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    Hoopono41030595

    @Hoopono41030595

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    Hoopono41030595

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    鶴田さんにいただいたお題「野球」のくわぶぜです。
    「お前そこかわれ」選手権2021年度優勝候補筆頭の野球部のモブくんが主人公です。
    野球テイストはあんまりないですし、くわぶぜも匂わせですが。
    こういう感じのお話は結構好きだったりします。

    【くわぶぜ】壁の耳【モブが主人公】 「はぁ……。」
    薄暗い部室の中に、小さくため息が漏れる。
    真夏のように熱さにうだることがないだけましかもしれないが……それでも、練習の後にひとりボール磨きをさせられることを考えれば、大きなため息も出るってもんだ。

    僕の名前は……いやよそう。野球部で3年間野球を続けてきたにもかかわらず、いまだレギュラーはおろかボール磨きの雑用にしかなれない、しがない野球部員の名など、知っても意味はない。

    それに今は、この静かな空間に響くかすかな声音(こわね)に耳を傾ける方が重要な気がする。その声は、この野球部の部室の隣、男子陸上部の部室から聞こえてきていた。

    「……ぅぅんん。はぁぅぅ………。」

    どう考えても色っぽい声。
    かみ殺したような何かに耐えるような声。
    しっとりと湿ったような喘ぎ声が絶え間なく聞こえてくる。
    これは、間違いなくヤっている。

    この学校の陸上部といえば、まあ部だけを見れば弱小と言っていい。サークル活動に近く、この野球部なんかよりも全然人数も少ない。ただ、ここしばらくはフィーバーともいえる現象が起こっている。それが今年部長を務めている豊前くんの存在だ。

    容姿端麗、眉目秀麗、まあ勉強はそこそこっぽいが、高跳びでは学校記録を塗り替えて、全国大会で好成績を収めるほどの実力者。
    文化祭で行われるミスターコンでは2連覇し、今年3連覇&殿堂入りは確実とみられている。
    「抱かれたい男No.1」……。そんな男だ。
    実際、豊前くんに抱かれたなら死んでもいい、と公言してはばからない女子生徒は数多くいるし、下駄箱やロッカーに手紙の類がまるでマンガのようにドサドサ入っているのを目にしたこともある。
    きっとその気になれば、可愛い女の子やクラスのマドンナ、先生だって食い放題だろう……。

    僕みたいな運動神経の悪い童貞なんかには想像もつかないが……きっと女の子たちの方から、いっぱいご奉仕なんかされちゃったりして、とっかえひっかえ食いまくりなんだろうな……。

    まあ、はっきり言って住む世界が違う……。
    僕は目の前のボールを無心に磨きながら、抑え込み損ねたと思われる嬌声をまるで遠くの世界の出来事のように聞いていた。

    その声がひときわ高くなる。
    そして「豊前……!」と彼を呼ぶ声。

    ほらやっぱり、豊前くんだった。
    モテモテの彼のことだ……。絶対彼がここをホテル代わりに……。

    ちょっと待って。
    今の声、男だったよな……。

    僕の頭に疑問符が山ほど飛び交う……。
    しかし、確かめようにもその声はそれ以降、何も聞こえなくなってしまった。





    「よう!野球部も今終わり?お疲れさん!!」
    「ぶ……豊前くん!」

    野球部の部室のカギを当直室の先生に渡して帰ろうとしたとき、ふらりと現れたのは、豊前くんだった。
    豊前くんも、当直の先生にカギを渡し、そのまま僕についてくる。

    「あ…あの陸上部も練習だったの……?」
    思わず声が上ずる。
    「ん?いや練習はねーけど。部室かたずけてたらこんな時間になっちまった。」
    あまりにもさわやかな笑顔。女の子じゃないのになんだか顔が赤くなるのがわかる……。

    「あの……誰か一緒にいた……よね。」
    「ん?桑名のこと?」

    ちょうど玄関にたどり着くと、もうひとり体格の良い男が立っているのが見えた。クラスメイトの桑名くんだ。

    「桑名お待たせ―。」
    薄暗くなりかけた下駄箱で並んで靴を履き替える。
    「じゃ、俺たちこっちだから……。また明日な。」
    爽やかに片手をあげて、豊前くんと桑名くんは、僕とは反対方向に歩き始めた。

    僕もくるりと二人から背を向ける。


    「なあ、聞かれてたっぽい……。」
    小さく聞こえた豊前くんの言葉は、聞こえないふりをした。
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    Hoopono41030595

    MOURNINGくわぶぜの日りたーんに合わせて書いていたのですが、「美しい悲劇」で全て吹き飛んだので、出しそびれた。
    キス魔の豊前くんと、キスするタイミングがわからない桑名くん。
    加減がわからず暴走する桑名くんが大好き。
    桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
    ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
    僕はそれを、両手を広げて受け止める。
    「うん、いっぱい収穫したよぉ」
    僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。


    これは大広間での出来事。


    夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。

    キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。

    まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
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    recommended works

    ouse_kaeden

    DOODLEラクガキ、になるんかな。これも
    診断メーカーで出た
    『おうせ本丸のくわぶぜのBL本のタイトルは「シーツの波間で待っている」で、帯のフレーズは【 身体だけでも愛して欲しかった 】です。』をちょっぴりと

    ぶぜの「存在感すごいのに、何だか希薄」という雰囲気やばい…
    目を覚ますと…背後から緩やかな寝息が聞こえて来た。
    「…………」
     そうだな。夜明けがくるにゃあまだ早い。
     ふわりとあくびをつきながら…俺はその場に起き上がる。
     腰に回っていた桑名の腕が、へたりと敷布の上に滑り落ちた。



     昨夜の事は全部覚えている。
     呑んで。酔って。

    「自分の事なのにさ、俺は自分が今…本当に在んのか。正直わかんねぇんだ」

     言葉が零れる。

    「確実なのは、俺という自覚を持つこの身体だけ。振るう本体だって…結局は主に与えられた仮初の器だから…」

     考える事すら億劫で…
     だけど気持ちかひどく逸る。

    「……布団敷いてくるから、少し休みなね?」

     ふわっと笑う桑名の声。
     いつものように優しくて……

    「大丈夫?立てるかい」
    「…………」
    「そんな風に見上げてくるだけじゃ、解んないよ」

     なぁ。この戦が終わって…
     俺たちが全て本霊のもとに帰るとして。
     だけど。
     もしも…俺の寄る辺が逸話だけであったのなら。

    「わり…確かに深酒しちまったみてぇだ」
    「うん」

     当たり前のように桑名が俺を抱き上げる。
     多分…立てないと判断してなのだろう。
     善意 1247

    nanana

    DONE見えないものが見えるようになった🏍の話。
    まだくわぶぜ付き合ってはいない。
    ミュ本丸の話ではないですが、少しだけミュの設定お借りしてます。
    雨落つ庭(くわぶぜ)1.

     ゆめうつつで聞く雨音は鈍くどこか柔らかい。初夏の朝、ましてや雨降りの朝は少し肌寒く、豊前はつい先日薄手にした毛布をしっかりと被りなおす。明けたはずの梅雨が戻ってきた、最近の天気はそんな感じだ。もっとも、やろうと思えば審神者の力で季節さえも操れるこの本丸仮想空間では四季などそんなに意味もないのかもしれない。世の中には常春の本丸もあるという。絶えることなく桜花が降り続くというのに、いつまでたっても満開の桜が咲き続けるのは一種の狂気だ、と思ってしまうのは移り行く四季を愛するここの主に影響されたせいなのかもしれない。
     水分を含んだ空気が起き抜けの眠気を加速させる。どうせ今日は非番なのだこのままもう一度眠ってしまうのも良いかもしれない。人の身を得てからというもの、二度寝と言うものは非常に気持ちが良いものだと知ってしまったのだ。その気持ちよさと走り出したい気持ちを天秤にかけて前者を選んだ。雨で外には出られないのだし、今日はもうのんびり過ごそうと布団に体を完全に預けた。
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