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    miyu_hoshiya

    @miyu_hoshiya

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    miyu_hoshiya

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    安室×風見のカフェパロ2

    ##安風

    【安風】そのころには手遅れ【カフェパロ】「風見さん、好きです」

     風見裕也は雇い主からかけられた一言に、まず自分の耳と目を疑った。パチパチと瞬きをし、眼鏡を外して目頭をもみ、もう一度よく安室の顔を見る。
     安室は真犯人が分かった時のような、勝ちを確信した顔をしていた。
     どうやら先ほどの発言は聴き間違いなどではないらしい。風見は手に持っていた紙をそろえながら、こっそりと細く長く息を吐いた。
     現在風見は、大学のサークルで知り合った諸伏景光からの紹介で、安室透の探偵事務所兼カフェで現在働いている。カフェでの安室はどこからどう見ても好青年なのだが、事件現場で『推理ショーティータイム』を行う時の彼はどうにも食えないのだ。
     その食えない方の面で、恋愛について語り合おうとする安室の姿勢がどうにも気に食わず、風見は「へぇ、自分も安室さんのこといい雇い主だと思っていますよ」と口をへの字に曲げて応戦した。
     そもそも、カフェの閉店後、先日片はついていたもののカフェの仕事が忙しくなり、ケースクローズできていなかった浮気調査についての資料をやっとまとめ始めたところだというのに、無駄口を叩くなど言語道断。
     人を口説くつもりがあるのであれば、シチュエーションにも配慮してもらいたいものだ、というのが風見の思うところである。

    「僕も風見さんの働きぶりには感謝してもしきれないと思っています……が、今の会話の切り口はそこではないと風見さんも分かっているでしょう?」

     朝から夜までほぼ一緒にいるせいで錯覚しているのではありませんか? という反論をパンチで紙に穴をあけながら風見は思いついたが、それは安室に対して失礼だと口には出さずにおいた。老若男女にモテる安室がなぜ自分をという心の隅にあるネガティブな気持ちも同時に押しとどめ、風見は「はぁ」とため息をついた。

    「人へ対する好感という意味では、安室さんには当然一定以上の好感を持っていますよ」

     いい人だと思っているし、尊敬もしている。これからも共に働き、安室を支えることができればよいと風見は常日頃から思っている。もう日も沈んだというのにキラキラと発光する安室を見て、風見はその眩さに目をきゅうと細めた。
     安室は安室で、自分の思惑とは違う形をした風見からの返答に、むむむと顔をしかめる。
     いつもであれば安室のその表情で「仕方がないなぁ」と風見が甘さを見せているところだが、本件について風見は甘さを見せるわけにはいかないのだ。

    「風見さんは僕と一緒にいてドキドキしたりしませんか?」
    「ハラハラさせられることは多いですね」
    「もっと一緒にいたいなとか」
    「置手紙一つ置いて一カ月近く行方知れずになる方が何を……」

     安室はめげずに追撃するが、風見はそれをひらりとかわす。探偵と助手、雇用主と被雇用者の関係を今のところ風見は崩すつもりはない。せめて安室の口から発せられるメレンゲクッキーのような「好き」が、ザッハトルテのような重さになるまでは。
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    recommended works

    KaraageMitsu

    MOURNING #ルクヴィル版ワンドロワンライ60分1本勝負


    【秘密】


    時間内に書けなかったので。




    *****************
    『願いが叶う赤いリンゴ』

    それは、伝統あるポムフィオーレの寮長が、代々受け継ぐものの一つ。

    「ヴィル、少し話があるんだけどいいかな?」

    外の仕事から戻ってきて、そろそろ一時間ほど経っただろうか。
    恐らくこれぐらいの時間であれば、ヴィルの白く美しい肌を保つための入浴を済ませ、柔らかな表現を可能にするためのストレッチも終えた頃合い。

    留守の間にあったことを報告するために、彼の自室を尋ねるが一向に出てくる気配がない。

    「ヴィル?」

    私の隣にあるヴィルの部屋の扉が開く音がしたのは、一時間前の一度きり。
    つまり、再び出かけたとは考えにくい。

    …となれば、残された場所は一つ。

    鏡台の一番高いところに成る艶やかで美味しそうな赤い禁断の果実。
    その果実に手を伸ばし、優しく撫でるとゆっくりと沈み込みカチっと何かにはまる音がする。

    「やはりここにいたんだね、ヴィル」
    「…ルーク」

    姿見の後ろの壁に隠された小さな小部屋。
    そこにヴィルはいた。

    願いを叶えるリンゴがもたらしてくれるのは、大釜や珍しい薬品など。
    願いを叶えるために最終的には自らの努力が必要という辺りが我が寮に相応しい部屋だ 1286

    KaraageMitsu

    DONE『名前を呼ぶ声』
    #ルクヴィル版ワンドロワンライ60分1本勝負





    ****************
    「で、今日はどこで油を売ってたわけ?」
    「オーララ。そんな険しい顔をしていては、せっかくの美貌に翳りが出てしまうよ?」
    「…誰のせいよ」

    明日の寮長会議に提出するために、今日中に仕上げなくちゃいけない書類があってルークを呼んでいたのに……。

    「私のせいかい?」

    きょとんと大きく目を見開き小首を傾げてみせるルークに、思わず口から漏れるため息で肯定をしてしまう。

    「つい、珍しいものがいたから、学園の外の森まで追いかけてしまってね」
    「外で暴れたなら、アタシの部屋に来る前に、きちんと身をきれいにしてから来てるわよね?」
    「もちろんシャワーは済ませてきたよ。キミと約束していたから、これでも急いで駆けつけたのだけどね…」

    約束をしていた時間は3時間前のことで、ルークは来ないと判断して仕方なく一人で山積みの資料を纏めて一枚の企画書を作り終え、いつもより遅くなったストレッチとスキンケアを手は抜かずに、けれどなるべく急いで済ませ、後はベッドの中で身体を休ませるだけといったところだったのに…。

    「…アタシは、もう寝るから」

    部屋から出て行ってと少し睨みつけるような視線を投げかけていたけれど 1344