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    kototo7777

    @kototo7777
    二次創作、小説、クロイン中心。短め、供養、没案、なんとなくこっそり置いておきたいという作品をアップしています。

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    pixivの方にメインで話をあげています。
    https://www.pixiv.net/users/15888211

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    kototo7777

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    以前、pixivにあげたクロイン小説「守ると決めた人」の没案。展開がちょっと不自然かなあと思い没に。シチュエーション自体は気に入っていて別の話でそのうち使えないかとお蔵入りさせていたけど、もう使わないかなということで供養です。

    守ると決めた人(没案)あらすじ(?)
    グロンダーズ会戦前、旧王国軍に行こうとするイングリットを止めようとするクロード。立ちはだかるクロードをイングリットが攻撃。飛竜と共に落下したクロードを探しにいくところから。

    ***

     彼と飛竜が落下したあたりにイングリットはペガサスを着地させる。

    「クロード!どこにいるのです!?」

     必死に彼の名を呼ぶ。近くで飛竜の鳴き声を耳にして、彼女はその方向へと足を速める。そこには横たわる飛竜と、そばには肩を抑え地面に座り込んでいるクロードの姿があった。

    「なんだ、行っちまったんじゃなかったのか?」
    「手負いのあなたを残して行けるわけないでしょう」
    「ははっ、俺に傷を負わせずに行くつもりだったか、随分甘く見られたもんだ」
    「応急処置はさせてもらいますから」

     イングリットは手持ちの調合薬と包帯を取り出す。治療をしようと彼の前にかがみこんだ時だった。傷を負っているほうの手が伸びてきて彼女の腕をつかんだ。それから思いっきり引っ張られて……気づいた時にはクロードに抱きすくめられていた。

    「えっ?あの、クロード、腕の傷は?」
    「ん?少々痛いが、大したことないぞ。ちょっとずれていたら、大事だったろうが」
    「……」

     ちらりと横にいる飛竜を見ると怪我を負った様子はない。閉じられていた目が開き、きょとんとした目でイングリットを見つめてきた。

    「クロード……もしやあなた達……」

     あなた達の「達」は彼の相棒の飛竜も含まれている。

    「なかなかいい連携だっただろう?」
    「騙したのですね!」

     怒りの表情を浮かべ、彼の腕から抜け出そうとするが、がっしりと彼女を抱きしめている腕の強さはまったく緩むことがなかった。

    「離してください!」
    「離すわけないだろ。ここに俺を心配して来たお前の負けだよ。本当に行きたきゃ、俺なんてほっぽとけば良かったんだ」
    「そんなこと……」
    「イングリット、俺はお前に死んでほしくない。この戦争を終えた先……お前とともにあれたらと思ってる」
    「!……クロード。それは……」

     真剣な顔で放たれたその言葉にイングリットはすぐに言葉を返すことが出来ず、彼から気まずそうに目を逸らす。彼に対し、いつからか好意を持つようになった。そして、彼の方も同じように思ってくれているのかと感じることもあった。だから、その言葉は本当なら喜ぶべきものなのだろう。しかし、ディミトリが生きているかもしれないと知ってしまった今となっては……

    「でも、ここで行かなければ、きっと私は後悔することになるでしょう」
    「それは俺も同じだ、今お前を行かせたら、俺は一生後悔するだろうな」
    「行かせてくれなければ、私はあなたをずっと恨むことになるかもしれません」
    「恨めばいいさ。ののしってもらってもいい。敵対してお前を殺さなきゃいけない状況になるよりましだ」
    「まさか、そんな状況になんて……」
    「必ずしもそうなるとは限らないが。嫌な予感がするんだよ」

     クロードは起こりうるあらゆる可能性を考えて常に行動している。彼の言う「予感」とは様々な条件、状況を想定してのものといっていい。イングリットとしては軍を率いているのがディミトリであれば、同盟と敵対することはないのでは、と考えていた。しかし、その考えは甘いのだろうか。

