「ん、…ふっ…………んぅ…っぁあ!」
枕に顔をうずめて必死に声を抑えようとするコイツを見ていると、いじめてやりたいという気持ちが無意識のうちに湧き上がってくる。
「おい、声抑えんな」
そして、これまた無意識のうちに右手が枕を奪いあげた。
縋るものを無くした甲斐は両手で口を塞ごうとしたが、それも叶わずシーツに押さえつけられてしまう。
コイツのことを大切にしたいと思っているハズなのに、抑えがきかないんだ。
「や、やぁ……やぇ、て、むこォに、金田たち、いっ…、からぁあ……、はぁ、んぁああ!!」
たしかにこの薄い壁1枚隔てた先には金田たちの部屋がある。こんなコトをしていたら確実に聞こえてしまうのは避けられないが、今この瞬間に眼下の愛しい存在が『金田たち』と漏らすのを聞いて、コイツはまだ他を気にする余裕があるのかと、自分でも抑えきれない強い衝動をともなう感情が湧き上がる。
その強すぎる衝動に任せてさらに律動を早める。
「あ、あぁ”…ん、ンっ、は、や、めぇ………はぁ、はん、あぁん、…ッきこ、えちゃ、…ッ…からぁあ!」
「ン…何?やめて欲しいの?」
「ンんッ!?っやら、やらぁ、やめ、やめらいれ、きもち、ッきもひぃ、ん、からぁ!!…んん、…あ”ッ、ぁああ!!」
ばちゅ、ぱちゅん、と卑猥な音が脳髄に響き渡り、それが余計に興奮を増長させる。更に、真下の存在が紡ぎ出すあえかな音色は俺が編み出したものなのだと、そう考えはじめたら、もう止まらなかった。
強すぎる快楽から逃れるためなのか、引けていく腰を無理やり引き寄せて押さえつける。
逃げられるとでも思ってンのか、この俺に。
お前がどう思ってたとしても、逃がさないぜ。
収拾がつかないこの思いが届くようにと、ただそれだけを考えて、最奥の、知り尽くしたイイ部分だけを狙ってごりゅ、と刷り込むように擦り付けた。甲斐の背がしなる。
「あ”ァンっ!!…はぁん、は、きもひぃ、きもひぃよぉ、、………ッあ”ぁっ!」
あられも無い姿でよがられるともっともっと追い詰めたくなる。気付いたらうつ伏せになっていた甲斐を繋がったまま反転させてむさぼるように口付けていた。ほぼ無意識だった。とろとろに潤んでどこか惚けた両の瞳が俺を見つめる。それだけで心臓がどくどくと脈打ち、血液が逆流するような錯覚を覚えた。
甲斐の両耳を塞いで外界を遮断する。そうしてしまえばもう、お前の世界には俺だけしかいなくなる。他のことなんか考えなくていい。俺の事だけ見ていてくれ。
ジュゥ、ジュるる、と口を吸う。耳を塞いだことで脳内に響き渡る水音は互いの全神経をしびれさせた。
ジュるるる、ぱちゅ、ばちゅん。上も下も繋がっている状況に興奮が最高潮にまで達する。その勢いに身を任せてはちきれんばかりに膨らんだ欲を何度も何度も最奥に穿った。
「んぅッ~~~!!!、ぐ、ふ、ぁあ、あ、らめ、らめらめ、ぃく、イく”っ、あ、も、イっちゃうのォ!」
「ン、も、出しちまえ」
これでもかというほど密着して、互いに全てを感じられるような気がして、それが言葉で言い表せないほどの多幸感を引き起こす。それはもう、ほとんどクスリに近いものだった。
「あー、あー、、…ぁ”あっ!、ぁん、イク”、らめ、らめらの、イグ、イくいく、も、、、ッあ”─── !」
声にならない声を上げたと同時に、甲斐の小ぶりなそれから押し出されるようにして欲が噴き出した。と同時にあついなかがひくひくと収縮を繰り返し、俺のものをキツく締め上げる。
「っく……」
「ッ~~~~~!!」
あぁ、たまんねぇな…………………。
「ふぅ、はぁ、はぁ……、──────ッン”んっ!?」
………甲斐のことを気遣いたいのに、腰が止まらない。ずりゅ、ごりゅ、ずりゅりゅりゅ。
「ちょ、なん、れぇ!、やら、いま、いってる、からぁ”あ、、、!!」
もうここまで来たら追い詰められるだけ追い詰めたい。前立腺付近をカリで擦り上げながら、欲を吐き出して敏感になってる甲斐のこぶりなそこを握りこみ、先程達した時の余韻でひくつく先端を親指でぐりぐりと攻めた。
「やぁ、も、まっれ、りょうほぅ、はぁ、あぁ、ッぁ”ん!、んぅ、らめ、らめらめ、イッちゃう、またいっちゃうぅ!、ぁあ、はんっ!うぅ、、、ぅあっ~~~~!!!
絡みつく内壁の、具合のいいことこの上ない。
「ッく………出すぞ、甲斐!」
びゅく、びゅるるる。
濃くてあついそれを、柔らかく包み込むなかの最奥にぶちまけたのと同時に、ひくひくと震えた甲斐のそこからも、出しすぎて既に透明になっている欲が噴き出した。
1度イッた後に無理やりもう一度イかされたせいで酷く放心状態にある甲斐の額に触れるだけのキスを落とす。
そのまま2人は達した後のだるさに抗うことが出来ずに眠りについた。
***
翌日、少しは加減しろとこっぴどく怒られたのは言うまでもない。