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    kototo7777

    @kototo7777
    二次創作、小説、クロイン中心。短め、供養、没案、なんとなくこっそり置いておきたいという作品をアップしています。

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    kototo7777

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    クロイン。ED後パルミラ宮中で。捏造名前ありオリジナルキャラ視点(ナデルの姪で名前はナディア。イングリットの新米侍女兼護衛)のお話なのでご注意ください。クロードは本名表記。

    夫婦仲(※捏造キャラ視点その1) 新しい王妃付きの侍女兼護衛の任務。なかなか、良い仕事にありつくことが出来た……そうナディアは思う。問題はその王妃の人柄だ。先代に続きフォドラ出身の女性。ティアナ前王妃は、なかなかに勇猛な気質の持ち主だったが、はてさて今度の王妃は。


    「待ちなさい!今日という今日はもう許しませんよ!」
    「うぉっと!待て待て、もう少し話を聞いてくれよ」

     今日も宮中では逃げる王と王妃の姿が見られる。2人の間には諍いが絶えない。皆、ああ、今日もまた、とはらはらと2人の成り行きを見守っている。そして宮中ではある噂が飛び交っていた。

     しょせんフォドラとの国交樹立のための政略結婚。先代王妃が例外だっただけで、やはりフォドラ人とパルミラ人で上手くやっていくのは無理なのだ、と。

     そうなると国の有力者達があれこれと動き始める。自分の娘をこぞって側室として王に送り込もう……と。そもそも、先代王は複数の側室がいたわけであるし、それはパルミラ王家ではごくごく普通のこと。しかし王が側室をとることはなかった。宮中の人間はナディアも含め、皆、王は側室を取るのだろうと思っていたので、とても驚いた。とはいえ、正直ナディアとしては複数側室がいようものなら、彼女らとその侍女との駆け引きや、諍いに巻き込まれることも考えられ、面倒なことこの上ないので、有難い話ではあった。

    「ねえ、叔父さん。カリード陛下って何を考えているのか、さっぱり分からないんだけど」

     ナディアが王を訪ねてきた叔父……ナデルに尋ねる。

    「ん?ああ、俺も分からねえなあ」

     顎髭をさすりながら、今日も諍いをしている国王夫妻を眺めつつナデルが呑気な顔で返事をする。
     
    「もう、ふざけないで、ちゃんと答えてよ。子供の頃から叔父さんはずっとカリード陛下に目をかけてたって、父さん達が言っていたわ。わざわざフォドラにまで出向いて」
    「いや、本当のことなんだがな。だがあの2人に関しては夫婦仲がいいことは確かだ」
    「えっ?どこが?」

     あんなに喧嘩ばかりなのに仲がいい?腑に落ちない表情のナディアを見てナデルが、ふむ、と何やら考える仕草を見せる。

    「まだ、お前にはわからんか」
    「えっ、どういうこと?」
    「ああ、なんでもねえ、そのうち分かるだろ」
    「何、訳がわからないんだけど」

     説明を求めるも叔父はなんやかんや、はぐらかし行ってしまった。

    「一体、どこをどう見れば、夫婦仲がいいなんて言えるのかしら……」


     数日後。ナディアが宮中内の廊下を歩いていると、客室用の部屋から聞こえるはずのない声が聞こえてきた。国内の有力者達が集まる会議がある時や、他国の王族や貴族が訪れた時に使われる部屋だ。しかし今はそういった行事はない。不法侵入か、それとも使用人の誰かがさぼってでもいるのか、と思いそっと扉を開けて中を窺う。すると部屋の奥のバルコニーに立っている人物が2人。その正体を確認し、ナディアは目を丸くする。

    (陛下と王妃様!?)

     そこにいたのは、なんとカリード陛下と王妃。2人はいつも通り何やら言い争いをしている。どうも相も懲りずに王が宮中を逃げ回り、この部屋に隠れていたところを王妃に見つけられてしまったところのようだ。
     王妃は険しい顔つきで王に説教をし王は苦笑いを浮かべつつ、彼女を宥めている。
     
    「本当に反省しているのですか!?」
    「してるしてる、海よりもふかーく、山よりもたかーく……」
    「……反省していないようですね」

     あちゃーっと、ナディアが額に手を当てて2人の様子を見守る。そして再び言い争いが始まるのかと思いきや、王が説教をしようと開きかけた王妃の口を自らのそれでふさいだ。

    (えっ?)

     唐突とも思えるその行動にナディアは、思わず声をあげそうになるのを咄嗟に堪える。王妃は最初こそ抵抗する素振りを見せるも、王が王妃を抱き寄せ口づけを深くしていくうちに、諦めたのか身体の力が抜けたように見えた。それどころか王妃も自分の腕を王の背に回している。一度2人の唇が離れ、見つめ合い、今度は王妃の方から唇を寄せる。

    (??なんで?)

     ナディアは2人の様子を凝視しつつ必死に頭の中を整理しようとしていた。たった今、言い争っていたのになぜ……と。

    「イングリット……いいか?」

     王が王妃に尋ね、それに対し王妃はこくりと頷いた。もう先程までの険しい表情は王妃にはなく、それどころか少し恥ずかしそうに王の顔を見つめている。その顔はまるで少女のよう。

    (あっ、王妃様……可愛い)

