Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    いなばリチウム

    @inaba_hondego

    小説メイン
    刀:主へし、主刀、刀さに♂
    mhyk:フィガ晶♂
    文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋
    文スト:織太

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 45

    いなばリチウム

    ☆quiet follow

    情けない攻めはかわいいねお題ガチャ
    https://odaibako.net/gacha/1462?share=tw
    これで出たお題ガチャは全部!微妙に消化しきれてない部分もあるけどお付き合いいただきありがとうございました!

    #主へし
    master

    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ④・長谷部にハイキックで倒されるモブを見て自分も蹴られたくなる審神者
    ・暴漢に襲われかけた審神者と、その暴漢を正当防衛の範囲内で捻りあげ社会的死に追い込み審神者を救出する強くて怖い長谷部。


    【報道】
     
     政府施設内コンビニエンスストアで強盗 男を逮捕

     ×日、政府施設内コンビニエンスストアで店員に刃物を突き付け、現金を奪おうとしたとして無職の男が逮捕された。
     男は、施設に出入りを許可された運送会社の制服をネットオークションで購入し、施設内に侵入したと思われる。運送会社の管理の杜撰さ、政府施設のセキュリティの甘さが浮き彫りになった形だ。
     店内にはアルバイトの女性店員と審神者職男性がおり、この男性が容疑者を取り押さえたという。女性店員に怪我はなかった。この勇敢な男性は本誌の取材に対し「自分は何もしていない」「店員に怪我がなくてよかった」と答えた。なお、容疑者は取り押さえられた際に軽傷を負ったが、命に別状はないという―――



    【容疑者】



     何が起きたか、分からなかった。

     うまくいっていたはずだ。俺は幸運だった。運送会社で働いている友人が酔った勢いであの施設のセキュリティについて漏らしたことも、友人が酔うと記憶をなくすタイプだったことも、オークションでその運送会社の制服が簡単に手に入ったことも。車両チェックしかされないという業者用の出入り口から侵入した時はさすがに緊張したが、すれ違う人間に軽く会釈する余裕はあった。本当に誰も咎めないのでいっそ愉快になった。制服の効力は偉大だ。出入り口から一番近いコンビニエンスストアに押し入ると、手にした刃物を見て、レジにいた店員は軽い悲鳴をあげ、怯えと混乱の混じった眼で俺を見た。小柄で、若い女だった。抵抗されたとしても然程計画に影響しないだろう。益々幸運だった。刃物を突き出すと面白いくらいに後ずさった。だが、そこまでだった。店内にはもう一人、客がいた。男だ。それほど大柄ではなく、体格もよさそうには見えない。高そうな着物を着ていて、苦労なんて知らなさそうな、間抜け面だ。すぐに分かった。審神者だ。審神者というやつは、選ばれた人間なのだそうだ。そして俺は、選ばれなかった人間だった。刃物を、そいつに向けた。金を稼ぐために苦労して、こんなことでもしなければ大金を得ることもできない俺とは違い、そいつは、汗も流さず、苦労もせず、刀剣男士というやつを戦場に送るだけで衣食住を約束された身分なのだ。俺とは違って。俺とは違って!
     元々、誰も殺すつもりはなかった。金を奪い、店にある段ボールに入れて出ていくつもりだった。はたからみれば荷物を回収に来た運送会社の人間だ。後で強盗事件が発覚したとしても、運送会社が特定されるだけだ。しかし、こともあろうに説教らしきものを始めた男に腹が立った。俺だって選ばれていれば、こんなことはせずに済んだ。俺が激昂すればするほど落ち着いた声で話すのが気に入らなかった。何が「君の為に言っている」だ。お前みたいな恵まれた人間が、何を上から目線で。ふざけるな! 刃物を振り上げた。
     その時、背後で自動ドアが開く音がした。しまった、と振り返って、しかしそこには誰もいない。ドアが電子音を立てながら閉まる。誤作動か、と首を傾げて、

