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    花子。

    @tyanposo_hanako
    絵や文を気分で楽しんでいます。

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    花子。

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    タイトルとは裏腹に暗め。完結まで書いてませんが一応ハピエンのつもりです。
    両片想いひよジュン♀に酒の間違いで子供が出来てしまいジュンちゃんが逃げる話。子どもも出ます、オリジナルで名前も付けてます。途中からただのプロットになります。何でも許せる人のみどうぞ。
    一年くらい前からちまちま書いてたんですけど、地の文をつける気力がなくて完成するか謎なので……

    ひだまり家族ジュンくん、こっちにおいで。
    家の集まりだか何だかで珍しく酒が入って酔っぱらったおひいさんがマンションを訪ねてきたかと思えば、やや不機嫌そうな声で私を呼ぶ。おいでって……ここ、私の部屋なんすけど。まぁこういう時は下手に逆らわないに限る。
    相当飲まされたのか、ちょっとフラフラしてる。ミネラルウォーターのペットボトルだけ持って大人しくついて行くと、そこは寝室で。
    ああ、眠いんすかねぇなんて……何の危機感も抱かずにおひいさんの後に続いてのこのこ入る。扉を閉めて振り向いた瞬間、力強く腕を引かれてベッドに引きずり込まれた。ベコッと投げ出されたペットボトルが床かどっかに当たってへこむ音がする。服の上から胸のふくらみを撫でられて、何をされようとしているのか察した私は慌てて腕を振り回す。
    「ちょ、おひいさ……、やめ……っ!」
    「どうして? ぼくと触れ合えて、嬉しいよね?」
    「……っ」
    動きを止めてしまったのは、図星だったから。
    おひいさんが好きだ。もうずっとずっと長い間、そういう意味で好き。
    だから一度だけ……間違いでもいいかって、そう思っちまったらさ……駄目だった。



    朝は少しだけ私の方が早く起きた。まだ薄暗い部屋の中、もしかしたらこの人の寝顔を見ることは今後無くなるかもしれない、そんな予感から静かに眠るおひいさんをじっと見ていた。
    やがて目覚めたおひいさんは、まるで『なんでジュンくんがぼくのベッドに?』とでも言いたげな表情でぱちぱちと瞬きをする。身動ぎをしたはずみで、私の腰に回っていた手がスルリと脇腹をくすぐった。まだ昨夜の感覚の名残が残る身体の奥がゾクリと疼く。
    流石に生肌の感触に違和感を覚えたのか、おひいさんはゆっくりと視線を落として、そんで、目を見開いて固まった。
    「おはようございます、おひいさん。……昨日のこと、覚えてます?」
    裸で、腕の中に私を抱きしめているこの状況。誰がどう見ても、ねぇ?
    おひいさんは勢いよく私ごと身を起こすと、そこらへんに散乱してる下着を身に付けることすら忘れて、珍しく私を気遣うように身体をシーツでくるんでくれた。
    「ご、ごめん……ごめんねジュンくん……覚えてる。全部覚えてるね……ぼく、きみに、酷いことを……」
    ベッドの上で青ざめて私に向かって謝罪を繰り返すおひいさんの異様さといったら。
    ……幸せな朝を迎えられないことはわかってた。夢の終わり。そんな言葉がピッタリだった。
    「そんな謝らないでください。逆に悲しくなるっつうか……だから、気に病まないでくださいよ。私は大丈夫ですから……」
    「大丈夫なはずないね。……今すぐお医者様に診てもらおう」
    「落ち着いてくださいよ、今何時だと思ってんすか。こんな早朝から病院なんて、」
    「巴のお抱え医師を呼ぶに決まってるね」
    「あぁ、そういう……。大丈夫っすよ、あんた酔っ払っててもそういうのちゃんとしてましたから。ほら、そこのゴミ箱」
    「……それでも駄目。万が一ってことがあるね。お願いだから……」
    「……わかった、わかりました。でもおひいさんちのお医者さんにかかるのは流石に気が引けるんで、日が登ったらちゃんとかかりつけに行きますよ」
    そこまで宣言してようやく少しは安心してくれたのか、おひいさんはため息をついて項垂れた。そのままなかなか動く気配が無いから、今度はこっちが心配する番だった。
    私と違っておひいさんは未だに産まれたまんまの姿でいる。このままだと風邪ひいちまう。
    「……ねぇ、冷えますよ。服着てください。それか、えっと……風呂沸かしてきましょうか。ちょっと待っててくださ……っ、てぇ……」
    ベッドから降りようと腰を捻った途端、あられもない場所に痛みが走って思わず表情が歪む。
    おひいさんがやんわりと私の腕をシーツ越しに掴んで引き戻すと、フルフルと首を横に振った。
    「……いい。そんなこと、今はしなくていいの」
    「……はい」
    「ぼくだから……そうやって献身的に命令を聞いてしまったの? 大人しく抱かれたって言うの? ううん、それだけじゃなくて、ぼくを受け入れるみたいにして抱きしめてくれたね……ぼく、そんなつもりできみを育てたわけじゃ……」
    ぱたぱたとベッドにおひいさんの涙が落ちる。
    この人がこんなに泣くんなら、一生言わないつもりだったけど、いいか。ちょっとでも罪悪感を減らせるのなら。
    ……よくよく考えれば、かえって逆効果だったんですけど。その時の私はやっぱり普通ではなくて、うまく判断ができていなかった。
    「……手、握ってもいいですか」
    「……うん」
    「……ごめんなさいおひいさん。私、あんたのことが好きなんです」
    「……え?」
    「酔った勢いでもなんでも、触れてもらえんのが嬉しいって思っちまって。私だってあんたをはっ倒すくらいできたけど、そうしませんでした。……ずるいことして、ごめんなさい」
    「……、」
    「……このことは、私とおひいさんだけの秘密にしましょ。お互い謝ったわけですし、今日からまた、いつも通りの私たちでいましょう。ね? 」
    おひいさんもそうするのがいいって思ったんだろう。まだ何か言いたそうにしてるのを堪えて、いつになく下手くそな笑顔でうんって頷いてくれた。
    だけど、そのいつも通りの私たちも長くは続かなかった。
    ……避妊具ってのは、100パーセント効果があるわけじゃない。緊急避妊薬だってそうだ。
    おひいさんの不安が敵中したことに気付いたのは、数ヶ月後、体調に変化が現れてからだった。