     初めて目にする王妃の表情に、同性ながらナディアは思わずドキドキしてしまった。それから王は王妃の背と膝裏に腕を回し、ふわりと抱き上げて、そのまま部屋のベッドに……
     
     突然首根っこを掴まれた。
     
     驚いて「ひゃっ!」と声をあげそうになるのを、ごつごつした手で塞がれる。その手の主はナディアの口から手を離すと、ゆっくりと部屋の扉を閉めた。

    「あれ、叔父さん!?」
    「さすがに不敬だ、行くぞ」

     叔父のナデルがそう言ってナディアの腕を引っ張り、部屋のある場所から移動する。
     
    「叔父さん、陛下と王妃様は今、その……」

     歩きながらナディアはもじもじしながら、叔父に尋ねる。さすがに王と王妃が何をしようとしているのか分からない程、子供ではない。しかし、思わぬ現場を見てしまい内心、心臓がばくばくしていた。
      
    「言っただろう、夫婦仲はいいってよ」
    「でも、普段、あんなに揉めてばかりなのに」
     
     どうにも腑に落ちない。喧嘩するほど仲がいいなどの言葉もあるが、それにしても。

    「まあ、お2人にとっては、それも含めて楽しいんだろうよ」
    「ふーん。よく分からないけど。そっか、夫婦仲ってそういう……」
     
     以前も、叔父がその言葉を言っていたのを思い出し、ナディアの顔が赤く染まる。まあ、何はともあれ、それなら離縁はないだろう。自分の職もひとまず安泰といったところか。
     
     それにしても、とナディアは先ほどの2人の様子を思い起こす。王妃は可愛らしかったし、それを見つめる王の顔もまた、これまで見たことのないほど優しいものだった。

     しばらくは2人に会うたびに、そのことを思い返すだろうし、宮中で追いかけっこしていても、その後は……といらぬ妄想をしてしまうことになりそうだった。

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    kototo7777

    MOURNINGクロイン。グロンダーズ会戦後、祝勝会の時の2人。関係としては両片思いの状態。もっと手直ししたり、もう少し色々書き加えたいと思っていたのですが長らく放置していたため供養。
    仲間だから 同盟、帝国、王国……三つ巴の戦いとなったグロンダーズ会戦。深い霧が立ち込める中、敵味方がはっきりと認識できない中でのその凄惨な戦いは同盟軍の勝利に終わった。ファーガスの王子ディミトリは帝国兵に討たれた。アドラステア皇帝エーデルガルトは退却し、帝国はメリセウス要塞の守りを固めつつある状態だった。

     会戦から数日後、ガルグ=マク大修道院の大広間では此度の戦の祝勝会が行われていた。討つことは叶わなかったものの皇帝自らが出陣してきた戦いで勝利を収めたことは大きい。まだ戦いは終わっていないという緊張感は持ちつつも、同盟の兵達はこの勝利の宴で、束の間の休息ともいえる時を過ごしていた。

    「盟主殿!ベレト殿!」

     祝勝会では当然、同盟軍の中心的立場である盟主のクロード、そして的確な指揮で同盟軍を勝利に導いたベレトの2人が兵士達から引っ張りだこの状態だった。2人も勿論兵士達を労うために忙しく大広間内を駆け回っていた。そして、ようやく乾杯の音頭からしばらく続いていた盛り上がりが落ち着いた頃、クロードは大広間を見渡して、ある人物の姿がないことに気付く。
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    kototo7777

    DONEクロイン。ED後パルミラ宮中で。捏造名前ありオリジナルキャラ視点(ナデルの姪で名前はナディア。イングリットの新米侍女兼護衛)のお話なのでご注意ください。クロードは本名表記。
    思い出(※捏造キャラ視点その2) 早朝……ようやく日が昇るかといった頃合いの時間、パルミラ王城内の訓練場では掛け声と共に槍を交わす音が響き渡っていた。

    「させません!」

     相手の攻撃をかわしたナディアは、体勢を立て直し反撃に出た。相手は渾身の一撃を放ってきたが、なんとか、かわすことが出来た。大きく隙が生まれているはずだった。勝てる、と確信する。

    「遅い!」
    「えっ!?」

     速さには自信があったのだが、相手の方が上手だった。あると思っていた隙が全くなく動揺したところを打ち込まれ、気づくと手にあったはずの槍が床に転がっていた。

    「このくらいにしておきましょう」

     ふーっと、息を吐き、目の前の女性は槍の構えを解いた。その女性をナディアは複雑な面持ちで見つめる。白い肌、ブロンドの髪、一見華奢にも見える、すらっとした体形。パルミラの子供向けの絵本によく出てくる異国のか弱いお姫様がまさに彼女のような外見をしていたように記憶している。だから、きっとこの女性もそうなのだろう、自分が守らねば……そう初対面の時は思ったのであるが。
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    kototo7777

    MOURNINGクロイン供養。支援CとBの間のクロードの思考。グリットちゃんは、ほぼ出ない。
    人を信用できていない頃のクロードは、どんなことでも疑ってかかっていたんじゃないかという話。(実際のところ、そこまでクロードは考えてなくて、もっと軽い気持ちでの会話かもしれませんが……)
    「もう少し柔らかくならないもんかねえ」

     ぷんすかと怒りながら去って行くイングリットの後ろ姿を見送りながらクロードは溜息をつく。彼女に説教を受けるのは何度目になるか。なんだって他学級の彼女にそこまで言われなきゃならないのか。突然現れたリーガン家の嫡子にして次期盟主。そんな自分に対し不振の目を向ける者、警戒する者は決して少なくない。しかし彼女は王国貴族だ。互いに直接的な利害はないように思えた。

    「何か目的があるってことか?調べてみるかね」

     王国貴族のガラテア家が自分を探る理由。主な貴族達の情報は頭に叩き込んでいるが、まだまだ自分が知らないことはたくさんあるだろう。きっとイングリットが自分に関わらなければならない理由があるはず……そう思った。利がないのに、わざわざ、あんな風に構ってくるなぞおかしいではないか、と。しかし、様々な伝手も使い調べたものの、特にこれといった有力情報は掴めなかった。
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