     記憶はそこで途切れている。

     気付いたら、真っ白な天井が視界にあった。横たわっている。ここはどこだ、と起き上がろうとして、悲鳴をあげた。首が固定されている。だれか、と口を開こうとしたが、激痛が走った。呻いていると、バタバタと足音がして、白衣の男が俺の顔を覗きこんだ。何かしゃべっているが、くぐもって不明瞭だ。ようやく聞き取れたのは、「君は幸運だ」という一言だ。なにを言っているか、よく分からなかった。


    【店員】

     後悔した。

     通学定期圏内。夜勤なし。でも時給は高め。しかも政府施設の中にあるので普通のコンビニよりもなんだかかっこいい。態度の悪いお客さんもたまにいたけれど、繁華街のコンビニで働いていた頃に比べれば頻度はずっと低かった。だから競争率も結構高くて、落ちたら落ちたで仕方ないかなと思っていたのに、面接の翌日にはすぐ採用に連絡が来て、ラッキー、と思った。志望動機やシフトにどれくらい入れるか、という質問の他に、変わった視力検査もあったけど、あまり気にならなかった。
     店長も先輩たちも親切で、卒業まで何事もなく働けそうだったのに、まさか自分がシフトの時に強盗に入られるなんて。

     お昼を少し過ぎた時間で、お客さんは一人しかいなかった。暇だなあ、と少しぼんやりしていたタイミングで自動ドアと、来店を知らせる電信音が流れたので、そっちを見た。運送会社の人だった。帽子を深くかぶっていたけど、いつも来る人じゃなくて、珍しいな、とは思った。
    「お疲れ様で、ヒッ!」
     いつものように声をかけようとしてたけれど、途中で掠れた悲鳴が出た。カウンターに手をついたその人は、ポケットから出した刃物を私に向けていた。
    「静かにしろっ 騒ぐな!」
     こくこくと頷きながらも、向けられた刃物が恐ろしく尖っているのが分かって、思わず後ずさった。動くな! とまた怒鳴られる。
    「金出せ! ―――お前も、動くな!」
     たまに見る刑事ドラマのワンシーンみたい、とちらりと思ったけれど、そんなのんきな思考は飛んでいった。強盗は私と、飲料コーナーの近くにいたお客さんにも交互に刃物を向ける。体が震えた。私だけじゃない、とほっとしたけど、私がちゃんとしないと、お客さんが刺されちゃう、と怖くなった。こんなのマニュアルにない。教えてもらってない。でも、強盗を刺激しないで、レジからお金を出して渡してしまえば、

    「あの」

     視界の端で、無抵抗のポーズをとっていたお客さんが声をあげた。 
    「やめた方がいいですよ」
    「あ?」
     その声はあまりにも落ち着いていて、半泣きの私に突き付けられていた刃物は、そのままそっちに向けられる。それでもなお、彼の態度は変わらなかった。
    「コンビニ強盗? ですよね?」
     ですよね? じゃないでしょう! 刃物が逸らされて少しほっとしたものの、レジカウンターを挟んでいる私より、強盗とお客さんの距離の方が近くて、今にも刺されてしまいそうだ。心臓がバクバクして、見ていられなくなる。実際、強盗は彼の態度に神経を逆撫でされたようで、声を荒げた。それでも男の人は変わらず落ち着いた、むしろ不自然すぎる程穏やかな声で「今ならまだ間に合いますから」とか「貴方の為に言っています」だとか説得を試みているようだった。途中、目が合った気がする。何度か見かけたことがある、審神者のお客さんだ。いつもは傍に護衛の男の人がいるから気付かなかった。今日はどうして一人なんだろう。彼は、目が合うと微かに笑った。大丈夫だよ、と言っているようだった。すぐ、言葉の意味が分かった。強盗の注意が男の人に逸れていて、入口に完全に背中を向けている。自動ドアが開いて、誰か入ってきたのに、強盗の反応は鈍かった。音に反応して振り返ったけれど、ぼうっとして、目の前に人がいるのに、まるで気付いていないみたいだった。手が振り上げられ、強盗の手首に叩きつけられる。強盗の手から刃物が落ちて、お客さんは、はっとしたように叫んだ。
    「長谷部! 抜刀禁止!」
     声と、刃物を叩き落とした男の人が一歩下がるのは同時だった。
    「え、あ?」
     そして、強盗が動揺したように刃物を拾おうと身を屈めた途端―――

