「信念に沿っての選択であれば、それに従うだけですが……」 久々の苦境だった。
新たに出陣許可が下りたエリアは精鋭部隊で進んでも数振りの重傷者が出ている。刀装もほとんど剥がされ、資材の在庫確認から見直す必要がありそうだった。
「きっついなー、青野原」
軽い口調で零しながら、加州は目をぎらつかせている。
「でも、あと少しって感じ」
「無理は禁物だ。半数が重傷ではな」
「分かってるって。長谷部に諭されるとはね。……堀川の腕が見つかり次第、引き上げる?」
「そうだな。一応主に連絡を取る」
目の前には加州と言葉を交わす前からずっと『進軍せよ』という電子メッセージが浮かんでチカチカと光っている。長谷部は部隊に背を向け、慣れた手順で本丸へと繋いだ。
「はい、何?」
平素と変わらない、低く落ち着いた声だ。周りに敵の気配がないとはいえ、本丸で聞くのと変わらない声に心が安らいだ。しかし、
1905