    運がいいのか悪いのか、夜のES内で一人でぶっ倒れていた私を発見したのは佐賀美陣だった。
    自分で検査した以来怖くて病院にはかかってないって言ったら、裏口入院……って感じっすかねぇ、あいつの実家の病院に押し込まれて、検査とか今後の説明とかをちゃんと受けさせてくれた。
    その時考えたのは、おひいさんやEdenへのとんでもない裏切り行為。
    奇跡的に授かった大事な人との子。私はこの子の命を諦めたくない、例え私が夢を諦めることになっても、この子を産みたいって思っちまったんだ。
    この子にいらない苦労をさせないために、絶対にメディアや世間に……おひいさんたちにも、誰にも知られちゃいけない。だけど私一人じゃ無理だってことはわかりきってて、誰かを頼るしかない。考えに考え抜いた末にこの秘密を打ち明けた。
    私の決断にも、もちろん思うところはあっただろうけど……でも実際にもう私の腹には既に命が宿っちまっていたもんだから、最終的に私と子どもの健康のために協力してくれた。
    そこから先はあっという間。佐賀美陣と、あとうちの親父までなんだかんだと裏で動いて手続きを済ませてくれた。そうして私はEveとEdenを脱退し、あれだけ人生を注いできたアイドルを引退。世間的には、私はオフの日に突然倒れて病院に運ばれて緊急入院、そこでの精密検査でひっかかって……って流れになってるみたいだ。まぁ、ほとんど事実だった。
    そんな形だったから、ファンのみんなやEdenのみんなに、おひいさんにお礼の言葉も言えなかった。それは、アイドル漣ジュンへの罰なんだと思う。こんだけ愛してもらったのに、何も返せないっていう罰。
    みんなから連絡がたくさん入っているのを見たけど、佐賀美陣たちが代わりに対応してくれたのかしばらく経てば落ち着いた……たった一人を除いて。
    スマホを解約するその日まで、おひいさんだけは毎日電話をかけてきた。メッセージも入れてくれてて、これまでは既読が付かないようにポップだけで文章を読んでいた。前に遊木さんに教わったチート技だ。
    『今どこにいるの』
    『佐賀美先生から倒れたって聞いたね、面会謝絶ってどういうこと? そんなに容態が悪いの』
    『ごめんね、不安になっちゃった。体調が落ち着いたら連絡して。まずはゆっくり休んでね』
    『既読も付けないなんて! 悪い日和!』
    『いつまでぼくを待たせるつもり? 早く良くなるといいね!』
    『スマホも見られないほど体調が悪いのかな、気付いたらスタンプでも何でもいいからお返事をしてほしいね』
    『ジュンくん、早く戻っておいで。待っているからね』
    『生きているよね?』
    全部、私の身を気遣ってくれてる内容だ。
    おひいさん、ごめん、ごめんなさい。何度電話をかけちまいそうになったかわからない。