    【審神者】

     長谷部の膝が、綺麗に強盗の顎に入った。
     あー、やっちゃった、と思ったけど、懐から端末を取り出しつつ、レジに近付く。ぽかんとしている店員さんの前で、長谷部のすらりとした足が上がり、瞬きした次の瞬間には強盗が視界から消えていた。かっこいい。あ、いやいやそんなこと思ってる場合じゃなくて。
    「大丈夫?」
     レジカウンターに近付くと、店員ははっとした顔で、俺と、長谷部と、それから吹っ飛んでいった強盗を見て、また俺に視線を戻した。
    「は、はい……あ、通報、」
    「俺の端末からしといた。すぐに職員が来ると思う」
    「あ、りがとう、ございます……はぁああ……」
     学生だろうか。若い店員は、へなへなと床に崩れ落ちると、心底安心したという風に息をつく。良かった。俺も、ほっと安堵の溜息をついた。緊張が解けて、腰から力が抜けていく気がする。正直、めちゃくちゃ怖かった。刃物は見慣れているとは言え、自分に向けられたものと、普段見ている刃は全然違うものだ。それでも咄嗟に強盗の注意を自分に逸らしたのは――
    「っあるじ!」
    「わっ」
     崩れ落ちそうだった体を強く掴まれて、びっくりして飛び上がった。文字通り、ちょっと浮いた気がする。
    「は、長谷部、よかったあ」
    「それはこちらの台詞です……! 荷物持ちなら俺がしますと言ったじゃないですか」
    「だ、だって、ちょっと寄るだけのつもりだったし……」
     言い訳が口をついて出るが、眉尻を下げて心配そうな、少し泣きそうな長谷部を見たらもうそれ以上何も言えなかった。
    「……主を見つけた時、どれだけ肝が冷えたか……」
    「……」
     演練帰りだった。演練が終わり、刀剣男士同士で少し話しているようだったので、すぐ近くにあるコンビニをちょっと覗いてみようかな、と思っただけだった。いつもなら長谷部がついてきてくれるけど、すぐそこだし、わざわざ声をかける程でもないし、まさか政府施設の中で強盗に遭うなんて当然想像するはずもない。しかもすぐ傍には一般人もいて、若い子だな、学生かな、可哀想に――と思いながらも、自動ドア越し、真っ青になった長谷部と目が合ったので、それでもう、俺は安心してしまったのだ。幸い、強盗の方も完全に一般人だったようで、長谷部の姿すら見えていなかったようだったから制圧は容易だっただろう。――あ、
    「こ、殺してないよね?」
    「もちろん。刀は抜いていません」
     微妙に答えになっていないような。恐る恐る長谷部の肩越しに向こうを見てみると、飲料棚のあたりで仰向けに転がっているのが分かった。呼吸はしているようだし、まあ、正当防衛、だよな……?
    「主」
    「ん、」
     血で染まり、斑になった手袋が、床に落ちた。顔を掴まれて、じっと顔を覗きこまれる。
    「……お怪我は、ありませんね?」
    「うん」
     俺は頷いて、言いそびれた言葉を、口にする。
    「……ありがとう、長谷部。ごめん、心配かけて」
    「いえ、いいんです。主が無事なら、もう、それで……」
     そうっと背中に回った腕は僅かに震えている。その背を撫でてやりながら、俺は長谷部の華麗なハイキックだとか、吹っ飛んでいった強盗に追い打ちをかけるように拳を振り上げた後ろ姿だとかを思い出していた。俺の恋人は、つよくてこわくて、かっこいいなあ、なんて、ちょっと口には出せない雰囲気だった。


