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    hozumiya

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    安室×風見のカフェパロ5

    ##安風

    【降風・ワンドロ】秘密×秘密【秘め事】 風見は雇い主の安室透が抱える最大の秘密を、彼と出会う前から知っている。そもそも、安室と関係を持つきっかけを作った彼の幼馴染である諸伏は、風見に対して安室の秘密を守ろうとする素振りが無い。
     学生時代から諸伏が幼馴染と呼ぶのはただ一人であったし、夏季休暇等で撮った写真を見せてもらったこともある。記憶力に多少自信のある風見は、名前は違えど無数に散らばるピースの数々に、安室の正体を感づかないほど鈍くあることもできなかった。

    「オレ結構忙しいので、風見先輩が零(ゼロ)のところに来てくれて本当に良かったと思ってるんですよ」

     例えばこれだ。風見は自分以外の前では諸伏がきちんと安室のことを「トール」と呼ぶことを知っている。諸伏は風見が安室の真の名前を知っていると分かっているからこそ、昔ながらの名前で彼のことを呼ぶのだ。
     雇い主が本来の名前を隠し、安室透として生きているのには並々ならぬ理由があるのだろうに、いささか軽率ではないだろうか。もし自分が彼の命を狙う人間だったらどうするんだと思うが、きっとそんなことを言えば、諸伏から「風見先輩は味方だって知ってるので」とあっけらかんとした口調で言われるだろうことは分かり切ったことだ。

    「あとは先輩が現場にも来てくれるようになったらなぁ」

     もののついでに言うんですがといった調子で、諸伏が箒に体重をかけながらとんでもないことを宣いだした。さすがの内容に、風見はグラスを拭く手を止める。とんだ本末転倒もいいところだ。

    「俺は安室さんが現場に行っている間もここの営業が続けられるように雇われていると思っていたんだが?」
    「それはそうなんですけど、一度風見先輩と一緒の時に遭遇して解決した事件があったじゃないですか。あの時、零のヤツいつもより動きやすそうだったんですよ」

     あの時は安室の指示に従い色々と動き回ったなと風見は思い出す。かなり無茶なことも振られたが、風見があの時こなしたことは、本来であれば諸伏が果たしていたであろう役割だったのだろう。
     普段の友人関係という立場であればまだしも、さすがに一般人が警察官相手に指図する構図は具合が悪かったのだろう。そんな時、丁度良いタイミングで自分がいたというだけだ。彼の役に立てたことは嬉しかったけれど、それで調子に乗るほど子供ではない。風見は諸伏の夢物語を聞き流し、グラスを拭くのを再開する。

    「……風見先輩、そうは言っても書類の整理くらいはもう手伝わされてるんじゃないです? 先輩、そういうの得意じゃないですか」
    「馬鹿を言うな。二階の事務所は個人情報の塊だぞ。安室さんがそんな安易な真似をすると思うか?」
    「でも、零(ゼロ)の愛車は運転したんですよね?」

     あの零(ゼロ)がRX-7のハンドルを任せてもいいと思うほどのところに食い込んでるのに、今さら事務所の立ち入りなんて気にするかなと諸伏は考え込む。
     至高の海に沈んだ諸伏をちらりと覗った風見は、ばれないようにため息を吐いた。下手なことを言えば、諸伏から安室より連絡がつながりやすいからと現場に呼び出されるようになってしまうだろう。それはご免こうむりたい。
     だから、最近安室との労働契約書へ助手の文言が加わったことは、もうしばらく諸伏には黙っていようと風見は口をつぐんだ。
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