今日の自分はどこかがおかしい。
「テラさん、もっと腰上げて」
「あ、待っ……!」
深夜のシェアハウスの一室で、ぐ、と強引に彼の腰を持ち上げる。返事は端から聞くつもりはなかったし、例え聞いたとしても待つつもりなどなかった。奥の奥まで自身で満たすと、組み敷いている背中が甘い悲鳴と共に弓なりに反る。ぱさりと美しい金の髪が宙に舞い、同じく美しい裸の肩が露わになる。
今日、ホテルのラウンジでテラさんが知らない男とお茶をしていた。あとで聞くと、ただの取引先の重役、つまりビジネスパートナーだという。ただの、という割には、明らかに彼からはテラさんへの仕事以上の感情が漏れ出ていた。テラさんも気づいていたが、他人から好意を向けられるのが当然の彼にとって特に騒ぎ立てることでもなかったらしい。
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