俺たちの虎の子虎の子。
--大切にして身につけて守り離さないもの。
場地と千冬と暮らし始めて何度目かの冬。こたつでみかんを食べながら、向かいに座る千冬に足をもっと引っ込めろだの何だの言われつつ、のんびり過ごしていた。
お前らうるせぇと言う場地も含めて、ぎゃあぎゃあ言いながらも笑い合うこの時間が好きだ。
今年は寅年。トラにまつわる話がテレビから聞こえてきた。その中で気になった「虎の子」の意味に、いたたまれない気持ちになって立ちあがろうとした時、テレビの正面に座る場地に右手を掴まれた。
「直接聞いたわけじゃねぇからわかんねぇけど、お前が産まれた時、すげぇ大切に思ったんじゃね?」
場地は俺の両親のことを言っているのだろう。大切?あんなことをされていたのに?
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