    「なあ、行かないでくれるか」

     その声色から、いつものクロードらしからぬ焦りが伝わってきて、イングリットは戸惑う。そして、つい先ほどまであったはずの自身の決意が揺らごうとしていた。しかし彼女はその揺らぎを打ち消すように首を大きく横に振った。

    「私は」

     行かなければならない。

     そう言うはずだった。けれどもその言葉を発することは出来なかった。気付くと唇が塞がれていた。

    「ん……」

     唇に感じる温かい感触。突然のことに何が起こったのか一瞬分からなかった。クロードのそれが重ねられているのだと理解するのと同時に唇が離され彼はイングリットの瞳を覗き込んだ。

    「お前が……好きだ」

     切なげな翠色の瞳が彼女を射抜いた。

    「……クロード」

     彼の言葉が、彼女を愛おし気に見つめる眼差しが……彼女の心を捕らえて離さなかった。ディミトリや幼馴染を初めとする王国の人達の元に行かなければという思いと、クロードの元から離れたくないという思いがごちゃごちゃになってしまっていて。どうすることが正しいのかよく分からなくなってしまっていて。今にも泣き出しそうな顔でイングリットはクロードを見つめた。クロードの腕に力がこもる。右手をイングリットの頭の後ろに、左手を腰へ回され、さらにきつく抱きしめられる。

    「あっ……ん……」

     今度は最初よりも深く長い口付けをされた。段々と何も考えられなくなってくる。唇が離れた後、互いの目がかち合う。

    「王国には行かせない。諦めてくれ」

     強い意志のこもった声で言われて、イングリットの目が潤み、すっと、涙が零れ落ちる。行ったらもう後戻りは出来ない、そして生きて戻ることも出来ない……その予感はあった。それでも行こうと思ったのは、ただただ、王国の、ディミトリの騎士になりたかったという彼女の信念ゆえだった。ディミトリが処断されたと知った時、同盟軍に行こうと決意した時、その信念はなくしたはずだった。しかし、生きているのかもしれない、そう知ったとき再び、その思いが蘇ってきた。ファーガスの騎士として、ディミトリに寄り添いたい……かっての婚約者のグレンのように。例えその結果がどうであろうとも……そう思ってしまった。けれども今は。

    「私はファーガスの騎士としては失格ですね」
     
     消え入りそうな声でぽつりと漏らす。

    「ファーガスの騎士っていうのは本当に……馬鹿が付くぐらいに真面目で頑固者で忠義に厚い奴らだよなあ。その生き方を否定する気はないよ」

     クロードが痛々し気な表情で、イングリットの頭を優しく撫でる。

    「だが、俺はお前にその生き方はしてほしくない。お前に惚れている奴が……お前が死んだらどう思うか考えてくれないか」

     クロードの言葉にイングリットは唐突にグレンを喪った時のことを思い出す。もし自分が死んだらクロードもまた、あの時の自分と同じように悲嘆にくれることになるのだろうか。

    「自惚れてもらっていいんだぞ。多分、俺はお前が思っている以上に、お前に執着してる」

    そう言って、クロードはイングリットの目元に唇をあてて涙をぬぐう。

    「見ないでください」

     涙が止まらない。イングリットはクロードの胸に顔を埋めて嗚咽した。

    「殿下、申し訳ありません、私は……」

     クロードがイングリットを再び強く抱きしめる。グレンのようにディミトリを守りに行けない自分を恥じる思いを持つ一方で、クロードに想いを告げられたことで心の内が温かくなってしまっている自分もいて。ああ、自分は騎士になど向いていなかったのだと思い知らされる。
     
     そんなイングリットの気持ちを知っているかのように、クロードが彼女の耳元に言葉を紡ぐ。

    「お前は悪くない。俺を恨めよ、イングリット」
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    kototo7777

