one heart「私を、覚えていますか?」
貴方に問いかけた。問いかけずにはいられなかった。
貴方が生きていてくれて、私のことを知っていて、この世界を救ってくれて、私を助けに来てくれた、それだけで十分だった。そのはずだった。女神の心でそう思った。けれど、百年ぶりに思い出した少女の思いは迸り、その問いかけを口に出した。
貴方は黙って私を見つめていた。その様子は、何と答えようとしているのか考えあぐねているようでもあったし、回生の眠りから目覚めて初めて出会う私の正体を、見定めようとしているようでもあった。
問いかけのかたちをしたことばは、けれども本当は答えを求めてはいなかった。ただ、ひたすらに、問いかけずにはいられなかった。
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