    命と罪の重みを腕に抱いて、今日から私は母親になる。




    ※ここからただのプロットとセリフのストック※

    陽奈ちゃん(16)
    漣ジュン大好きっ子

    高校のダンス部でEdenのコピーやる(4人バージョン
    ダンス部やアイドル育成校に日和が飛び入りするテレビ番組に誰かが応募してた
    日和が来た途端、サプライズ企画だと察して怒りに表情を歪める
    目ざとく気付いた日和、新鮮な反応は一度しか取れない、撮影を止めないようにわざと自分に視線を誘導させる

    複雑なのでカットがかかった途端怒って飛び出してきちゃう

    まずはあの子とお話をしなきゃね


    ひなちゃん焦ってジュンに電話する
    ああ……あの番組の……
    ママ、どうしよう……あたしどうすればいい?
    テレビに写ったらママのことバレちゃうかもしれない
    落ち着いて。あの人のことだから撮影は続行させるはずです。ダンスのメンバー、ヒナも入ってるんでしょう? だったらヒナと話をしたがると思う。


    私のこと、おひいさんに話していいですよ
    やだ!だってずっと隠してきたのに……あたしのせいで!

    ヒナにはずっと我慢させちまってたから……文句の一つや二つ、言ったっていいんですよ
    ママに文句なんてひとつもない! みんなママのこと酷く言うに決まってるもん!
    それはさ、本当は私が受けなきゃいけなかった罰だと思うから
    何が起きても私は大丈夫

    じゃあヒナ、撮影の間だけ、笑顔で頑張れますか? そしたら、今日帰りに迎えに行くから一緒に何か食べに行きましょう
    ……っ、う、うん!


    電話が終わったタイミングを見計らって、ザクザクと近付いてくる足音があった。

    「こんにちは。隣に座ってもいい? いいよね? 座るね?」
    「GODDAMN。来ると思いましたよぉおひいさん」
    「わぁっ、それジュンくんの真似だね? 似てる似てる!最近はぼくのことをおひいさんって呼んでくれるファンも少ないからね〜、なんだかむず痒いね。ほら、大体はジュンくんのファンがジュンくんの真似して呼んでくれていた愛称だから」



    「送ってもらった動画を見たね。きみのジュンくんのコピー完璧だったね」
    (直伝だもん)
    ふふ、4人バージョンなんてね……こんな若者たちが知ってくれてるとは思わなかった。サプライズ先にこの高校を選んだのはね、4人バージョンを踊ってくれたのが嬉しかったからなんだよね
    ……知らない。あたしテレビになんか出たくない。番組に送るなんて知らなかったんだもん。あたしは……漣ジュンが好きで、ただ踊りたくて選んだのに
    あぁ、だから怒っちゃったんだね。普通、一緒に踊るメンバーには知らせるべきだと思うけれど……もしかしたら、きみへのサプライズも含まれていたのかもしれないね
    ……あたしに?
    ジュンくんのファンってことは、きっとEveやEdenのファンでもあるんでしょう? ぼくが来たらきみが喜ぶと思ってのことだったんじゃない?
    ……
    (自分のことばっかりで、気付かなかった。そうだよね、こんなこと、除け者にしようとして黙ってたんじゃないよね)

    なんか勘違いしてるみたいですけど、あたしが好きなのは漣ジュン。ジュンちゃんが大事にしてたからEdenも追ってはいるけど……漣ジュンのいないEdenなんてEdenじゃない。ジュンちゃんは世界一のアイドルなの
    ……
    世界で一番漣ジュンを好きなのはあたしです。髪型だって髪色だって現役時代のジュンちゃんの真似だし、目の色だってコンタクト入れて喋り方も頑張って寄せて……
    だからぼくのことをおひいさんって呼ぶの?
    ……それは、ママがそう呼んでるから、移っただけ
    そう、親子揃ってEdenのファンでいてくれて嬉しいね。きみのお母様は誰のファンなの?
    ……おひいさん
    わぁ!見る目があるねっ

    ママはずっとあんたのことが好きなのに、あんたはママのものにならないから嫌い
    うふふ、それはごめんね。でもぼくの愛はファンのみんなのものだから。
    きみは本当にお母さんのことが大好きなんだね。家族は大切にするといいね。

    ……あんたは、Edenは家族だって言いますよね
    うん?
    漣ジュンのことも家族だって思ってた?
    もちろん。もう一般人になってしまったけれど、今でも大事な家族だと思っているね


    ……漣ジュンが本当はどうしてアイドル辞めちゃったか知りたい?
    もしかしてネットか何かのゴシップ記事に踊らされてない? ジュンくんは体調を崩して引退した。世間に公表されている通りだね
    嘘。あんた本当は知らないんだよね。漣ジュンの倒れた原因。お別れの挨拶も出来てないの、あたし知ってるよ
    ふぅん?
    この撮影中止にしてくれるなら教えてあげてもいいよ

    うーん、それはとっても魅力的だけれど、できないね
    ……ジュンちゃんのこと、知りたくないの
    仕事をボイコットなんてしたら、それこそジュンくんに怒られちゃうからね!
    っ、
    スケジュール的に今から変更は無理だし、何よりこのぼくが仕事を失敗させるなんてありえないね!撮影はこのまま続ける。きみが抜けたら四人用のあの振付が成立しなくなっちゃうから、きみにも参加してほしいね

    ……嫌い。嫌い!大っ嫌い!!
    ジュンちゃんが引退したのはあんたのせいだ
    ジュンちゃんはあんたのことが大好きだから責めないだけ。あたしは、あんたのこと大っ嫌い!
    ジュンちゃんを置いてけぼりでアイドルしてるあんたらが嫌い!あたしやらないから!

    きみの大好きなジュンくんはね、どんなに嫌な仕事でも飲み込んで笑ってた
    ……
    この撮影の間だけ、作り笑いでもいいから笑っていてほしいね
    (ママと同じこと言う……

    ママからメッセージだ……見ていい?
    どうぞ
    『陽奈のことだからまだ駄々こねてるんでしょうけど。ちゃんとできたらカフェの後にカラオケも付けちゃいます』
    「……カラオケッ!?」
    「うんっ!?」

    (漣ジュンの生歌が聞ける……っ! )
    ……しょうがないなぁ。やってあげる!あたしとママに感謝してね!!
    なんだか急にご機嫌になったね……

    テレビに映るが嫌なんだっけ
    それならこういうのはどう?



    無事に撮影終える
    サインあげるね!ほらきみもおいでおいでおいで!

    ……私は別におひいさん好きじゃないけど。ママがファンだから貰ってあげる
    お名前は?
    ……陽奈。太陽の陽に、普通の奈。菜の花じゃ無い方
    陽奈ちゃんね。ねぇ、お母様の名前も教えて。連名にしてあげる
    ……
    どうしたの?
    教えないっ!これ以上あたしのママを取らないで!
    えぇ……っ?きみ、随分お母さんっ子なんだね……?
    あたしのママは世界一だもん
    世界一がたくさんいるんだねぇ……
    っ、そういうわけじゃないし

    お母様はぼくの魅力をいっぱい知ってると思うから、帰ったらたくさん話してもらうといいね!
    そんなのしょっちゅうだもん。ママが話し出すと、おひいさんおひいさんってそればっか。ママは世界一の巴日和ガチ恋勢だから
    私の陽奈って名前も、おひいさんのこと大好きなママが太陽の陽っていう字を入れたの。
    そう。それは光栄だね。
    なんか、姫って字と迷ったらしいんだけどね。まぁあたし姫って柄でもないし良かったと思うけど
    ……、
    おひいさん?
    日和は手を止めて陽奈を凝視している。
    ジュンの話題をチラつかせても飄々としていた日和が、初めて動揺を顔に表した。


    きみのママ……ジュンくん、なんだね?
    え……っ!?

    16年前突然姿を消した漣ジュンに異様な程の好意を抱く16歳の少女。「ひな」という名に纏わるエピソード。Edenの、日和のファンであるという母親の存在。その二人共を世界一と呼んだこと。
    陽奈がテレビに映りたくない理由。

    たったそれだけの情報から、日和は全てを推測し、真実にたどり着いてしまった。


    ち、ちが……
    大丈夫。大事にはしないね。そっか……じゃあ、ぼくはきみのパパってことだね。
    ……決めつけんの早くない? 違うかもしれないじゃん
    違うの?
    ……そうだって言ってたけど

    サイン色紙に電話番号とメッセージアプリのIDを書き加えた
    これ、ぼくの連絡先。気軽にパパに連絡してくるといいね!
    ……なんか、パパ活っぽくてヤダ
    なんてことを言うの!

    ただね、ぼくはジュンくんの今の連絡先を知らないんだよね
    お話がしたいって伝えてくれる?
    ……それもいやっ!

    難しいね〜



    (ママ大好きなヒナちゃ)
    ヒナ!
    ママっ、ちょっとオシャレしてる! 今日も可愛いね
    っはは、ありがとう。大丈夫でした? あの人に相当振り回されたんじゃ
    振り回されたけど、まぁ、楽しかったよ。……ごめんね、やっぱりママのことバレちゃった
    ……ん

    でも、私がテレビに映りたくないって言ったのちゃんと聞いてくれたよ。結局ねぇ、全員でEdenのコスプレしたの。それだったら誤魔化し効くかなって
    っははは、なんだそれ
    すごかったよ、本物の衣装着せてもらっちゃった。インタビューとか練習風景撮影してる間に用意したっぽくて。
    へぇ。どの衣装だろ……放送が楽しみですねぇ

    そうだ、これお土産。巴日和がサインくれるって言うから、ママの名前も入れてもらったよ
    ええ〜……あ、マジだ……電話番号まで書いてある……

    ねぇママ。今でも……パパのこと好き?
    ヒナ……(やっとパパって呼んでくれた

    大好きですよぉ


    時々学校に陽奈を誘いに来る日和
    高いご飯に連れてったり
    なかなかなびいてくれないヒナを、ジュンくんの現役時代オフショットで懐柔する

    どうしたらきみのお父さんになれるんだろうね
    娘への接し方なんてわからない

    ジュンくんに会わせてくれない?
    ……ママが取られちゃうから嫌
    きみは16年もジュンくんと一緒にいたじゃない。ぼくは16年ぶりだし……一緒にいられたのはその半分も無いね。
    ……自業自得!
    そうだね……


    ジュンが風邪ひく
    困ってパパを頼って電話する

    ……っ?
    殿下? もしやご家族からのお電話ですか?
    まぁ、うん。家族……といえばそう、かな
    珍しく歯切れが悪いですね……
    ちょっと出てくるね

    すすり泣きながらも不満げな声
    もしもし、どうしたの?
    ……パパ
    ……うん、なぁに、落ち着いて話してごらん
    助けて……ママが、具合悪くて……
    ……そう、わかったね。今から行くから住所をメッセージで送って。何か必要なものはある?ぼくが着くまで一人で看病できそう?
    うう〜〜っ!ずっと二人でやってきたんだ、馬鹿にするな!そうじゃなくて、ママが熱でうなされてあんたの名前を呼んでんだ!だからあんたに電話したの!それはあたしじゃ、どうしようも……な、から……っ、早く来いばかやろう〜〜〜っ!

    まったくもう、お口が悪いのはきっとジュンくんの影響だね

    ごめんね、ぼくちょっと急用ができちゃったから帰るね



    お家に飛んできてくれた日和

    ……ひい、さ……
    うん、ジュンくん。
    ……ほん、もの
    うんうん、きみのおひいさんだね
    ……すんませ……かぜなんか、
    まったくだね!この未熟者めっ!
    ……る、せー。わたし、もうガキじゃ……ねーっす……
    いいから寝なさい
    やだ……
    きみが起きるまでいてあげるから


    ……ねぇ巴日和
    わあ、仲良くしてるのみて嫉妬しちゃった?なんだか好感度が下がってる気がするけど、お名前を呼び捨てにするのは良くないね。
    お茶飲む?多分好きなの揃ってるよ
    こらっ!無視なんて悲しいね!でもお茶はいただこうかな……銘柄は何が、っ?

    ジュンが手を握って離さない
    ……持ってきてあげる

    お湯沸かしてる間にメイク落としてきた
    どちらかというと日和似
    びっくりしたね〜〜〜誰かと思っちゃった
    顔の印象くらいメイクでどうとでもなるし

    あたし実は天パなんだよね。でも縮毛かけて色も染めてさ、
    たまにあたしの顔見て寂しそうにするんだもん
    でも踊ってる時の自分がジュンちゃんに見えて楽しいよ

    ダンスはじめたのは、子どもの頃に巴日和の真似して踊るとママが喜んでくれたから。あの頃からさ、ママは普通にあんたのことをパパですよぉって教えてくれた。だから近くにはいないけど、なんか寂しくなかった。それにママは世界一最高だったしね

    ジュンちゃんの真似してるのは、ママのことが大好きで憧れてるから
    ステージに立ってるママをもっと見たかった。動画だけじゃなくてさ。
    ……うん

    きみはやっぱりぼくの子だね
    は?
    誰かの幸福のために自分自身を切り売りする、その対象は全てたった一人の母親だけど

    生々しい話だけれど。聞く?
    ……聞く
    きみのママと寝たのはたったの一回だね。
    ぼくね、高校生の頃からずっとジュンくんが好きでね。お仕事のことがあるから黙っていたんだけど、自分を失うくらい酔ってしまった日があって……普段はお酒は飲まないんだけれど……ううん、言い訳だね。
    きみももう少し大人になったら、お酒の場では気をつけなさい

    あの時ばかりはぼくが悪いのに、ジュンくんったら、ぼくのことが好きで嬉しかったから〜なんて言ってね。普段から……ジュンくんはぼくと違って素直に愛情表現をすることが珍しかったから、そういう時は本心だって信じられたのに、その日はジュンくんがぼくに気にやませないために嘘をついたんじゃないかって……うまく判別が付かなかったんだよね
    幸いぼくたちだけしか知らないわけだし、秘密にしようって決めたんだけれど。その数ヶ月後くらいだったかな。
    ジュンくんは……ぼくの知らないところで突然倒れて緊急入院、しかも面会謝絶。ぼくらは病院すら知らされず、その時にお世話になった先生からジュンくんがアイドルを辞める決意をしたことだけを聞いたね。

    その時だと思う。きみがおなかにいるってわかったから、きみの命と自分のアイドル人生を計りにかけて、きみを守ることを選んだ。

    それから……一度も連絡がつかない。ご両親にかけてみても、ジュンくんのことは教えてもらえなかった。
    ずっと……生きているのかすらわからなくて……
    16年だよ?

    今日、泊まっていってもいい?この子の傍にいさせてほしいね

    でもうち、予備の布団とか無いよ。風邪、移るよ……
    マスクをしているから平気だね



    熱下がった、ヒナが部屋に様子見に来る
    ママ、おはよう。大丈夫?
    あー、まだちょっとボーッとするけど……
    なんか、夢見てた気ぃするのに思い出せないんですよ。まぁ風邪の時に見る夢なんてろくでもないもんでしょうからいっか……
    ……おひいさんの夢?
    あぁ〜、そうでした。もしかして寝言か何か言ってました?

