Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    miyu_hoshiya

    @miyu_hoshiya

    書いたものを投げるところ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 28

    miyu_hoshiya

    ☆quiet follow

    感想の代わりに

    ##降風

    【ハロ嫁】貴方はなんてこわい人【ネタバレ】 恐れというのは隠しているつもりでも相手に伝わってしまうものなのだな……と風見は最近身をもって知った。IoTテロ以降、多くはないものの以前よりも降谷と共に二人で行動することも増え、どこか壁のあった上司との心理的距離に変化が生じたのを感じている。以前であれば勝手に立ち入られたと思ったであろうことも、当然のこととして受け止めることができるようにまでなった。
     近頃は後ろから支えたり、変わり身となるのではなく、互いが隣にあることが不自然でなくなっていた。だからこそ、二人で追っていた逃走犯に装着さつけられた爆弾が爆発し、爆風に吹き飛ばされて意識を失った風見は、目覚めたときに目にした上司の首へ飾られた首輪型爆弾へ己の想定を超える衝撃を受けてしまったのだろう。
     あの時立体駐車場のスロープから地面へ落ちかけた人間が誰であれ、降谷は見殺しにすることなく風見を助けた時と同じ選択を取っただろうが、風見にとってそれは関係のない話だ。
     降谷へ爆弾が取り付けられることは、己が逃走犯へ迂闊に近寄らなければ避けられたかもしれないのだから。この負債は何としても風見が返済しなくてはならない。

    *

    「やはりあの少年を巻き込むんですね」

     風見は今回の事件専用に配布された端末へ新たに登録された『江戸川コナン』の携帯電話番号を表示させながら普段よりも低い声を発した。あの少年は只者ではないが、風見にとっては守るべき一般市民の一人でもある。

    「なに、単純な役割分担さ。それに、彼にばかり任せるつもりもない」

     身動きのできない降谷は、捜査一課だけでなく、コナンを巻き込むことで多くの手足を手に入れた。今回の件は過去に起きたいくつかの事件が複雑に絡み合っている。駒は多いに越したことはない。

    「成分も分からなければ解体方法も分からない。迂闊な行動をとればドカン。そんな僕にできることといえば、ここから彼らの手に届かない情報を引き出してくるぐらいだ」

     今の自分にできうる最大限のことを。そう言外に伝えてくる降谷に、風見も表情を硬くしたまま頷く。一番もどかしい思いをしているのは、シェルターに入らざるを得なくなった降谷なのだから。

    「確か君は化学・工学系もできただろう。それに不器用な方じゃぁない」

     僕が何を言いたいかわかるよな? と笑う上司に、風見は頬を引き攣らせた。いくら風見があらゆる訓練を受けているとはいえ、爆弾の解体など専門家へ任せた方が安全なことは火を見るよりも明らかだ。
     己の失態により招いた事態だと自責の念に駆られている人間へ「自分を救ってみせろ」と命を預ける真似をするだなんて、とても正気とは思えない。
     思えない……が、この上司は風見の心が頑なになっている理由にも手を差し伸べているのだ。

    「貴方はやはり畏敬こわい人だ」

     風見は必ず成分を明らかにし、忌々しい首輪を外してみせようと覚悟を決めて降谷へ背を向けた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭🙏👏👏👏👏👏👏👏👏💞😭👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator