Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    Hoopono41030595

    @Hoopono41030595

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 98

    Hoopono41030595

    ☆quiet follow

    くわぶぜの日りたーんに合わせて書いていたのですが、「美しい悲劇」で全て吹き飛んだので、出しそびれた。
    キス魔の豊前くんと、キスするタイミングがわからない桑名くん。
    加減がわからず暴走する桑名くんが大好き。

    桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
    ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
    僕はそれを、両手を広げて受け止める。
    「うん、いっぱい収穫したよぉ」
    僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。


    これは大広間での出来事。


    夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。

    キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。

    まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
    とはいえ恥ずかしくないといえばウソになる。

    昔一度、蜻蛉切様に言われたことも気になる。
    「口吸いというのは、恋人同士が二人きりの時にひそやかに行うものだと思っていたが……」
    そうなのだとしたら、僕たちはものすごく破廉恥なことをしていることになる。
    豊前は、「キスなんて挨拶だよ」って言うけれども、どちらが正しいのかわからない。

    とにかく、キスをするのはイヤじゃないけど、何だか気恥ずかしいっていうのが僕の本音だ。やっぱり蜻蛉切様の言う通り、人前でするものではないのかもしれない。だから、僕は……僕からは人前では豊前にキスをしないことにしている。
    豊前からキスしてくるのを回避することは難しいので(速いからね)仕方がないけど、僕からはしない。これは、豊前もわかっているみたいで、豊前から外でキスを強請られたことはない。まあ、強請るより先に自分からキスしに来るから、あんまり意味はないのかもしれないけど。

    その点、膝枕はイイ。人前でしたって恥ずかしくはないし、何より豊前の膝は、寝心地が最高だ。その顔を下から見上げるのもとっても凛々しくてかっこいいし、頭とかなでなでしてもらうのも最高に気持ちがいい。

    お礼にいっぱいキスしてあげたくなっちゃう。
    ………
    ……


    いやいやそうじゃなくて。


    僕が、小さく頭を振ると、その振動が伝わったのか豊前が不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。

    「どした?」
    「いや、ゴメンどうもしない」
    「そっか……」

    にっこりと微笑んでそのままチュッ。
    体を折り曲げるようにして唇を押し付けてくる。

    ……もう、僕の気も知らないで。

    「ほら、今日はお月見の宴だからな。俺たちも準備も手伝おうぜ、そろそろ行こう」

    酒好きの多いこの本丸では、何かと理由をつけて飲み会が行われるが、今日もそんな日のひとつだった。
    月なんかみんな見ることもなく、ただただ楽しい飲み会が開催されるのだ。

    燭台切や歌仙が作ってくれた肴はどれも美味しく。
    用意された酒は多種多様で、さまざまな材料、手法で作られた世界中の酒は大変興味深く……。

    まあ、簡単にいえば僕は飲みすぎたのだと思う。




    翌朝、簡単に敷かれた自分の寝床でズキズキと痛む頭を抱えながら僕は目覚めた。
    えーっと、確か南米のサボテンで作られたお酒を飲んでいたところまでは覚えてる。
    結構な強いお酒で、果物のジュースなんかで割ると美味しいといわれて、そこに酔っ払った豊前がキスをしたいと強請ってきて……。

    そこで僕は……なにをした……?
    覚えてない。
    同室のはずの豊前はどこに行ったんだろう。
    僕は、痛む頭を抑えつつ、ゆっくりと起き上がった。

    「失礼するよ」
    すらっと襖が開けられる。
    「あ、松井……」
    「起きていたか。おはよう、そろそろ豊前が手入れ部屋から出てくると思うから、迎えに行くといい」
    「て、手入れ部屋……?」
    思わず大きな声を出した僕に松井がびくっとする。
    「あ、あの……僕は何をしたの?」
    「呆れた、覚えてないのかい?」
    面目ないがその通り。僕はこくりと頷く。
    松井は大きなため息をつき、ゆっくりと話し出した。

    松井の話によれば僕は……。
    キスしてくれと強請る豊前の前で。
    突然、目の前にあったテキーラを瓶ごとあおり。
    そのまま、豊前にキスをしてそのテキーラを全部豊前に飲ませたのだという。
    突然の高アルコールに朦朧となった豊前を、僕はがっしりと抱きしめて、そのまま豊前の口の中に残ったアルコール分を舐め取るようにじっくりとキスをして。
    気を失った豊前を抱きしめながら一緒に寝てしまったのだという。
    「急性アルコール中毒で真っ青になった豊前を無理やり引きはがして、手入れ部屋に突っ込むのは大変だったんだよ」

    ……イヤ申し訳なさの極み……。
    「早くいって、謝ってきなよ」
    「うんそうする。松井、ありがと」

    僕はなるべく急いで、手入れ部屋に向かい、その部屋のふすまをそっと開けた。
    部屋に設置されたカウンターは0を示していたが、そこに眠る豊前はまだ目をつぶったままだった。

    「豊前……」
    おそるおそる声をかけてみる。
    「おう!!」
    思った以上に元気な声が返ってくる、がまだ目は開かない。
    「大丈夫……?」
    「大丈夫かって聞かれれば、まあ、大丈夫じゃねぇなぁ、頭はいてぇし、胃がむかむかする」

    「ゴメンね……目開けて……」
    僕が言うと、豊前は目をつぶったまま、自分の唇を指でトントンっと小さく叩いた。

    その意味が分からないはずもないが……。
    「……まだお酒臭いと思うよ……」
    「いいって……」
    僕はまるで土下座でもするような体勢で、豊前の唇にそっと触れた。
    真っ赤なルビーのような瞳が僕を見据える。
    「ふふっ、酒くせーな」
    「だからいったんに……」

    「こういうのも悪くねー」
    豊前が僕の手を握り、布団へと引きずり込む。

    「酒が抜けるまで、もう少し寝よーぜ」
    「手入れ部屋占領したら起こられるよ」
    とはいえ、この気持ちの良いまどろみに僕も逆らえる気がしない。
    体温の高い豊前の熱がじんわりと伝わり、僕もあっという間に夢の中に誘われていった。



    探しに来た松井に怒られるのはもうあと半刻ほど先のことである。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺💛❤☺❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Hoopono41030595

    MOURNINGくわぶぜの日りたーんに合わせて書いていたのですが、「美しい悲劇」で全て吹き飛んだので、出しそびれた。
    キス魔の豊前くんと、キスするタイミングがわからない桑名くん。
    加減がわからず暴走する桑名くんが大好き。
    桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
    ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
    僕はそれを、両手を広げて受け止める。
    「うん、いっぱい収穫したよぉ」
    僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。


    これは大広間での出来事。


    夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。

    キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。

    まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
    2552