが届いた。スマホの画面を覗くと、戴天からだった。
    「今週日曜日、19時」
     相変わらず簡素なメッセージに、だらだらと長いやり取りを嫌う戴天に合わせて、こちらも簡潔にメッセージを送信する。
    「中央駅でいいな」
    「了解」
     駆け引きは成功だ。仕事へ向かうために玄関を出た宗雲の足取りは軽やかだった。

    駆け引き編
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    👏👏👏
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    りま!

    DOODLE叢+戴と宗+戴の一幕。
    ※恋愛要素は無いです!
    前半は穏やか、後半はギスギス。
    温度差で風邪を引いても大丈夫な方はどうぞ(?)
    進む先 カオスワールドの中、醜い雄叫びをあげてガオナクスが立ちはだかる。はぁはぁと荒い息を吐きながら、叢雲と戴天は身構えた。
     カオスワールドの主の意思が強いのか、いつも以上にガオナとガオナクスによる妨害が多かった。目立った怪我は無いものの、連続して起こる戦闘に2人の息は上がっていた。
    「……ふぅ、まだ行けるか?戴天」
    「無論。叢雲さんこそ大丈夫ですか?」
    「もちろんだ。……来るぞ!」
     ガオナクスが繰り出す攻撃を叢雲が防ぎ、戴天が光線で焼き尽くす。お互いが次にどんな動きをするのか、目を見るだけで分かった。
     後方にいた戴天の後ろに新たなガオナが出現するのを叢雲が目の端に捉えた瞬間に叫ぶ。
    「戴天ッ!」
     鋭い声が戴天の鼓膜を揺らすとほぼ同時に、叢雲の剣が戴天の背後にいるガオナに突き刺さった。戴天は考えるよりも先に叢雲の動きを予想し、半歩身を引いていた。音もなく消えていくガオナに安心する暇もなく、剣を突き出した腕を戴天が軽く引く。引かれた動きに抗うことなく身を翻すと、戴天がふわりと浮遊して前方のガオナを破壊した。
    3141

    りま!

    DOODLE※①②③を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    雨→戴→宗と目線が変わります。
    終わらせようと思ったけど続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ④〜一歩前進編〜 玄関の扉が開く音に雨竜がリビングへ降りると、予想通り戴天が帰宅したようだった。
    「おかえりなさい、兄さん」
     戴天には休日というものが存在しないのではないか、というくらい働き詰めだ。今日も雨竜は休日だったものの、戴天は社内調整後の決裁のために出社をしていた。
     この決裁が終われば、ほんの少し戴天のスケジュールに余裕が出る。それを見越して明日は戴天の休日を作った。戴天は休日を渋ったが、このままでは何連勤になってしまうか分からないので、何も予定は入れませんと宣言したところでやっと了承してくれた。
    「ただいま、雨竜くん」
     靴を脱いでリビングへとやってきた戴天が雨竜に一声かけると、そわそわとした様子でそのまま部屋のある2階へと上がって行った。
    4743

    りま!

    DOODLE※①②を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    駆け引き編は宗雲目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ③〜駆け引き編〜「ありがとうございました。……では、また」
     そう言いながら車に乗り込む戴天がこちらを見た。その表情がどんなものだったか、戴天は分かっているのだろうか。
    (では、また……か)
     戴天にとってはただの挨拶だとしても、彼の口から出た言葉であればそれを理由に何とでも言える。宗雲はつい緩んでしまいそうになる口元を手で押さえた。

     リビングのソファーに座りラウンジの雑務を片付けていると、スマホのメッセージアプリの通知音が響く。アプリを開くと、雨竜から今日のお礼が届いていた。雨竜が居なくなったあとの様子が気になったのか、直接的な言葉こそないものの、気になる様子が伝わってきて苦笑いする。
     同じ家にいる戴天には聞かずにこちらに聞いてくる気持ちはなんとなく分かる。ひとまず、こちらは嬉しかったと伝えられたこと、ただそれを戴天がどう思っているかは分からないことを伝え、最後に家に帰った戴天の様子を聞いておいた。
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    りま!

    DOODLE※お出掛け編を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    2人きり編は戴天目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ②〜2人きり編〜 雨竜が去り、カフェの店内に宗雲と戴天だけが残されている。雨竜のことを呆然と見送るしかできなかった戴天は、中途半端に浮いたままだった腰を再びソファーへと降ろした。
    「何か私に用事でもありましたか?それとも雨竜くんの前ではできないようなお話でもあるのでしょうか」
     戴天にとっては、宗雲と話さなければいけない用事も無ければ、何もないのにお喋りを楽しむような関係でも無かったから、今の状況がまるで飲み込めない。
    「いや、特にそんな話は無い」
     宗雲からの返答に戴天は訝しげな目線を向ける。
    「私もあなたに用はないのですが……」
     そう言う戴天に視線も向けずに宗雲は落ち着かない様子で手元のアイスコーヒーの氷をストローでかき混ぜている。カラカラと氷同士のぶつかる音が静かな店内に響く。グラスの表面についた水滴をコースターが音もなく吸いとっていった。
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    りま!

    DOODLE雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    お出掛け編は雨竜目線。続きます。
    ※8/9ちょっと内容修正して再アップしました

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き
    兄達よ和解せよ①〜お出掛け編〜「兄さん、日曜日の予定なんですが……」
     スケジュールの擦り合わせが完了し、今日も暑そうですね、なんて雑談をしている折に雨竜が切り出した。目の前に座っている戴天は朝食を食べる手を止めてこちらを見る。今週の日曜日は戴天と雨竜、揃っての休日だ。雨竜が珍しく習い事が夕方からだということで前々から出掛けようという話をしていた。
    「どうしました?」
     なかなか続きを話し出さない雨竜を見つめ、戴天が静かに問いかける。
    「あの、その日なんですが……宗雲さんと出掛けたいんです」
     突如出てきた宗雲の名前に、戴天は危うくカトラリーを落としそうになったのか、ぎゅっと手に力が入ったのが見えた。
    「3人で行きたいところがありまして。朝はそこまで早くはならないので、いつも通り内線で……兄さん?」
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    りま!

    MOURNING・嘔吐(体調不良)表現があります
    ・宗雲=叢雲の設定
    ・宗雲(叢雲)は高塔の一族でありながら高塔の隠された秘密を暴く側の派閥の生まれで、子供の頃から秘密を探っており、旧タワエンは探っていたのがバレて解散したという特殊設定(ですがあんまり関係ない)
    •戴天がヒスり、宗雲が少し暴力的かも
    •宗戴ですが糖度は低め
    欠けた月(前編) 広い屋敷の庭に面した縁側で、あなたは花の茎をパチンと花鋏で切り、花器に生ける。それを私はとても嬉しそうな顔をして見ている。できたぞ、と言って完成した作品はとても私の心を踊らせた。

    「ねぇ叢雲、もう一度お願いします」
    「戴天は本当に花を生けるのを見るのが好きだな。仕方ない、もう一度だけだぞ。ただし、」

     そう言ってあなたがこちらを見た瞬間、ゾクリと悪寒が走る。あどけない顔をしていたあなたが、立派な大人に見えた。まるでこちらを責め立てているような。

    「対価が必要だ。お前の隠していることを教えろ」

    「──ッ!」

     目が覚めるとそこは見慣れた自室で、戴天ははぁと短く息をつく。もう何度も何度も見た夢。幸せだったと同時に嘘で塗り固められたあの頃。全てが嘘だったとしても、優しさだけは確かにそこにあったと、今でもそれだけを大事に抱えている。
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