    終わり

    *蛇足*
    強盗はガチ一般人。刀剣男士が見えない。(という設定)
    店員は見えてる。(そもそも見えないと雇われない。施設内の職員はアルバイトも含め刀剣男士が見えるかどうかの視力チェックがある)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👍👏👏👏👍👍👍👍👍🇱🇴🇻🇪❤💕👍💘💘💘💞☺👍👏🙏🙏❤❤🇱🇴🇻🇪💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり3
    がっつり主清初夜 多分初夜
    主清初夜R18***


    「ん、んぅ、ん……っ!」
     俺がしたのとは違う、唇を合わせるだけじゃなくて、舌がねじこまれて、絡み合って、吸われる、そんな口づけだった。舌先を吸われる度、じゅる、くちゅ、といやらしい音が頭の中に直接響いて、ぼぅっとしてしまう。それだけでもういっぱいいっぱいなのに、主の手が俺の耳朶を撫でて、くにくにと触るものだから、そんなつもりないのに腰が浮いてしまう。
    「っあ、ん……やだ、それ……っ」
    「ふふ、耳よわいんだね」
     口づけの合間に、主が声を立てて笑う。顔が離れたと思ったら、今度は耳に舌がぬるりと這わされて、ぞくぞくした。
    「ひぁ……っ」
     耳の穴に舌を入れられて、舐られる。舌と唾液の音が直接聞こえてきて、舐められていない方の耳も指でいじられるからたまったもんじゃない。ぐちゅぐちゅ聞こえる音が俺の頭の中を搔き乱す。ついさっきまで俺が主を組み敷いていたのに、今はもう完全に逆転していた。暴れそうになる足は主が太股の間に体を押し込んできてもう動かせない。膝頭が足の間に入り込んできて、ぐりぐりと押される。
    3855

    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり2
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
    答え合わせ さにみかになるまでと主清のはじまり だってさあ……悩みがあるのか、って聞かれて、実は欲求不満で、とか言えないでしょ、自分の刀に。完全にセクハラだもんな。
    「よっきゅうふまん……?」
     俺の体を跨ぐ形で覆い被さっている清光は、俺の言葉を繰り返して、ぱち、ぱち、と瞬きをした。かわいい。きょとんとしている。
     俺は簡単に説明した。清光に何度も心配されて、まずいな、とは思っていたこと。目を見たら本音を吐きそうで、ふたりきりになるのを避けていたこと。鏡を見れば、自分が思っている以上に陰鬱な顔をしていて、けれど解決策がないまま数ヶ月を過ごしていたこと。審神者になる前は恋人みたいなセフレみたいな存在が常に3~6人はいたんだけど全員にフラれて、まあなんとかなるっしょ、と思ったものの自分が思っていた以上になんともならないくらい、人肌が恋しくなってしまったこと。刀達のことはうっかり口説きそうになるくらい好きなこと。でも臣下に、それもかみさまに手を出すのはさすがにセクハラだし不敬っぽくない? まずくない? と思っていたこと。
    2337

    いなばリチウム

    DOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり1.5
    さにみか要素がほんの少しある主清です。
    一個前の答え合わせだけど審神者メインで他の本丸の審神者との交流とかなので読み飛ばしてもいいやつです
    答え合わせ 審神者くわしくサイド 一応ね、俺も、俺がちょっとおかしいってことは分かってるんだけどね。おかしい、って分かった上で、今、ここにいる。

     審神者になる前、俺は常に最低3人、多くて6人、恋人ないしセフレがいた。
     昔から、俺はどうにも”重い”らしく、恋人が出来ても大体一ヶ月くらいでフラれるばかりだった。俺は毎日好きって言いたいし毎日キスしたいし毎日くっついていたいし毎日好きな子を抱きたいのに、それがだめらしい。体目当てみたいでいやだ、と言われたので、昼間のデートもみっちりプランを立てて楽しく過ごしてみたものの、大学に通いながらデートしてその上で夜は夜でセックスするの体力やばすぎるむり、って言われてフラれる。メンヘラも俺と付き合うと根負けするレベル、って大学の頃噂されたっけ……。非常に遺憾だった。なんでだ。幸い、縁があってフラれてもまた別の子と付き合えることが多かったけど、そんなことが続いたので遊び人と認定されちゃうし……。
    3828

    related works

    いなばリチウム

    MOURNING六年近く前(メモを見る限りだと2016年4月)に利き主へし小説企画で「初夜」をテーマに書いた話です。他にもいくつか初夜ネタを書いてたのでまとめてpixivに載せるつもりだったんですけど全然書ききれないので一旦ここに載せておきます!
    当時いつも書いてた主へしの作風とすこし雰囲気変えたので楽しかったし、性癖の一つでもあったので今読んでも好きな話です。
    CPではない二人の話です。長谷部が可哀想かも。
    夜な夜な(主へし R18) その日は朝から体がだるかった。
     目を覚ますと、頭は内側から叩かれているように錯覚するぐらい痛み、窓から差し込む朝日や鳥の囀りがひどく耳障りで、長谷部はそう感じてしまう思考と体の不調にただただ戸惑った。しかし、昨日はいつも通り出陣したはずだったし、今日もそれは変わりない。死ななければどうということはないが、あまりひどければ出陣に、ひいては主の戦績に支障が出る。長引くようであれば手入れ部屋へ入ることも検討しなければ、と考える。
     着替えてからだるい体を引きずって部屋を出ると、「長谷部、」と今まさに長谷部の部屋の戸に手を掛けようとしたらしく、手を中途半端に宙に浮かせて困ったように佇んでいる審神者がいた。無意識に背筋が伸びる。
    6533

    いなばリチウム

    DONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャ
    https://odaibako.net/gacha/1462?share=tw
    これで出たお題ガチャは全部!微妙に消化しきれてない部分もあるけどお付き合いいただきありがとうございました!
    情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ④・長谷部にハイキックで倒されるモブを見て自分も蹴られたくなる審神者
    ・暴漢に襲われかけた審神者と、その暴漢を正当防衛の範囲内で捻りあげ社会的死に追い込み審神者を救出する強くて怖い長谷部。


    【報道】
     
     政府施設内コンビニエンスストアで強盗 男を逮捕

     ×日、政府施設内コンビニエンスストアで店員に刃物を突き付け、現金を奪おうとしたとして無職の男が逮捕された。
     男は、施設に出入りを許可された運送会社の制服をネットオークションで購入し、施設内に侵入したと思われる。運送会社の管理の杜撰さ、政府施設のセキュリティの甘さが浮き彫りになった形だ。
     店内にはアルバイトの女性店員と審神者職男性がおり、この男性が容疑者を取り押さえたという。女性店員に怪我はなかった。この勇敢な男性は本誌の取材に対し「自分は何もしていない」「店員に怪我がなくてよかった」と答えた。なお、容疑者は取り押さえられた際に軽傷を負ったが、命に別状はないという―――
    4579

    recommended works

    Norskskogkatta

    PAST主麿(男審神者×清麿)
    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀

    今まで審神者の分は買ってなかったのに唐突に自分の時だけ買ってきて見せつけてくる主におこな清麿
    「ほらこれ、清麿のうさぎな」
    「買ったんだね」
    主に渡されたのは最近売り出されているという僕ら刀剣男士をモチーフにしたうさぎのぬいぐるみだ。面白がって新しい物が出るたびに本刃に買い与えているこの主はそろそろ博多藤四郎あたりからお小言を食らうと思う。
    今回は僕の番みたいで手渡された薄紫色の、光の当たり具合で白色に見える毛皮のうさぎに一度だけ視線を落としてから主の机の上にあるもうひとつの僕を模したうさぎを見やった。
    「そちらは? 水心子にかな」
    「ほんと水心子のこと好きな」
    机に頬杖を突きながらやれやれと言った感じで言う主に首をかしげる。時折本丸内で仲のよい男士同士に互いの物を送っていたからてっきりそうだと思ったのに。
    「でも残念、これは俺の」
    では何故、という疑問はこの一言ですぐに解消された。けれどもそれは僕の動きを一瞬で止めさせるものだった。
    いつも心がけている笑顔から頬を動かすことができない。ぴしりと固まった僕の反応にほほうと妙に感心する主にほんの少しだけ苛立ちが生まれた。
    「お前でもそんな顔すんのね」
    いいもん見たわーと言いながらうさぎを持ち上げ抱く主に今度こそ表情が抜け落ちるのが 506

    Norskskogkatta

    PAST主くり
    リクエスト企画で書いたもの
    ちいさい主に気に入られてなんだかんだいいながら面倒を見てたら、成長後押せ押せでくる主にたじたじになる大倶利伽羅
    とたとたとた、と軽い足音に微睡んでいた意識が浮上する。これから来るであろう小さな嵐を思って知らずため息が出た。
    枕がわりにしていた座布団から頭を持ち上げたのと勢いよく部屋の障子が開け放たれたのはほぼ同時で逃げ遅れたと悟ったときには腹部に衝撃が加わっていた。
    「から! りゅうみせて!」
    腹に乗り上げながらまあるい瞳を輝かせる男の子どもがこの本丸の審神者だ。
    「まず降りろ」
    「はーい」
    咎めるように低い声を出しても軽く調子で返事が返ってきた。
    狛犬のように行儀よく座った審神者に耳と尻尾の幻覚を見ながら身体を起こす。
    「勉強は終わったのか」
    「おわった! くにがからのところ行っていいっていった!」
    くにと言うのは初期刀の山姥切で、主の教育もしている。午前中は勉強の時間で午後からが審神者の仕事をするというのがこの本丸のあり方だった。
    この本丸に顕現してから何故だか懐かれ、暇があれば雛のように後を追われ、馴れ合うつもりはないと突き離してもうん!と元気よく返事をするだけでどこまでもついて来る。
    最初は隠れたりもしてみたが短刀かと言いたくなるほどの偵察であっさり見つかるのでただの徒労だった。
    大人し 1811

    Norskskogkatta

    PASTさにちょも

    審神者の疲労具合を察知して膝枕してくれるちょもさん
    飄々としてい人を食ったような言動をする。この本丸の審神者は言ってしまえば善人とは言えない性格だった。
    「小鳥、少しいいか」
    「なに」
     端末から目を離さず返事をする審神者に仕方が無いと肩をすくめ、山鳥毛は強硬手段に出ることにした。
    「うお!?」
     抱き寄せ、畳の上に投げ出した太股の上に審神者の頭をのせる。ポカリと口を開けて間抜け面をさらす様に珍しさを感じ、少しの優越感に浸る。
    「顔色が悪い。少し休んだ方がいいと思うぞ」
    「……今まで誰にも気づかれなかったんだが」
     そうだろうなと知らずうちにため息が出た。
     山鳥毛がこの本丸にやってくるまで近侍は持ち回りでこなし、新入りが来れば教育期間として一定期間近侍を務める。だからこそほとんどのものが端末の取り扱いなどに不自由はしていないのだが、そのかわりに審神者の体調の変化に気づけるものは少ない。
    「長く見ていれば小鳥の疲労具合なども見抜けるようにはなるさ」 
     サングラスを外しささやくと、観念したように長く息を吐き出した審神者がぐりぐりと後頭部を太股に押しつける。こそばゆい思いをしながらも動かずに観察すると、審神者の眉間に皺が寄っている。
    「や 1357