    つうかヒナ、風邪移るからおばあちゃんたちの家行けって言ったでしょ
    だって一人にするわけにいかないもん

    部屋に近付いてくるもうひとつの足音。
    母でも呼んでくれたのだろうかと振り向いて驚愕する

    ……おはよう。お邪魔しているね
    ……は、
    マ、ママ、ごめんね……ずっとうなされておひいさんのこと呼んでたから、その……呼んじゃった

    どこからが夢だ?
    優しい手つきで撫でてくれたのは。
    ずっと手を握っていてくれたのは


    ……あんたが看病してくれたの、夢じゃ、なかったんすね……お久しぶりです、おひいさん。すんません、こんな格好で……
    うん、久しぶりだね。具合はどう?
    ……だいぶ良いです。来てもらってありがとうございます
    パパ助けてっ、なんて娘に言われちゃったらね。
    言余計なこと言うな巴日和!
    はは……呼び捨ては駄目ですよぉヒナ。でも、仲良くなったみたいでなによりです

    なんか、昔の私と佐賀美陣ってこうやって見えてたんでしょうね……

    あのときの子供です。黙って産んじまってすみません。でも、おひいさんとの子ですもん。どうしても産みたくて

    教えてくれなかったのが大問題なだけでね!

    で、どうする?ぼくは今からでもきみの夫に、この子の父親になりたいと思っているけれど。




    後日談書きたい

    一目惚れだったくせに。それからずーっとママ一筋なんだもんね
    あ〜! あ〜! バラしちゃ駄目っ!
    ……へ?

    それから、時折日和も交えて食事などするようになった
    ジュンくんのためにぼくと仲良くしようとしてくれているでしょう
    上っ面だけなんて悲しいね

    日和にべたつかれるジュン
    ヒナ〜〜見てないで助けてくださいよぉ〜
    ……うーん、ママを助けたいのは山々なんだけど、正直、巴日和といる時のママが可愛すぎてこのまま見てたい
    はぁ〜!?
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    Replies from the creator

    花子。

    MEMOひよジュンゲームブックの余談というか、書いた感想です。
    そんなに大した話ではないですが、こんなこと意識した〜とか、ここ気に入ってる〜とか、インスピレーション元の別作品や国などちょっとした話をまとめました。ふーんと思って頂ければ幸いです。
    とても読みづらいです。
    ゲームブック余談番号で書き進めています、行ったり戻ったりが激しいです
    ルート分岐図かpixivを見ながらでないと何言ってるかわからない不親切仕様です、すみません


    ・ゲームブックにした理由
    最初はゲームブックじゃなくて普通に一本道の、色んな国から国へ逃げていく話を書いてたのですが……けっこういろんな話を思いついて
    私どちらかというと、二人がなんらかの関係に至るまで、付き合うまでの過程が主食でして
    だからいろんな逃げるパターンを書くのが楽しくて筆が乗ってきたら、いろんな再会のパターンができてしまった
    再会って一回がいいじゃないですか。ひとつの物語の中では。また逃げて再会して〜を繰り返してもいいけど……
    あと、再会させたいという気持ちと、二度と会えなくてもお話として美味しいな……の気持ちがぶつかり、それも両立はできないので、じゃあいっそ分岐にするか!と
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    花子。

    MOURNINGタイトルとは裏腹に暗め。完結まで書いてませんが一応ハピエンのつもりです。
    両片想いひよジュン♀に酒の間違いで子供が出来てしまいジュンちゃんが逃げる話。子どもも出ます、オリジナルで名前も付けてます。途中からただのプロットになります。何でも許せる人のみどうぞ。
    一年くらい前からちまちま書いてたんですけど、地の文をつける気力がなくて完成するか謎なので……
    ひだまり家族ジュンくん、こっちにおいで。
    家の集まりだか何だかで珍しく酒が入って酔っぱらったおひいさんがマンションを訪ねてきたかと思えば、やや不機嫌そうな声で私を呼ぶ。おいでって……ここ、私の部屋なんすけど。まぁこういう時は下手に逆らわないに限る。
    相当飲まされたのか、ちょっとフラフラしてる。ミネラルウォーターのペットボトルだけ持って大人しくついて行くと、そこは寝室で。
    ああ、眠いんすかねぇなんて……何の危機感も抱かずにおひいさんの後に続いてのこのこ入る。扉を閉めて振り向いた瞬間、力強く腕を引かれてベッドに引きずり込まれた。ベコッと投げ出されたペットボトルが床かどっかに当たってへこむ音がする。服の上から胸のふくらみを撫でられて、何をされようとしているのか察した私は慌てて腕を振り回す。
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