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    Hoopono41030595

    @Hoopono41030595

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    Hoopono41030595

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    リハビリ。前後も何もなく現パロ化本丸もよくわからないくわぶぜです。
    書きたいところだけ書きました。強気な桑名と弱気な豊前という珍しい組み合わせ。

    【くわぶぜ】重い想い【リハビリ】「君は!僕のことが!好きなんでしょ!」
    桑名が、走りながら大きな声をその背中にぶつけた。
    本気で走られたら追い付けっこない。
    それでも、彼は……豊前は桑名の言葉にそのスピードを少しだけ緩めたようだった。
    必死で追いかけた桑名の息が上がる。はぁはぁとうるさい自分の呼吸を振り払うように、さらに大きな声を出した。
    「だから、僕から!逃げないでよ!」
    心の底からの叫びだった。
    桑名は別に自分のことを無理やり好きになってほしいとは思っていなかった。恋愛感情なんていうのは、物々交換みたいに約束事で取り交わせるものではないことはわかっている。
    でも好きになってしまったから……。その気持ちは抑えておくにはとても苦しいもので、吐き出して伝えてしまわないと爆発しそうだったから……。だから伝えた。

    桑名の大声に豊前は足を止めた。
    急いで桑名はその腕をつかむ。
    しかし豊前は、桑名の方を見ようとはしなかった。

    「君は、僕が好きなんだよ」
    はっきりと、間違いなく伝わるように桑名が言葉を紡ぐ。
    ともすれば自意識過剰、盛大な勘違い、大笑いされるか怒られるか……そんな台詞だが桑名は大まじめだ。
    「君の顔、行動、すべてを見ていればわかる。君にとって僕は特別だ。そう、僕にとって君が特別なように。」

    桑名はぐいっと豊前を引き寄せ、そのまま後ろから抱きしめる。
    「いやだ……」
    ようやくぼそりと豊前は言葉を発した。
    「ウソつき!」
    桑名は言いながらさらに強く豊前を抱きしめるが、豊前がそれを拒否することはなかった。
    「君は、ウソが下手だ。それも僕が一番よく知ってる」
    「だからイヤなんだよ!」
    豊前の口調が少しだけ荒くなり、その体がするりと桑名の体から抜けた。
    「豊前……」
    そして、豊前はいつも仲間たちに見せるようなからっぽの笑顔を桑名に向けた。
    「体が重くなっちまうんだ。大事なものが増えるとさ……。体が重くなると、疾く走れねーし、好きなところにもいかれなくなっちまう……」
    だから、俺に大事なものはいらねーんだよ。
    そう言って彼はふっと空を見上げた。
    「俺には夢なんていらねーし、大事なものもいらねー。誰かの大事なもんをちょっとだけ手伝ってるくらいでちょうどいいんだよ。何かに固執、執着したとき、俺はきっと疾さを失う」
    そのまま下を向いた豊前からぽたりと雫が落ち、地面にシミを作った。
    「なんで、お前はほっといてくれないんだ。きっとほっといてくれれば、そのまま通り過ぎていったのに。いつまでの風のように自由でいたかったのに。」
    ぽたりぽたりと地面のシミは増えていく。

    黙って聞いていた桑名はふいに豊前を抱きしめた。今度は頭を抱えるように前から。そのこぼれた涙を全て受け止めるように。

    「やっぱり、必死に追いかけて正解だった。風みたいに自由になんて行かせるものか。」
    いつまでだって、君の心に鉛のように居座ってやる。
    「お前、性格最悪だな!」
    桑名の肩に顔を埋めたまま豊前が悪態をつく。その背中を桑名がポンポンとたたいた。
    「何いってるのさ。僕が一緒にいたら自由でいられないなんて、どうして思うの。今まで以上に自由になれるかもしれないじゃない、ふたりでいたら君はもっと疾くなれるかもしれないじゃない。」
    「どういう理屈だよ……」
    顔を上げた豊前の瞳は赤く濡れている。その瞼に桑名はゆっくりと唇を落とした。
    「理屈なんかないよ、ウソをつくことがへたくそな君が、いつまでも自分の気持ちに嘘をつき続けている状況がどうしても我慢できなかっただけだよ。」
    豊前が、桑名の体をぐいっと押し離れようとしたが、今度は桑名はそれを許さなかった。
    「お前……俺の疾さについてこれるのかよ……」
    豊前がため息交じりに問いかける。
    桑名は、その言葉ににっこりと微笑み、そして答えた。
    「君が自分の気持ちに素直になるのであれば、僕は音速どころか光の速さだって超えて見せるよ。」
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    Hoopono41030595