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    軽装に騒ぐ主を黙らせる大倶利伽羅

    軽装に騒いだのは私です。
    「これで満足か」
     はあ、とくそでかいため息をつきながらもこちらに軽装を着て見せてくれた大倶利伽羅にぶんぶんと首を縦に振る。
     大倶利伽羅の周りをぐるぐる回りながら上から下まで眺め回す。
    「鬱陶しい」
    「んぎゃ!だからって顔つかむなよ!」
     アイアンクローで動きを止められておとなしく正面に立つ。
     ぐるぐる回ってるときに気づいたが角度によって模様が浮き出たり無くなったりしていてさりげないおしゃれとはこういうものなんだろうか。
     普段出さない足も想像よりごつごつしていて男くささがでている。
     あのほっそい腰はどこに行ったのかと思うほど完璧に着こなしていて拝むしかない。
    「ねえ拝んでいい?」
    「……医者が必要か」
     わりと辛辣なことを言われた。けちーと言いながら少し長めに思える左腕の袖をつかむとそこには柄がなかった。
    「あれ、こっちだけ無地なの?」
    「あぁ、それは」
     大倶利伽羅の左腕が持ち上がって頬に素手が触れる。一歩詰められてゼロ距離になる。肘がさがって、袖が落ちて、するりと竜がのぞいた。
    「ここにいるからな」
     ひえ、と口からもれた。至近距離でさらりと流し目を食らったらそらもう冗談で 738

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    伊達組にほのぼのと見守られながらのおやつタイム
    伊達組とおやつ


     ずんだにおはぎに色とりどりのフルーツがのったタルト、そして一等涼しげな夏蜜柑の寒天がちゃぶ台を賑わせる。
     今日は伊達の四振りにおよばれしてのおやつタイムとなった。
     燭台切特製のずんだに意外とグルメな鶴丸の選んできた人気店のおはぎ、太鼓鐘の飾りのようにきらきらと光を反射するフルーツののったタルトはどれも疲れた身体に染みるほどおいしいものだった。
     もっと言えば刀剣男士達とこうしてゆっくり話ができるのが何よりの休息に思う。
     本丸内での面白エピソードや新しく育て始めた野菜のこと、馬で遠乗りに出かけたこと、新入りが誰それと仲良くなったことなど部屋にこもることが多い分、彼らが話してくれる話題はどれも新鮮で興味が尽きない。
     うん、うんと相槌を打ちながら、時折質問をして会話を楽しんでいると、燭台切がそういえばと脈絡無くきりだした。
    「主くんって伽羅ちゃんに甘いよね」
     それぞれもってきてくれたものに舌鼓をうって、寒天に手を着ける前にお茶を口に含んだ瞬間、唐突に投げられた豪速球にあやうく吹きかけた。さっきまで次の出陣先ではなんて少し真面目な話になりかけていただけに衝撃がす 2548

    Norskskogkatta

    MOURNING主くり
    徹夜してたら大倶利伽羅が部屋にきた話
    眠気覚ましの生姜葛湯


     徹夜続きでそろそろ眠気覚ましにコーヒーでもいれるかと伸びをしたのと開くはずのない障子が空いたのは同時だった。
    「まだ起きていたのか」
     こんな夜更けに現れたのは呆れたような、怒ったような顔の大倶利伽羅だった。
    「あー、はは……なんで起きてるってわかったんだ」
    「灯りが付いていれば誰だってわかる」
     我が物顔ですたすた入ってきた暗がりに紛れがちな手に湯呑みが乗った盆がある。
    「終わったのか」
    「いやまだ。飲み物でも淹れようかなって」
    「またこーひー、とか言うやつか」
     どうにも刀剣男士には馴染みがなくて受け入れられていないのか、飲もうとすると止められることが多い。
     それもこれも仕事が忙しい時や徹夜をするときに飲むのが多くなるからなのだが審神者は気づかない。
    「あれは胃が荒れるんだろ、これにしておけ」
     湯呑みを審神者の前に置いた。ほわほわと立ち上る湯気に混じってほのかな甘味とじんとする香りがする。
    「これなんだ?」
    「生姜の葛湯だ」
     これまた身体が温まりそうだ、と一口飲むとびりりとした辛味が舌をさした。
    「うお、辛い」
    「眠気覚ましだからな」
     しれっと言 764