グラスの中で氷がカランと鳴った。
スポットライトが照らすバーカウンターは飴色に磨き上げられ、仄暗い店内では周りの客はシルエットになり、かろうじて自分の周りだけ仄かに見える。
窓の外には淡い月と星が輝く夜空と、眼下に広がるニューミリオンの夜景。その光を彩るように静かなピアノの音色がゆったりと流れていた。
「うわ〜これ美味しい」
そんな大人な雰囲気には似つかわしくない無邪気な声の主を、ガストは困惑の表情で眺めた。
カウンター席の隣に座ったウィルは、カラフルなカクテルの注がれたグラスを手にして嬉しそうにニコニコとしている。
「おいおい、それ何杯目だ?流石に飲み過ぎだろ」
「俺はもう子供じゃないんだから、何杯飲んだっていいだろ。えーと次は何にしようかな?」
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