Addiction「檀、come」
蜜色の瞳が愉しそうに細められる。
檀が本能に従って、ペタペタと這って太宰の前まで移動する。
見上げる檀に、太宰は唇を弓なりにした。
この命令が出されたのは二回目だ。
最初は躊躇いもあったが、Prayを進めていけばすぐに耽ってAfter careからSub spaceまで一通りをこなしてしまった。
一回してしまえば、まるきりしまりがなくなった。
太宰と檀は「遊び」の了解を済ませて、待ちわびた次の夜が今だった。
太宰が含み笑う。
「動くなよ」
命令の響きがあったので、檀は大人しく動きを止めると太宰の両腕が顔の横へと伸びてきた。
耳に触れ、イヤーカフと共に動かされる。外そうとしているらしい。
(ドムの世話焼きが発揮されているんだろう)
少しむず痒さとそれを大きく上回る喜びに、檀の金色の瞳が蕩ける。
「檀」
「動くなって言ったじゃん」
檀が言い返そうと口を開くまえに、緋色の髪がその頬をくすぐった。
蛇が笑った気配がした。
「ひどいな、檀は。お預けするの?」
耳に注ぎ込まれた甘く湿った声に肌が粟立つ。
「ちがっ」
「じゃあさ、」
二の句を継ぐ前に被せられた太宰の提案に、
檀の口元に笑みが浮かぶ。