    MOURNINGくわぶぜの日りたーんに合わせて書いていたのですが、「美しい悲劇」で全て吹き飛んだので、出しそびれた。
    キス魔の豊前くんと、キスするタイミングがわからない桑名くん。
    加減がわからず暴走する桑名くんが大好き。
    桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
    ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
    僕はそれを、両手を広げて受け止める。
    「うん、いっぱい収穫したよぉ」
    僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。


    これは大広間での出来事。


    夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。

    キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。

    まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
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    ouse_kaeden

    DOODLEラクガキ、になるんかな。これも
    診断メーカーで出た
    『おうせ本丸のくわぶぜのBL本のタイトルは「シーツの波間で待っている」で、帯のフレーズは【 身体だけでも愛して欲しかった 】です。』をちょっぴりと

    ぶぜの「存在感すごいのに、何だか希薄」という雰囲気やばい…
    目を覚ますと…背後から緩やかな寝息が聞こえて来た。
    「…………」
     そうだな。夜明けがくるにゃあまだ早い。
     ふわりとあくびをつきながら…俺はその場に起き上がる。
     腰に回っていた桑名の腕が、へたりと敷布の上に滑り落ちた。



     昨夜の事は全部覚えている。
     呑んで。酔って。

    「自分の事なのにさ、俺は自分が今…本当に在んのか。正直わかんねぇんだ」

     言葉が零れる。

    「確実なのは、俺という自覚を持つこの身体だけ。振るう本体だって…結局は主に与えられた仮初の器だから…」

     考える事すら億劫で…
     だけど気持ちかひどく逸る。

    「……布団敷いてくるから、少し休みなね?」

     ふわっと笑う桑名の声。
     いつものように優しくて……

    「大丈夫?立てるかい」
    「…………」
    「そんな風に見上げてくるだけじゃ、解んないよ」

     なぁ。この戦が終わって…
     俺たちが全て本霊のもとに帰るとして。
     だけど。
     もしも…俺の寄る辺が逸話だけであったのなら。

    「わり…確かに深酒しちまったみてぇだ」
    「うん」

     当たり前のように桑名が俺を抱き上げる。
     多分…立てないと判断してなのだろう。
     善意 1247

    nanana

    DONE見えないものが見えるようになった🏍の話。
    まだくわぶぜ付き合ってはいない。
    ミュ本丸の話ではないですが、少しだけミュの設定お借りしてます。
    雨落つ庭(くわぶぜ)1.

     ゆめうつつで聞く雨音は鈍くどこか柔らかい。初夏の朝、ましてや雨降りの朝は少し肌寒く、豊前はつい先日薄手にした毛布をしっかりと被りなおす。明けたはずの梅雨が戻ってきた、最近の天気はそんな感じだ。もっとも、やろうと思えば審神者の力で季節さえも操れるこの本丸仮想空間では四季などそんなに意味もないのかもしれない。世の中には常春の本丸もあるという。絶えることなく桜花が降り続くというのに、いつまでたっても満開の桜が咲き続けるのは一種の狂気だ、と思ってしまうのは移り行く四季を愛するここの主に影響されたせいなのかもしれない。
     水分を含んだ空気が起き抜けの眠気を加速させる。どうせ今日は非番なのだこのままもう一度眠ってしまうのも良いかもしれない。人の身を得てからというもの、二度寝と言うものは非常に気持ちが良いものだと知ってしまったのだ。その気持ちよさと走り出したい気持ちを天秤にかけて前者を選んだ。雨で外には出られないのだし、今日はもうのんびり過ごそうと布団に体を完全に預けた。
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