    MOURNINGクロイン。グロンダーズ会戦後、祝勝会の時の2人。関係としては両片思いの状態。もっと手直ししたり、もう少し色々書き加えたいと思っていたのですが長らく放置していたため供養。
    仲間だから 同盟、帝国、王国……三つ巴の戦いとなったグロンダーズ会戦。深い霧が立ち込める中、敵味方がはっきりと認識できない中でのその凄惨な戦いは同盟軍の勝利に終わった。ファーガスの王子ディミトリは帝国兵に討たれた。アドラステア皇帝エーデルガルトは退却し、帝国はメリセウス要塞の守りを固めつつある状態だった。

     会戦から数日後、ガルグ=マク大修道院の大広間では此度の戦の祝勝会が行われていた。討つことは叶わなかったものの皇帝自らが出陣してきた戦いで勝利を収めたことは大きい。まだ戦いは終わっていないという緊張感は持ちつつも、同盟の兵達はこの勝利の宴で、束の間の休息ともいえる時を過ごしていた。

    「盟主殿!ベレト殿!」

     祝勝会では当然、同盟軍の中心的立場である盟主のクロード、そして的確な指揮で同盟軍を勝利に導いたベレトの2人が兵士達から引っ張りだこの状態だった。2人も勿論兵士達を労うために忙しく大広間内を駆け回っていた。そして、ようやく乾杯の音頭からしばらく続いていた盛り上がりが落ち着いた頃、クロードは大広間を見渡して、ある人物の姿がないことに気付く。
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    kototo7777

    DONEクロイン。ED後パルミラ宮中で。捏造名前ありオリジナルキャラ視点(ナデルの姪で名前はナディア。イングリットの新米侍女兼護衛)のお話なのでご注意ください。クロードは本名表記。
    思い出(※捏造キャラ視点その2) 早朝……ようやく日が昇るかといった頃合いの時間、パルミラ王城内の訓練場では掛け声と共に槍を交わす音が響き渡っていた。

    「させません!」

     相手の攻撃をかわしたナディアは、体勢を立て直し反撃に出た。相手は渾身の一撃を放ってきたが、なんとか、かわすことが出来た。大きく隙が生まれているはずだった。勝てる、と確信する。

    「遅い!」
    「えっ!?」

     速さには自信があったのだが、相手の方が上手だった。あると思っていた隙が全くなく動揺したところを打ち込まれ、気づくと手にあったはずの槍が床に転がっていた。

    「このくらいにしておきましょう」

     ふーっと、息を吐き、目の前の女性は槍の構えを解いた。その女性をナディアは複雑な面持ちで見つめる。白い肌、ブロンドの髪、一見華奢にも見える、すらっとした体形。パルミラの子供向けの絵本によく出てくる異国のか弱いお姫様がまさに彼女のような外見をしていたように記憶している。だから、きっとこの女性もそうなのだろう、自分が守らねば……そう初対面の時は思ったのであるが。
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    kototo7777

    MOURNINGクロイン供養。支援CとBの間のクロードの思考。グリットちゃんは、ほぼ出ない。
    人を信用できていない頃のクロードは、どんなことでも疑ってかかっていたんじゃないかという話。(実際のところ、そこまでクロードは考えてなくて、もっと軽い気持ちでの会話かもしれませんが……)
    「もう少し柔らかくならないもんかねえ」

     ぷんすかと怒りながら去って行くイングリットの後ろ姿を見送りながらクロードは溜息をつく。彼女に説教を受けるのは何度目になるか。なんだって他学級の彼女にそこまで言われなきゃならないのか。突然現れたリーガン家の嫡子にして次期盟主。そんな自分に対し不振の目を向ける者、警戒する者は決して少なくない。しかし彼女は王国貴族だ。互いに直接的な利害はないように思えた。

    「何か目的があるってことか?調べてみるかね」

     王国貴族のガラテア家が自分を探る理由。主な貴族達の情報は頭に叩き込んでいるが、まだまだ自分が知らないことはたくさんあるだろう。きっとイングリットが自分に関わらなければならない理由があるはず……そう思った。利がないのに、わざわざ、あんな風に構ってくるなぞおかしいではないか、と。しかし、様々な伝手も使い調べたものの、特にこれといった有力情報は掴めなかった。
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